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目標を標準化させるカイゼン活動 #55

その時は、最善策と考えられたことが、一瞬で、陳腐化してしまう程の激動の時代です。
それ故に企業は、その目的や目標を達成させるためにマネジメントを機能させなければなりません。

マネジメントの代表的な手法が、マネジメントサイクルとも呼ばれるPDCAサイクルです。
PDCAとは、Plan(計画)、Do(実行)、Check(検証)、Act(改善)の頭文字とったものです。

目標を達成させるための課題として計画Pが設定されます。
故に、計画(P)は、仮説の上に成り立っています。
実行(D)は、仮説要素の多い計画(P)を検証(C)するために行われます。
正しい検証(C)は、計画(P)に基づいた実行(D)があって成り立ちます。
そして、そこから、改善(A)して、より質の高い実行に結び付けることが可能となります。

つまり、PDCAサイクルを回す度に、仮説要素が多かった計画(P)の精度が高まり、目標達成へと近づくこととなる訳です。
故に1周して元の計画(P)に戻るサイクルではなく、スパイラルアップすることからもPDCAスパイラルと表現される場合もあります。

また、改善の(A)をActではなく、調整のAdjust(調整)とする考え方もあります。
調整(Adjust)では、問題点を改善(Act)するだけではなく、次のサイクルでやるべきことを想定します。
正に、この調整(A)こそが、将来に向けてのマネジメントのポイントなのかと思います。

製造業において、一般的に使われる用語にカイゼンがあります。
その原語は、改善です。
カイゼンですが、海外でも認められておりKAIZENと呼ばれて、多くの製造業で取り入れられているといいます。
しかし、改善なのであれば、IMPROVEなどに訳して良いようなものです。

改善を検索してみると「悪い(劣った)ところを改めて、よくすること。」と出てきます。
つまり、問題が発生する毎に、それを解決しようと取り組む事後行為です。

対して、カタカナで表現されるカイゼンにはどのような意味合いがあるのかです。
それは、工場内で、常に作業効率や安全性の最善を追及する事前活動です。
また、その活動は、現場の作業者たちが中心となり知恵を出し合うこと点に特徴があることから、改善と区別されていると捉えて良いと思います。

単なる言語遊びと捉える方もいるかもしれませんが、組織においては、言語、特に共有すべき言語のあり方は重要です。
故に、カイゼンと改善の違いをカタカナと漢字で視覚的にも区別させて共通言語として扱うことは有効であると考えています。

カイゼン活動の特徴は、完璧や限界はなく、常に最善を追及し続ける活動となります。
また、カイゼン活動の主体は、カイゼンですが、当然ながら改善も含まれています。 

1. 標準の設定

カイゼン活動を推進する上で必要不可欠なのが標準の設定です。
標準とは、現時点で考えられる将来の望ましい状態、つまり目標のことであり、決して、現状を意味するものではありません。
代表的な「標準」といえば、ST(標準作業時間:Structure of Standard Time)が有名です。

2. 課題の設定

標準が決定したら現状とのギャップ、つまり問題を可視化させます。
そして、この問題を解決するための課題、PDCAで言えば、計画(P)を具体化させます。
そのためには、5W2Hなどのフレームワークを活用することをお薦めします。
フレームワークを活用することで、漏れなくダブりなく具体化が可能です。
また、この中で、KPIを設定します。
KPI(Key Performance Indicator:キー パフォーマンス インジケーター)とは、課題を達成するため実行(D)の指標となります。
KPIで重要なのが、実行(D)でやり切ることです。
やり切らないことには、検証(C)することが出来ないためPDCAが回らず滞ることとなってしまいます。

2. 標準の定着

課題を解消するためにPDCAを回し続けることで、目標である標準を達成することができるはずです。
しかし、1度や2度の達成では、カイゼンとは言えません。
カイゼン活動の目標は、一時的にな達成ではなく安定して達成し続ける標準化=あたりまえ化にあります。

標準化とは、習慣ともとれます。
その意味でも、組織の道徳的な習慣づけである5S活動(整理・整頓・清掃・清潔・躾)の取り組みは、多くの製造業でカイゼン活動とセットとして取り組まれています。

カイゼン活動によって、より高い基準の標準化を目指し、それが実現できたら、新たな標準化を目指す。
この成長のための無限スパイラルアップがカイゼン活動にとって重要です。

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