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白ワインと3日前のケーキと『大豆田とわ子と三人の元夫』(連載予定(?)「映画とごはんとワンルーム」)

登場人物
僕:22歳、会社員。裏の顔はヒヨッコ映画監督。お姉さんのことが好き。
お姉さん:25歳、会社員。たぶん、僕のことよりお布団とごはんと映画が好き。

本日の献立
・お姉さんが「とにかく飲みやすいものをください」と聞いて買ってきた白ワイン
・先週の金曜日にLUMINEで買ったケーキ
・仕事帰りに買って帰った表参道のシュークリーム

月曜日の夜22時。ゲツヨービという魔物と対峙した大人たちがそろそろ寝る準備を始めようとしている頃、僕たちの夜は始まる。

とわ子「賞味期限切れてる?」
八作「5日以内なら平気だよ」
とわ子「前は3日以内って言ってたけど」

『大豆田とわ子と三人の元夫』シーズン1-9「遂にクライマックス!最後の決断・幸せの行方」より

テレビが映しているのは『大豆田とわ子と三人の元夫』第9話。八作ととわ子が"そういうの"の話をするあの名シーン。この時、メソメソ泣いてる僕らに可愛らしいケーキフォークでつつかれているのは、金晩に買ってきたロールケーキ。食べかけのまま3日間、このケーキは僕らを待っていた。

"もしも"のとわ子と八作が5日前のマドレーヌで仲直りするのを見ながら、僕らは、中にプリンの入ったクリームたっぷりのロールケーキと、サクサク生地の甘さ控えめシュークリームを口いっぱいに頬張り、甘ったるい口を白ワインで浄化する。

八作「そういうのがさ」
とわ子「あったのかもしれないよね」

『大豆田とわ子と三人の元夫』シーズン1-9「遂にクライマックス!最後の決断・幸せの行方」より

「「ウ"ッ……」」

これが、僕とお姉さん。
生クリームの甘い香りが心地よいワンルーム。僕らも世間にうまくカモフラージュし、シャカイジンとして堂々と月曜日を戦い抜いてきた戦士だ。だがしかし、映画であれドラマであれ、世界の良作は僕らに優しくなんてしてくれないわけで、月曜の夜なんて関係なしに坂本裕二の紡ぐ言葉は僕らの息の根を止めにくる。

4月2日、お姉さんの友人のススメで観始めた『大豆田とわ子と三人の元夫』
23日間の長旅を経てぶっ刺さり10話を完走した。

「私の好きはー」

『大豆田とわ子と三人の元夫』シーズン1-9「遂にクライマックス!最後の決断・幸せの行方」より

僕の好きって何かな?と思った。
きちんとした愛とか恋とかよくわからない僕に「好き」なんてまだわからないけど、でももしかしたら、僕の「好き」の17番目くらいは「月曜の夜にケーキをつつきながら大豆田とわ子に頭を抱えること」ってのがあるのかもしれない。

だから僕はお姉さんに秘密で、こんな連載になるかもわからない連載を始めた。
でも僕のことだから、すぐ口を滑らせてお姉さんに言っちゃうかもしれない。

3回結婚しても3回離婚できるんだし、お姉さんはそろそろ僕を旦那さんにする覚悟をつけてくれたっていいよね。
次は何を観ようか。


おわり


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