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「香港 ほんこ〜ん」vol.1(〜2019/5まで)

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中国と違い、マスメディアがきちんと追えていない香港社会事情。わたしが2019年5月末までに配信した香港事情関連の記事をマガジン形式でまとめておきます。以降は1年に1冊の形で別途マ… もっと読む
日本のマスメディアで香港に常駐記者を置いているメディアは少数です。また、記者を常駐させているメディ… もっと詳しく
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#雨傘運動

【ぶんぶくちゃいな】梁文道講座「北京の目に映る香港」その2

(「北京の目に映る香港」その1からの続きです)

●香港民主活動家の「遺言」梁文道:ぼくがここで皆さんにお話したいのは、「北京の目に映る香港」とはどういう意味か、ということです。

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【ぶんぶくちゃいな】梁文道講座「北京の目に映る香港」その1

香港の片隅にある小さなコーヒーショップで毎月1回、非常に興味深い文化サロンが開かれている。この「ぶんぶくちゃいな」でも昨年インタビューを掲載した周保松・香港中文大学教授が運営する「Brew Note 文化サロン」(「Brew Note」は会場になっているカフェの名前)が主催する、文化教養の向上や思考の刺激を目指す講座である。

周教授にはわたしも昨年、大きく揺れている「香港人」のアイデンティティに

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【ぶんぶくちゃいな】「秋後算賬」:香港雨傘運動から4年目の冬

今年9月28日、あの雨傘運動開始から4年目を香港で迎えた。

雨傘運動のことは、初めて香港に来たという東南アジアのフェローたちも知っており、「4周年の日には何があるのだろう」という期待感が漂っていた。

ただ、学生たちが中心となって盛り上がった運動だったというのに、その日が近づいてもそれを感じさせるようなものは、私たちが暮らしていた大学の中でも目につかなかった。一つ、学部ビルをつなぐ長い廊下に体験

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【ぶんぶくちゃいな】周保松・香港中文大学教授「いまは、何をもって香港人と呼ぶのかを考えるべきときだ」

6月初め、正確に言えば、天安門事件記念日の6月4日当日、香港で周保松・香港中文大学教授と面談することができた。周教授は2014年に世界中の目を香港に集めた雨傘運動で、学生に理論的、精神的支援を送り続けた。そして最終的に運動が警察によって強制的に路上から排除されるとき、道路に座り込んで学生たちとともに逮捕される道を選んだ。

現在は、大学での授業のかたわら、メディア、オンラインを通じて政治に対する思

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【読んでみました中国本】30年前のあの日は人々にとって何を意味するのか:安田峰俊「八九六四 『天安門事件』は再び起きるか」

◎「八九六四 『天安門事件』は再び起きるか」安田峰俊(角川書店)

「八九六四」。なんと刺激的なタイトルにしたものだ。

一般の日本人はほとんどぴんとこないだろうが、中国語のネット情報に触れている者なら一目見ただけで説明はいらない。1989年6月4日、あの天安門事件の日を意味している。

改革開放派だったが失脚したまま亡くなった胡耀邦・元中国共産党総書記の死がきっかけになって、政治改革を求めて天安

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【ぶんぶくちゃいな】「香港衆志」:政治青年たちの青春残酷物語

月刊「ぶんぶくちゃいなノオト」の「すり替えられた、中国政権下の『香港』『民主』『選挙』」で、3月に行われる香港立法会選挙に政党「香港衆志」から立候補した周庭さんが、その参選資格を剥奪されたことを取り上げた。香港の若者たちを中心に盛り上がる民主化運動にとって大打撃ともいえる事件となっている。

2月12日に香港のネットメディア「端伝媒」が「香港衆志」のメンバーたちに詳細なインタビューを行い、最新の状

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【ぶんぶくちゃいな】「香港の未来」に出口はあるのか

香港の民主派にとって、今週は運命に翻弄された、かつてない一週間となった。

まず、「中国NewsClip」でも触れた「ホチキス十字架事件」の“被害者”林子健氏が月曜深夜、正確に言えば火曜日未明に「虚偽の被害届を出して警察を翻弄した」容疑で逮捕された。

事件の顛末は先週の「ニュースクリップ」でもご紹介したが、改めて触れておく。

8月11日午前11時、香港の政党「民主党」が緊急記者会見を開き、党の

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