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【エッセイ】スプラッター映画を観た後にひき肉料理を食べたくなることがある

子どもの頃から、漫画やアニメ、ゲーム、映画などの影響を受けやすかった。
様々な作品のキャラのマネをしてはふざけ合う。そんな、どこにでもいるような少年時代を過ごした。
 
それは、トランプをやっている時、カードを引くときに「ドロー」と叫んだり、「指銃」と言いながら友人を突いて、自分が突き指をしたり、部活で使っていた道具に、「斬魄刀」風な名前をつけていたりなどなど。思い出せないものも含めると、自分でも把握しきれないほどのマネをしてきたと思う。
 
そのどれもが、黒き歴史でもあり、青き春の思い出の数々だとも言える。
漫画やアニメなどの影響を受け、マネをするという行為は、何も特別なことではなく、多くの子どもにとっては、“自分”という人間を形成していく中での、ある種の通過儀礼的なものだと思う。
こ、決して子どもだけの特権ではなく、何歳になっても、人は何かの影響を受け、心の鐘が響く音が聞こえるものだ。
 
自分自身、成長し、年齢を重ねていくと、技名を言って何かを繰り出すマネをすることは少なくなっていくが、心の中で唱えていることはよくある。
駅の改札を通る時に「変身」と心の中で呟いたり、焦っている時に心の中で「ザワザワ」とBGMが鳴り出したりなどなど。口に出さないだけで、変わっていないなと自分でも思う。
 
また、観た作品の影響は、自分の趣味嗜好にも直結する。
その時々にハマっている作品の影響で、ファッションの傾向も変わってくる。これは、コスプレやそのまんまの服装をするというわけではないが、影響を受けた作品の世界観に合うような服装をついつい着てしまう。
 
タバコを吸い始めたのも、地元のヤンチャな先輩の影響なんかではなく、次元大介や狡噛慎也、レヴィなど、いろんなキャラの影響だった。
今は、基本的には禁煙しているが、いい喫煙シーンや美味そうにタバコを吸うキャラが出てくる作品を見た後は、その影響がなくなるまでは、ついついまたタバコを吸ってしまっている。
 
そんな中、少し前から、観た作品の影響が、その後に食べたくなるものにも出てくるようになってきた。
昔から、ジブリ映画に出てくる食べ物が美味しそうだったり、グルメ漫画に出てくる料理に憧れたりなど、「食」の部分で影響を受けることはあった。
 
ただ、最近は自分でも予想してなかった角度で、食欲が刺激されるようになってきた。
それは、ゾンビ映画をはじめ、残酷でグロテスクな描写がある、いわゆるスプラッター作品を見た後に、ハンバーグやボロネーゼなどのひき肉を使った料理が食べたくなることがあるのだ。
これは、ひき肉料理に限らず、見た作品によっては、ホルモンやソーセージが食べたくなることもある。
 
ただ、こういった料理が食べたくなるのは、作品を見ている最中ではない。
ゾンビが人を食べていたり、殺人鬼が残忍な処刑をしているシーンでは、ちゃんと恐怖を感じているし、その世界観の中に入り込んでいる。
 
あくまでも、見終わった後の、余韻を感じている時にお肉料理が食べたくなるのだ。
 
これだけを聞くと、あたかもサイコパスの気質があるようにも見えるが、そんなことはない……はず。
作品を観ている時は、作中の世界に没入しているが、観終わった後、現実の世界に戻ってきてからは、作品がフィクションであるとわかっていて、割り切っている。
だからこそ、こんな考えが浮かぶようになったんだろう。
 
年齢を重ね、様々な作品を観てきた今になって、スプラッター作品の影響が食欲に繋がってきたのだと思う。
とても、大人の思考だとは思えないかもしれないが、自分の中では、ある意味これも成長だと捉えている。
 
これからも、観た作品の影響受けていくだろう。
その影響の受け方やマネの仕方はその時々で変わるはず。影響の受け方が変わることで、また成長し、経験を積み重ねた証になればいいなと思う。
 
とりあえず今は、お腹も減ってきたし、新しいスプラッター映画を観ることにしよう。
今の自分にとって、スプラッター作品はグルメサイトのようなものでもあるから。
 
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