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「アフリカ出身サコ学長、日本を語る」を読んで

こんばんは。京都で日本語教師とライターをしているわかばです。

今日は日本語教師ブッククラブの1月の課題本の「アフリカ出身、サコ学長、日本を語る」という本の感想を書こうと思います。無料版です。

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昔、「ここが変だよ、日本人」というテレビ番組があったことを、この本を読んでてふと思い出しました。

20年ほど前に放映されていた、ビートたけしのバラエティ番組で、外国人がスタジオに集まり、日本について喧々諤々討論するという番組です。今でもYoutubeにあるので、興味のある方が検索してみてみてください。

現在のテレビは、日本礼賛番組ばかりで外国人の目を通して日本をみるということも少なくなったんじゃないでしょうか。「日本語教師ならそんなこともないんじゃない?」と思うかもしれませんが、学習者たちだって教師に本音をペラペラ話したりはしません。

そんなわけで、サコ学長の本を通して、違った目で現在の日本を見ることができた気がしています。

特に、同意のところは第6章の教育。不登校に言及してあるところは当事者として、「よく言ってくださった」と頭がさがる思いです。

わたしは常々、不登校の問題を家庭に押し付けすぎじゃない?と思ってきました。

スクールカウンセラーにしても、親に対して「子どもを受け入れてあげましょう」とか「待ってあげましょう」とか「焦るな」とかそんなことしかなくて、なすすべなし。もちろん親としても変わらなければいけないところがあるのも理解しています。

一方、行政や学校は、自分が行なっている教育に対する疑問など感じていないのです。わたしにはそう伝わりました。

サコ学長はこう語ります。

不登校の背景にあるのは、教育システムそのものではないのかと思えるのである。
彼らは、今の社会全体が承認した「日本人形成像」から、どこか一歩引いている。けれど、今の日本では、友達付き合いまでのフレーム化されているために、フレームから少しでもはみ出るといじめられ、排除されてしまうということが起こってしまう。

ふたりの中学生を育てていて、教育は自分が中学生だった頃と本当に変わっていないと感じます。

ほぼ全てにおいて、説明する→問題をする→答え合せをする、なのです。そして、黙ってそれをやれない子は排除されていくのです。そういう子の受け皿は限りなく少ない。居場所はあったとしても、そういう子をそういう子なりに伸ばしていく場所はほぼゼロと言えるのではないでしょうか。

とはいえ、そんななかでも、子どもというのは学ぶものです。

うちの子に関していえば、ほぼ学校に行かず、フリースクールにも行かず、通信教育も受けていなくても、料理をしたり、ピアノを引いたり、動画を作ったりしています。ごくたまに勉強もしています。

膨大な時間の中で好奇心を頼りに楽しんでいる様子を時々、見ることもできます。そういうときはなんとなくうれしいものです。そして、サコ学長の言葉でそれも間違ってはいないんだなあと思ったりします。

余暇の使い方を学ぶことこそが、人間をつくり、個性をつくる。それがわたしの持論である。

今まで、娘たちには余暇はありませんでした。でも、今を余暇ととらえれば、それも悪くない気がします。

娘はきっと、集団にもまれて、そのなかを器用に泳いでいけるタイプではないです。そういうことを自分で今わかって、自分なりの生き方を選んでもらえればいいなとおもっています。

多様性の観点で言えば、弱い人を強くするように働きかけるのではなく、弱い人が弱いまま生きられるように、支えなければならない。

そこで、学校教育がなぜ変わらないのかといえば、もうそれは大人の事情いほかならないとおもいます。

わたしから見た日本の教育はいわば、「今の社会システムや社会構造を維持したい」という中高年の思いに、子どもや学生、若者が巻き込まれている状態、である

これについてこのようにつぶやきました。

「おじさん」というのは何も中年男性のことではなくて、高度経済成長の波に乗り、豊かな生活と家族を手に入れて、奥さんを家庭に閉じ込め、子どもを好きなように操ろうとし、家事育児一切に手を貸さず、「厳しいことはいいことだ」といわんばかりに、自分よりも弱い人を見下し、叱りつけ、評価し、そして自分が手に入れた地位と富はどんなことがあっても手放したくないと思っている人です。

そういう特定の人がいるわけではないけれど、なぜか、どこかそういう人たちのために、社会があるような気がしてならないのです。

サコ学長の言葉はそんなわたしのモヤモヤに「言葉」という形を与えてくれたのかもしれません。

なんとなく社会に漂っている焦りは、これまで作り上げてきたシステムが失われることに対する中高年の焦りにすぎない。

サコ学長は、そうやって、サコ学長自身の目から見た日本を教えてくれています。もし、教育について、日本社会についてモヤモヤと考えていることがあるなら、この本を読めば、ちょっとスッキリするかもしれません。見方を変えるって違う目から見るってことですから。

では、また!

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