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『国境の夜想曲』の感想

昨日はずっと家で仕事をしていて午後になったら集中できなくなってしまいました。それで、夕方から思いきって京都シネマに行って映画を観てきました。

何を観てきたかというと『国境の夜想曲』です。予告編はこちらです。

どんな映画かというと、シリア、レバノン、クルディスタン、イラクの国境地帯で撮影されたドキュメンタリーです。製作には3年以上の歳月がかかっているのだそう。監督はイタリアのジャンフランコ・ロージ監督です。今、ちらっと調べてわかったんですが『海は燃えている イタリア最南端の小さな島』の監督でもあるんですね。

今回観た『国境の夜想曲』と同じようなトーンの映画だったので腑に落ちました。

前作でもそうだったんだけども、ナレーションもなくひたすらずっと映像をとっていく映画です。だから最初は全然、その世界に入れないんだけども、じっと頑張って見続けていくと、この世界で起こっていることがぼんやりながらわかってくる感じです。

今回もそうで、いくつかの場面をナレーションなしでみせます。説明になるようなものもほとんどなく、スピード感もなくゆっくりすすみ、いきなり場面が切り替わります。多分観るにたえない人もいるんじゃないかと思います。実際、わたしも数分、眠りに落ちてしまいました。

イラクの内戦というか混乱を描いているんだけども、共感に訴えるとか、まさか泣かせるとかなくて、そこで起こっていることをそのままみせているだけです。だけど、いくつかのエピソードが重なり合っているので、1本観終わった時には心にドスーンとくるものがあります。

出てくるエピソードはまず、どこかの牢屋に入れられて拷問の末、息子を殺されtお母さんの嘆きや、国境を整備する女性兵士、残忍な場面に出くわした子どものカウンセリング、精神病棟で行われる演劇を使った(療法?)、家族のために朝早くから働く少年アリの日常などなどです。

それらを重ね合わせると、この国境地帯がどんなところか、そこにどんな人が生きているのか思いを馳せてジーンとします。お母さんが嘆くシーンは胸がつまるし、逆に演劇のシーンでは、希望を感じました。どんなに辛い目にあっても、それを言葉にして表現することができる。それは生きることそのものだなあと思いました。

帰りの電車でも、そうなるのが監督の狙いだったかのように、ずっとずっと考えていました。自分のふるさとが銃声の響く町になるなんて辛すぎるけど、それでも、生きてる人がいるし、世界は必ず変わるし、わたしも生きようと思いました。

では、また!


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日本語教師でライターが日常をみつめるエッセイです。思春期子育て、仕事、生き方などについて書きます。

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