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春の中で
桜は見たけれど
まだ春は見ていない
春はそばに居るというのに
寄り添うことを
していないのだから
それもそうだ
会いに行きましょうか
青春はこれからなのだから
下ろしたての
ツートンブルーは
確かな
今朝の色に相応しく
海のようで
空のようで
Saturday morning
漂いましょう
水平線に包まれて
きれいな
アルペジオの
曲だけを集めてみよう
急かされそうな
まわりの足取りに
靴底が擦り減らないように
きれいな
アルペジオの
曲だけを集めてみよう
立ちどまる信号にだって
確かな理由が
あるのだから
暖をとりましょうか
冬の季語に蘇る
あの頃の風景で。
何も贈ってないけど
誕生日おめでとう
あんたが元気なら
それでいいと
電話の向こうは
なんだか忙しそうで
それじゃねと
切った電話
ふと見上げた夜空
自分の声は
あなたからの贈り物
なのだなと
あなたの誕生日には
おめでとうよりも
ありがとう
なのだなと
やかんに残ったお湯を
流しに捨てた
いつもごめんね
いつもありがとう
またどこかで
ファンとは。
そんなに振り払わずに
今日くらいは
もう少しゆっくりして行きなと
あのひとがそう言うから
もう少しだけ眺めてみましょう
澄んだ青空に浮かぶ
やさしいあのひとの笑顔
「日々」
日々、幸せで不幸せなのか
日々、不幸せで幸せなのか
どちらにせよ、
日々を迎えて
日々を過ごしている
日々を終える
その時まで。
ねこがしずか
どこでしずか
あそこと
あそこと
ここで しずか
ぼくもここで
しずかな ねこ。
詩/Nashvilleと虫の声
早めの仕事終わり
早めの買い出し
早めの酎ハイと
早めのちょいっ服
煙草が見当たらない
そうだ車の中だ
玄関を開けた
いつもの通い猫が来なくなって
もう何日経ったのか
足元の雑草
今夜の雨を感じる水分
目に映るのは
灯りが灯る前の照度
視界のフィルターはNashville
あいつとの最後は
いつだったっけ
煙草の煙と
7月7日の虫の声
小川を流れる笹の葉は
流れに身を任せ
朽ちる前にと海を目指す
願いの短冊は忘れました
私の願いを叶えてくれるは
誰かのクチバシか
誰かの囁きか
今はただ このままで
星の夜を待ちます
今はただ このままで
しなやかに
傷つけないようにと
選んだ言葉は
心の指先を掠める
カヤの諸葉
きっと
あのひとも
きっと
わたしも
と。
単純で
簡単なのに
難しくって
知らないことって
沢山あるから
汗かいて
涙して
嫌んなって
持ち直して
磨かれる
単純で
簡単なことって
難しくて
知らないことが
あるのよ。
出て行ったのは
ぼくのほうなんだけど
僕の中から出て行ったのは
きみのほうなんだ
だから
今でも僕は
寂しい
ふたりで居るよりは
ずっといいよ
なんて
苦い珈琲には
お砂糖を少しだけ。