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九州場所まとめ

初日の若隆景と高安の一番見ましたか!?
もう、高安がゴリラにしか見えませんでした。私はこんな一番が見たかった。あの互いの気迫の凄まじさ。たぶん私が本気で生きていないから、命懸けで本気出して戦ってる人を見ると、その人に自分のなかで燻ってるエネルギーを託して、自分の代わりに戦ってほしいと思うんでしょうね。ちなみに若隆景って言いづらいですよね。アナウンサー泣かせな四股名だと思います。

正代は負けたときに「やっぱりね…」って心の声が顔に出てました。やっぱりね……ではなくて、そこは大関なら、「クッソー!」って表情を見せてほしかったです。でも、正代がオラオラ系の関取になったらなんか違う。それは正代ではなく別の人間になってしまう。正代ファンは相撲内容や結果というより、正代の人柄を愛しているんでしょうね。

大関陣、先場所に比べれば気合いを入れ直したというか意地みたいなものを感じた場面もありました。特に貴景勝。

物言いの風景は、まるでヤクザの親ビン大集合の図です。タイトルをつけるなら「万事休す─行司リンチに遭うの巻─」と、いったところでしょうか。

碧山の後ろ姿は、まるでルーベンスの描く三美神のようです。

北勝富士の気合いの入れ方、立合いのイメージは、まるで「興奮MAXの牛車」です。

負けた力士の心境とは、どんな感じなのでしょうか。あなたは何千人が自分を見てる前で、テレビカメラが回ってる前で、お尻出して戦って投げ飛ばされて負けたとき耐えられますか?もしも私が力士で負けたなら、恥ずかしく思うかもしれません。だから土俵を降りて姿が見えなくなるまで、顔を撮さないでほしいです。

野球やサッカーだったら「アイツの足が遅いから」とか「アイツのパスが悪かった」とか内心こっそり、人のせいにできるけど、相撲はそんなワケにはいきません。

人間、罪悪感を感じるのもイヤ~な気分ですが、もしかしたらそれ以上に恥をかくのはもっとイヤ~な気分かもしれません。私は、人から自分から「イタい奴」とか「勘違い野郎」と思われるのを恐れています。何を「恥」と思うのか。それは人それぞれです。負ける、ということが恥なのか。自分の相撲を取れなかった、ということが恥なのか。本気を出さなかったこと、が恥なのか。力士たちの精神の鍛え方や物事の捉え方も気になるところです。

それにしても、幕の内土俵入りのとき、化粧まわしを少し上げて土俵に上がる力士たちの姿は、まるで貴婦人がドレスの裾を上げているようで麗しいお姿です。
……からの

パチン、
ひょい、
ふわっ、
わーい。

力士達が土俵を囲み両腕の上がった光景はガスコンロの「強火」の図です。

横綱休場は、つまらなくて寂しかったですが、ケガして手術して、それでも命を削って戦ってゆくのは大変なことです。フツーに生きてるだけですごいことだと思います。

12日目の豊昇龍と大鵬の一番。よく、豊昇龍の顔面凶器の圧に屈せず大鵬は勝ちました。土俵上では何が起こるか分からないから楽しいです。負けた豊昇龍に話しかけたリポーターが殺されないか心配でした。

先場所優勝のイケイケだった玉鷲でしたが、九州場所は負け越しました。こういうのも毎回どうなるか分からないものだなと思いました。玉鷲は「あれ、負け越してたんだっけ?」と思うくらい気持ちが軽いです。一日一番を生きていて本当に引きずらない人なんだなと思いました。そんな玉鷲。何日目だったか忘れましたが、物言いの最中に結果を待っている力士(これも誰だか忘れた)の乱れた締込みを後ろから直してあげていました。なんだかもう…「やさしいお母さん」という感じで愛を感じました。

相撲ファン歴の浅い私は、解説を聞いていて、力士の辿ってきた過去を知ることがあります。この力士は大関経験があったけれど脱落して、何度も何度も悔しい思いをしてきても、腐らず、諦めず、這い上がってきたことを知ると応援したくなります。

優勝決定巴戦、というものを初めて見ました。高安がテレビカメラの前から姿を消すときに、悔し泣きをしている姿に、私も泣きそうになりました。阿炎の変化…高安の脳震盪(?)…いろいろ思うところはありましたが……これが、これも、相撲なんですね。優勝インタビューで涙ぐむ場面があった阿炎の気持ちも、伝わるものがありました。

とりあえず、みんなお疲れさまでした。楽しかったです。来年も楽しみにしています。

向正面解説、まゆみ山でした。





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