ロシアの侵攻口実は中国も使える悪魔の実

■ウクライナの侵攻口実
 ロシアは2月24日にウクライナに侵攻した。だが半年経過してもロシアは勝利を得られない。ロシアはウクライナに侵攻しないと公言したが侵攻している。それが今になってウクライナに侵攻した理由を説明した。

「ウクライナ侵攻は対露攻撃の予防措置」メドベージェフ前大統領

 ロシアはNATOによるロシアに侵攻する危機感を感じ、予防措置としてウクライナに侵攻したと説明。ソ連時代は西ヨーロッパに勢力を拡大し戦争まで目前だった。冷戦が終わるとNATO圏が拡大しロシア半包囲する様になった。NATOは先制攻撃用ではなく侵攻されてから機能するが、ロシアは危機感を感じ先制攻撃の理由に変えた。

■非武装中立の悲劇と憲法9条の答え
 紀元前のギリシャ世界は現代で使われる大陸国家と海洋国家の対立構造が存在していた。今から3000年前の世界は現代の国際情勢と同じで、3000年前の国際情勢を知ることは現代の国際情勢を知ることと同じなのだ。つまり人間は、技術は進歩しても本質は変わっていない。

 エーゲ海南西部に位置するミロス島の都市国家は非武装中立を唱えていた。ミロス島の都市国家の国防方針は、仮に侵攻を受けた場合は「アテネかスパルタに救援を求める」と定めた。これは他力本願の典型であり、自分たちで都市国家を守らず有力な都市国家に軍事を依存した。悪く言えば自分の命を他人に任せたのだ。この方針が実際にミロス島の悲劇に繋がった。

 ミロス島の方針には致命的な欠点が有り、アテネとスパルタが戦争することを想定していない。それが最悪なことにスパルタ(大陸国家)とアテネ(海洋国家)が戦争を開始し、後にペロポネソス戦争(紀元前431-紀元前404)と呼ばれるようになった。

スパルタの指導者はアテネに挑戦する時、「勇気有る指導者は現在の平和を維持しようと努力するよりも、危機の早期に戦争を決断して勝利し新しい平和の構築を考える」と演説して戦争を開始。

 ミロス島が頼りにしていたアテネとスパルタと交戦を開始するとどうなるか?ミロス島の方針は霧散し守ってくれる存在が消えた。自分の命を他人に任せたらどうなるのか?アテネはミロス島の戦略的価値を知っており、敵であるスパルタに占領されたら不利になる。そこでアテネは戦略的価値が高いミロス島を予防措置として占領した。

 非武装中立を選んだミロス島の結末は悲劇である。占領されると男は殺され女は奴隷として売られた。「中立は武装により成り立つ」。これは現代でも使われる国際社会の現実であり、憲法9条は紀元前の時代から使えない概念であることを教えている。

 ルクセンブルクは建国時に非武装中立を選んだが、第一次世界大戦・第二次世界大戦でドイツの侵攻により占領された。戦後のルクセンブルクは1949年にNATOに加盟し非武装中立を放棄した。

ベルギーは永世中立だったが、第一次世界大戦・第二次世界大戦後でドイツの侵攻により占領された。さらに1949年以後からNATOに加盟し永世中立を放棄。後にアメリカと核兵器シェアリングを行い間接的な核保有国になった。

■予防措置は現代でも使われた
 改めて現代のロシアを見れば、NATOがロシアを半包囲しているので危機感を感じた。そこで敵に利用される前に、NATO未加盟のウクライナを予防措置として侵攻したのだ。ロシアがウクライナに非武装中立を求めたのは、ミロス島と同じ様に占領することが目的。

 ミロス島は占領されると男は殺され女は奴隷として売られた。ではロシア軍の侵攻を受けたウクライナの住民はどうなった?殺されレイプされたではないか。非武装中立は他人に命を任せるのだから間接的に人権の放棄を意味する。ウクライナは非武装中立を拒んだが、ロシアが非武装中立を求めることはウクライナ人の人権を無視していることを示す。

 非武装中立だから敵国が侵攻しないのではなく非武装中立だから侵攻できるのだ。国際社会には空白地帯は存在しないから、非武装中立ならば敵国に利用される前に自国が使うように侵攻するのが普通。だから日本が憲法9条を持っていても外国には通用しない。憲法9条は外国のものだから侵攻する国には無関係。これが現実。

 戦後日本が憲法9条を持っていても侵攻を受けなかったのは在日米軍が存在するからだ。仮に日本に侵攻すれば在日米軍が反撃する。これが怖いから日本は平和を得た。日本独自の努力ではなくアメリカの核の傘の下で得られた平和なのだ。

■中国が模倣する可能性
 ロシアは予防措置としてウクライナに侵攻したことを伝えた。ならば中国が模倣する可能性が有る。中国はアメリカのペロシ氏が訪台することに反発し軍事演習で威嚇。この時中国は8月4日に弾道ミサイル5発を日本のEEZ内に撃ち込んだ。本来は台湾とアメリカを威嚇することが目的だが日本も巻き込まれたのだ。

 だが日本は中国に対して電話による抗議で終らせた。これは弱腰外交であり外交と軍事をアメリカに依存したことを間接的に認めた様なもの。中国が日本が軍事行動を起こさないと判断すれば、予防措置として与那国島か波照間島に人民解放軍を上陸させる可能性が有る。

 何故なら中国は台湾とアメリカの軍事強化に危機感を感じている。これを理由に予防措置として与那国島か波照間島を占領する可能性が有る。特に可能性が高いのは波照間島。この根拠は、中国が弾道ミサイル5発を日本のEEZ内に撃ち込んだが日本は無反応。この撃ち込まれた海域の近くの島は波照間島。

 中国は日本が波照間島を軽んじていると見なしたら?中国は予防措置として波照間島を占領する根拠にできる。では中国の侵攻を阻止するには、石垣島の基地化・与那国島と波照間島の空母化が必要。空港を整備して艦載機の運用を行えば広範囲の防衛が可能になる。

 海洋国家の島嶼防衛は陸上自衛隊の常駐ではなく、海上自衛隊の艦船と戦闘機隊による制海権と制空権の獲得が必要。何故なら敵に上陸されてからの戦闘では国民を守れない。敵を空と海で迎撃してこそ国民を守れるのだ。

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