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求められる能力の人材育成と確保 #98 適材適所

企業が存続し続けるには、その目的や目標を達成させ続ける必要があります。
そのために持ち得た経営資源を有効に活用する機能がマネジメントです。

経営資源とはヒト、モノ、カネ、情報などと称されます。
なかでも、筆頭のヒト、つまり人事の重要性が高まっています。

従来型の人事とは、労務・法務などの制度やマニュアルなどのオペレーション業務ばかりに固執した保守的、定型的な前例主義、あるいは後方支援的な活動がほとんどでした。

そもそも社員は、企業に属する以上、その目的や目標を達成するために貢献する意欲を持ち得ているはずです。
しかしながら、それを実現させるための方法論は、個人それぞれです。
また、それぞれの能力も均一ではありませんし、それぞれに、長所もあれば、欠点もあります。
そこで、個々の能力を最適化させて企業の目的や目標を達成させるためにためにマネジメントすることとなります。
マネジメントとは、異なる形のたくさんの経営資源をハメ合わせて、大きなパズルの完成を完全させるようなものなのかと思います。

企業の人材配置に関わる言葉に適材適所があります。
適材適所とは、「その人材の適性や能力を見極めて、それに応じて、相応しい適所である職務(役職・業務)に就かせること」です。

実は、剣豪として名高い宮本武蔵の著であり、企業経営にも通じるとされる「五輪書」に記されています。
その中では、武士として大事にすべき心がけの一つとして、「個々の武士を率いる大将は、適材適所に人材を配置せよ」とされています。

そして、その例えとして、様々な木材の特性を理解した日本の大工が、建物の特性に合わせて、木材を使い分けることが示されています。
木材ですが、一口にいっても、その特性は様々です。
土台には腐りにくく耐久性の高い檜や栗を、内装の一部になる柱には木目の美しくやさしい肌合いの杉を、また屋根や二階以上の重量を支える梁には強靭な松をといった具合です。

適材適所によって、持ち得た能力を遺憾なく発揮できるのですから、当然、生産性も高まると思います。
しかしながら、適材適所をそのまま実行したら、部署によっては必要以上に人が集まりますし、逆に人員不足の部署も出て来てしまいます。

結果的に、適材適所に反して、人員の多い部署から自分の能力に合っていない人員が不足している部署に配属される可能性も出てきます。
また、そもそも、社内に適所がない人材もいる可能性もあります。

そのような場合にどうするのかです。
例えば、リスキリングです。
経済産業省は、その定義を「新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する(させる)こと」と定めています。

また、適所に相応しい人材が社内にいない場合は、社外に求めることになります。
しかしながら、人材不足が深刻な問題となってる状況ではそれも思惑通りに進まないのも現状です。
最近では、企業に所属させたまま、社外の教育機関で求められる能力を学ばせるリカレントを実施している企業もあるようです。

今後の適材適所ですが、企業にとって、思い通りにならないのが現実です。
様々な対策、対応によって適材の確保と育成に取り組むしかないのかと思います。
そのためにも、企業は、人材と組織の側面から変革をリードしていく戦略的なHRM(人的資源管理)を重要視して推進して行く必要があります。

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