お前の炎は青く燃えているか【映画:BLUE GIANT感想文】

自分自身を燃え尽くすほどの情熱を持って、無我夢中で何かに打ち込んだことはあるだろうか。
甘酸っぱい青春も素晴らしいが、泥臭くても、がむしゃらに、一心不乱に、ひたむきに夢のため努力を惜しまない、燃え盛るような青春は、見る人の心も熱くするほど美しい。
宮本大にとってそれが、サックスであり、ジャズである。

一つの道を極めようと思った時に最も大切なのは、努力や才能、技術、経験といったものよりも“熱”だと実感した。
熱意、熱量、熱中、熱血、熱戦、熱烈……。これらは、熱波となって、自分にも他人にも伝わっていくはず。
 
一度音が鳴らされれば、そこは映画館からライブハウスに一変。
この作品は、見る時の環境に応じて、受ける衝撃の量、熱くなる体の温度、震える魂の大きさが変わるのは間違いない。
映画を観たというよりは、聴いた、いや感じたと表現するのがしっくりくるかもしれない。
 
大と雪祈と玉田の3人、ジャス(THE JASS)の演奏が盛り上がれば盛り上がるほど、シアター内の熱気も高まり、体が熱くなっていくのを感じた。
ジャス(THE JASS)は、世の中に数多いるトリオの中でも、トップクラスのバランス、コンビネーションだと思う。それくらい好きな3人組だ。
 
大人になるにつれ、妥協や打算を覚えていきがちだ。もちろん、そうではない人もいるし、それが悪いことだとは思わない。
でも、自分の夢のために我が道を突き進む人には憧れを抱いてしまう。尊敬と言ってもいい。
この映画は、夢を持ったことがある人、夢のため努力したことがある人、夢はあるが思い悩んでいる人、夢に敗れてしまった人、夢を叶えた人、まだ夢を持っていない人にオススメしたい。
要するに、ほぼ全ての人に見てもらいたいということだ。
大袈裟でハードルが上がってしまうと思うが、そう言ってもいいほどの衝撃を与えてくれるはず。
その衝撃は、見る人の年齢が上がれば上がるほど大きくなるだろう。それは、振り返る人生が長ければ長いほど、その分、思うことや考えることがあるからだ。
 
正直、この映画がまだ刺さる自分で良かったと思う。
心の中の種火はまだ消えていなかったんだと再認識できた。そう思いたいだけかもしれない。でも、それでいい。
心に灯った小さな火を大きな炎にすることができるのか、その炎を青く燃やせるかどうかは自分次第なのだから。
 
ただ今は、ジャズの海に溺れていたい……
 
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●人生で何かに打ち込んだ経験がある人へのオススメ度:☆☆☆☆☆
●音楽を聴くというよりも浴びたい人へのオススメ度 :☆☆☆☆
●少し独特なCGを見ると酔う人へのオススメ度   :☆☆
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