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【業務改善】なぜあの俳優は言うことを聞いてくれないのか?

映画制作のハウツー本は探せば山のように出てきますが、現場で俳優ともめたときに監督はどうすればいいのか?についてまとめた本はこれだけだと思います。

「監督と俳優のコミュニケーション術 なぜあの俳優は言うことを聞いてくれないのか」
ジョン・バダム&クレイグ・モデーノ著


脚本があって、プロデューサーがいて、演出部、技術部、美術部、制作部など数多くのスタッフに囲まれながらも撮影の現場で、カメラを通して俳優と向き合うのは監督だけとなります、組織的には監督をトップとした指示系統で「軍隊」のような体育会を思わせるが、総合芸術で構成員すべてが持てるパフォーマンスを発揮できないといい作品にはならない。


トラブルに遭遇した監督たちを助けてくれる人はいないと思う方がいい。みんなが意見を出し合ったところで、解決はしないからだ。よかれと思って提案しても、船頭多くして船山に登るだけである。周囲の人たちが口を出し始めたら俳優は混乱し、演技がめちゃくちゃになる。(第1章 俳優に信頼される監督になるために P23)

このスタート点から監督と俳優はどのようにコミュニケーションを取ればよいのかをケーススタディを紹介しながら本作は展開します。

俳優をズタズタにする監督も多い。冷たく突き放したり、プレッシャーをかけて脅したり、よくここまでと思えるような。扱いだ。こうした監督たちは恐怖を与えて支配する。(中略)大物監督になれない者たちの中には、下っ端だけをいじめる情けない輩もいる。(第1章 P24)

絶対にキャストと喧嘩してはならない。監督が必ず負ける(中略)
誰だって感情を否定されれば不愉快になる(中略)相手にへつらう必要はない。「いやな思いをされているんですね」と気づいてあげるだけでいい。
(第1章 P38)

この本が面白いのは、分かりやすいプロジェクトとしての映画製作の話をしながら、実は「企業経営」、「組織マネージメント」、「デザインプロデュース」などの参考になる人と人とのぶつかり合いをどう良い方向に導くかのハウツーが珍しく具体的に書かれているからなんです。
過去のマウント・パワハラマネージメントが結局ロスが多くて否定される時代にあって、自分と違う特技を持つ相手により力を発揮してもらうための操縦術、マネージメントのヒントがたくさん見つかると思います。

第2章ではさらに分かりやすく「していいことと、わるいこと」が具体例を挙げて紹介されます。

その中からいくつかをご紹介します。

ポイント
2、相手のわがままにふりまわされないこと。
3、自信をもってふるまう方法をみつけること。
4、「わからない」と言うことを恐れないこと。
11、演技の指示は質問の形に変えて伝えること。
12、無意味な言葉でハッパをかけないこと。
14、演技の軌道修正をおそれないこと。
15、俳優へのコメントは肯定的な言い方にすること。
18、俳優に嘘をつかないこと。
22、俳優とクルーにお礼を言うこと。
23、演技について俳優に話すのは監督だけ。ほかの誰にも話させないこと!

「俳優」という部分を「クライアント」「上司」「デザイナー」として読み替えると、広いジャンルで応用できる話だと思います。


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