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第30回読書会『新版國語元年』を読んで

方言の風呂にどっぷり浸かった土曜日。
第30回の読書会に参加していただいたみなさま、
ありがとうございました。

今回もいかに井上ひさしがすごいかということをひしひしと感じる回になりました。また、自分は日本語のことも、歴史のこともまだまだなんにも知らないなあと感じました。

まず、始まる前に少し予習で読んでおいたのですが、これは黙読するのと、音読するのとでは大違いです。また一人で音読するのと、みんなで読むのとではまたまた大違いです。もちろん、みんなで読んだ方が楽しいです。

やはり、話し言葉というのは、もちろん方言もあるけれど、その人、その人に背景があって、また、その地方、その国に歴史があって、それも大きく関わってくるんだということがわかりました。

今回のストーリーは、文部科学省から「話し言葉統一」の仕事を任されている南郷清之輔が東北人は母音が足りないから「あー、いー、うー、えー、おー、かー、きー」と発音する「南郷式唇稽古」を発案するも、泥棒や褌、お休みなさい、という言葉でも違うということに気づき、落胆するというストーリーでした。

また、書き言葉は日本語ではほとんど同じですが、声に出して読むとまた伝わらないというところも面白いポイントでした。

3 会津の虎三郎が押し入った夜

この場面では、新政府に賊軍とされた会津ものが、南郷家に泥棒に入るんですが、その訳は、東京で盗みを働いて、斗南(現在の青森県)で貧しい暮らしをしている同郷の者にお金を送るというものでした。

実は、その手紙を今は女中頭の加津さんが読んで涙を流すのですが、実は加津さんは元旗本の奥様でこの屋敷は元々我が家。薩長に取り上げられて、今は薩摩の家に女中として奉公しているなんて、なんという悲劇かと思います。

そして、人生はこのようにいつ立場がひっくり返るともわからない。そういう場面に胸がしめつけられるようでした。歴史なんてどこに光をあてるかでその解釈は全然違いますよね。

そして、会津出身の虎三郎の言葉があまりにわかりにくいことから、清之輔はこんなことを言います。

日本人は一人残らずお国訛りチュー厄介千万なものを背負うて生きちょる。

今でこそ、出身が違うからといって通じ合えないようなことはありませんが、それを母語や外国語としてとらえると確かに厄介かもしれません。

言葉チューものは人間が一生使い続けにゃならん大事な道具でノンタ、そりゃ少しは面倒でも、時にゃ手間暇かけてピーカピーカに磨き上げるチューのも大事ジャノー

このあたりは共感しました。これからも手間暇かけて磨いていきたいと思いますね。

それから、太吉というキャラクターがいるのですが、彼は無口なのですが、黒船の中で育ったので、英語なんですね。それで、ある言葉に対して、英語で話すのですが、

強盗 = ギャング

ふんどし = ゼントルマンズパンツ

でなんだかここは予習の時から笑ってしまいました。本当に喜劇でたくさん笑いポイントがあって面白いので、ドラマのDVDがやっぱり欲しいなあと思っています。

さて、次回ですが…

8月7日(土)JST1900〜
「新版國語元年』
6 清之輔が閣下に怒鳴られてしょげてしまった日、
  そしてたちまち再起した日

から読む予定です。楽しみにしています。

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