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【伝説の小説】SUIMIN刑事 明智 #.1

世界は悪意に満ちているのだろうか。

今、この世界ではこの瞬間にも犯罪が起こっている。

一体どうなっているんだろう。

人は人を傷つけないと生きられないのだろうか。

少なくとも僕と僕の周りにいる人間は誰かの幸せを願っている、そんな優しい人達ばかりだ。

そう思いたい。

本当にそう思いたい。

だったら、だったら何故この世から犯罪は無くならないのだろうか。

僕は漠然と司法や犯罪といった分野に興味があった。

だから毎日こんなことを考えながら道を歩いていた。

僕も無意識に人を傷つけた事はあるのだろう。

でも犯罪とは無意識に起こる物ではない。

何故、犯罪は起こるのだろうか。

何故、何故、何故

いつもこんな事を考えながら歩いていた。

今日もそんな事を考えながら歩いていた。

そうしたらマンホールに落ちた。

すっごい思いっきり落ちた。

すっごい音がした。

「ゴッ」って

すっごい鈍い音がした。

なんか何て言うんだろう急に地面が消えた。

人は頭が重いから前向きに落ちるとか言うけど僕は何故か後ろ向きに落ちた。

落ちていった時の記憶がある、この時の景色は青空だった。

別に視界が悪かったとか暗かったとかではなくシンプルに僕のミスです。

ちなみにその時周りにいた人は急な事だったので僕が穴に落ちたという事が理解できず急に青年が消えたと軽い騒ぎになった。

まぁその後助け出されたんですけどね。

ちなみに僕がマンホールに落ちた所は今、「人が急に消える心霊スポット」的な感じでちょっとした有名地らしい。

僕地元だと死んだことになってんの?

ああ恥ずかしい。 この記憶は思い出すだけでも恥ずかしい。

穴があったら入りたい。

いや穴に入ったからこんなことになったんだけどさ。

病院で目覚めた僕はそこから警察に事情聴取をされた。

それが今に繋がっている。

病院の人は「例のマンホールに落ちた患者さん」という扱いだったし、家族には「ボーっとしてたら穴に落ちました!」というのは当時中学生だった僕には死ぬほど恥ずかしい事だった。

でも警察官の方は淡々と事務的にというか最初は中立な立場で話を聞いてくれた。

それが逆にありがたかったんだ。

そんなこんなで警察官に助けられたというこの経験+そっち系に興味があったんで僕は警察官になった。

そして若手ながらめっちゃ出世した。

検挙率もトップクラスだ。

意外とお金ももらえてる。

通帳を観るたびにフヘへへへへへへへへッッッホゥ!!!!!

ってなる事も多かった。

あぁでも税金泥棒とか思わないでね。

僕最前線で活躍してるんです。

ヤバい犯人を追っかけて手錠をかける人です。

ヤバい犯人と乱闘になった事も何度かある。

ね、頑張ってるでしょ?

そんな感じなんです。 僕。

だいぶ言い忘れてましたが僕は竹本
若手の警察官だ。

ハイ、そんな感じです(?)

「2」

未だ凶悪犯罪率の減らないこの国。

そんな犯罪者の検挙は簡単かと言われると絶対にそうではない。

そんな現状を打破するべく政府は警察庁長官と相談し試験的に新たなチームの設立を全国の各警察署に命じた。

その名も

「あの、優秀、何かが得意な人達を集めて一個のチームにしちゃおうよ、そうすればさ、いろんな視点から犯人とか追い詰められて犯罪者をすっごい捕まえられるんじゃね?チーム(仮)」

通称「少数精鋭戦略犯罪追求捜査部」

略して「ツイソウ」

なんか麻雀の役みたいじゃない? と思った方。

それでいいんですよ(?)

そんな「ツイソウ」に若手のエースという経歴が評価され竹本は配属された。

そんな竹本の日々が今、始まる。

今っていうかもう始まってる。

ちなみに警察庁長官は「布袋 昼太(ほてい ひるた)」という。

彼も苦労が多い。

彼はバキバキの筋肉がトレードマークのボディビルダー系警察官だ。

なんか書いていて思ったけどボディビルダー系警察官って響きが料理系Youtuberみたいですね。

この男は非常に正義感が強く、妥協を許さない圧倒的な姿勢を見せ、キャリア組ではないのに警察庁長官まで上り詰めた。

トラックに4回轢かれたが4回とも自分は無傷でトラックが大破する。

そんな熱い男だ。

ただ一度だけ不祥事?があった。

ボディビルの大会に出場した時に布袋の余りのマッチョさに観ていた観客が大会が終わるころには全員バキバキのマッチョになっているという事件が起こった。

翌日の紙面には「警察庁長官が出場のボディビル大会で強制マッチョ事件発生」という前代未聞の記事で溢れた。

その日は臨時の国会が開かれ野党は与党に対して「現役の警察庁長官がこんな不祥事を起こすとは何事だ! 与党は責任を取れ!」と激しく追及した。

与党は「何が起こったかは確認中であるけど話を聞く限りこれって与党の責任なんか?」と国会で大激論が起こったが2時間後にはもうお互いが何を喋っているのかワケが分からなくなり、ワケが分からくなった結果、

その日の国会では税金の完全撤廃、大学卒業まで学費が全部無料、全国民に
八億円の給付が決定したというのはまた別の話・・・

「3」

竹本「今日からこの警察署のツイソウに配属されました、竹本と申します! よろしくお願いします!」

配属のその日 どこからか聞こえるイビキを無視して竹本は元気よく挨拶をした。

ツイソウ部の部屋には3人の人間がいた。

流石、少数精鋭といったところか。

?「君が竹本君か」
竹本「はい。」
?「初めまして、ここのツイソウ部の部長を務める鯨井(ほげい)だ。」
竹本「ほげぃ? ・・・鯨井部長、よろしくお願いします!」

鯨井部長は正に歴戦の警察官といったところか。

胸ポケットにパンパンに馬券が入っている事はこの際無視しよう。

鯨井「よろしくな。 そしてあそこにいるのが・・・」

鯨井が指さす所に目をやるとそこにはスーツがよく似合う、まるでモデルの様なスラッとした女性がいた。

言われなければ警察官だと気が付かないだろう。 それくらい美人。

?「竹本君、初めまして。 あたしはアスナ。 気軽にアスナって呼んで」
竹本「アスナさんですね。 よろしくお願いします。」

首からヌンチャクがかかっている事を無視すればこの人はそんなにヤバい要素は無いと思う。

いや、これはめっちゃヤバいタイプか。 

端麗な容姿と目を引く首のヌンチャクが人物判断の難易度を狂わせる。

あと一人は・・・

机に脚を乗せ椅子にもたれかかり大きないびきをかいている・・・

まさかこのヒト!?


SUIMIN刑事 明智 #.1 終


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