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金正恩の強がり

■戦争を臭わせる
 金正恩氏はプーチン大統領と会談。これでロシアが北朝鮮を支援することは明らかになったが、経済・軍事でどこまで支援するかは不明。だが北朝鮮が強気に出るには十分な材料だ。

金正恩氏、ハノイ会談の米国を「不誠実」と批判 国営通信報道
https://www.afpbb.com/articles/-/3222647?cx_part=top_topstory&cx_position=1

■金正恩氏の強がり
 金正恩氏は強気に発言したが、元の状態に戻ることはアメリカが北朝鮮を攻撃する大義名分を得ることを意味する。金正恩氏は戦争をトランプ大統領に売り付けて譲歩を迫るが、トランプ大統領も金正恩氏に譲歩を迫っている。このことを忘れているようだ。

金委員長
「朝鮮半島と地域の情勢は現在、膠着状態にあり、臨界点に達している」
「最近の第2回朝米首脳会談において米国が不誠実で一方的な態度を取ったため、元の状態に戻るかもしれない」
「朝鮮半島の平和と安全保障は、全面的に今後の米国の態度に左右される。北朝鮮は起こり得るすべての状況に備える」

 北朝鮮とアメリカの関係は膠着状態であり臨界点なのは事実。これまでは時間経過と共に軍事的圧力は低下した。だがこれからは軍事的圧力が高まることを意味する。

 この意味での臨界点であり緊張の底であることを意味している。ならばこれからアメリカの軍事的圧力は高まっていくだろう。

■制限戦争
 金正恩氏はトランプ大統領に瀬戸際外交を仕掛けている。瀬戸際外交とはコストが合わない小さな戦争を売り付け、相手国が戦争回避目的で譲歩させる策。これまでは成功したが、トランプ大統領には通用しない。この理由はトランプ大統領が制限戦争を採用しているからだ。

制限戦争論:キッシンジャー(アメリカ)
「交渉と戦闘は段階的に推進すべき。戦略の目的は敵政治意志の譲歩であって敵軍の撃破ではない」

 制限戦争は敵軍撃破が目的の戦争ではない。軍事的圧力で相手国を脅し、相手国に譲歩させる策。仮に戦争が始まっても、軍事作戦は相手国が譲歩することで変化する。これまでアメリカは、朝鮮戦争・ベトナム戦争で使っている。

■状況の変化
 北朝鮮の瀬戸際外交は、これまでのアメリカ大統領には通用した。理由は戦争を嫌い譲歩したからだ。だから北朝鮮は経済的利益を得るだけで終わっていた。だがトランプ大統領は違った。制限戦争を採用しているので北朝鮮に対して軍事的圧力で対抗した。

 北朝鮮はこれに驚き譲歩した。アメリカの軍事的圧力も北朝鮮の譲歩に合わせて段階的に低下。そして第一回米朝首脳会談に至る。

 だが北朝鮮は譲歩すると体制崩壊に繫がる。これ以上譲歩できないから追い詰められた。時間稼ぎのはずが、第一回米朝首脳会談が早期に決まった。北朝鮮は非核化で時間稼ぎをしたが、トランプ大統領は現実的な非核化を追求。これで第二回米朝首脳会談は失敗。

 北朝鮮としては、非核化は体制の安全に関わる。北朝鮮が核兵器を放棄すると、アメリカが攻撃する可能性が有る。だから北朝鮮は核兵器を放棄できない。それにアメリカが北朝鮮を攻撃しない保証は無いからだ。

 北朝鮮の時間稼ぎは終わり、ついに緊張の底に到達した。つまり金正恩氏が言う臨界点。そうなる今後の状況は、アメリカの軍事的圧力が段階的に高まることを意味している。

■核兵器のシェアリング
 北朝鮮の安全は核兵器に保証されている。ならば北朝鮮の非核化は不可能。北朝鮮が国際社会の抜け穴と使うとすれば、北朝鮮が中国かロシアと核兵器をシェアリングすることだ。核兵器のシェアリングは冷戦期に実例が有り、北朝鮮には核兵器は無いがロシアに存在する手法が使える。

 仮に北朝鮮がロシアと核兵器のシェアリングをすれば北朝鮮の非核化は事実。北朝鮮領には核兵器は無いがロシア領には存在する。だから北朝鮮の非核化は事実。仮にアメリカが北朝鮮を攻撃すれば、ロシアが報復用の核兵器を使う可能性を持つ。そうなれば北朝鮮は体制の保証になる。

■核兵器シェアリングの短所
 北朝鮮は核兵器のシェアリングで逃げることは可能。問題なのは北朝鮮の立場が低下すること。弱国が核兵器を求める理由は、保有するだけで強国と対等になれるからだ。

国家戦略=外交×軍事

 弱国は軍事で強国に劣るが、核兵器で軍事を置き換えることが可能。そうなると弱国は強国と対等になれる。この理由から弱国は核兵器保有を選ぶ。

 北朝鮮が核兵器を保有するとアメリカと対等になれる。同時に中国とロシアと対等になれることを意味する。これで困るのは中国とロシア。北朝鮮が核兵器を持てば自国の覇権に置けないことになる。むしろ中国とロシアの覇権から抜け出してしまう。

 これでは中国とロシアは北朝鮮を緩衝地帯として使えない。だから中国とロシアは北朝鮮の非核化を歓迎する。北朝鮮が核兵器を放棄すれば、中国とロシアの覇権下になる。欠点としては、北朝鮮は中国とロシアの覇権下に置かれること。

 金正恩氏は中国とロシアの覇権下に置かれることを嫌っている。だから余程のことが無い限り金正恩氏は核兵器のシェアリングをしないだろう。しかし北朝鮮が核兵器のシェアリングをする可能性はゼロではない。

■トランプ大統領の決断
 次はトランプ大統領の決断になる。金正恩氏は暗に非核化しないことを宣言した。ならばトランプ大統領が軍事的圧力を高める可能性が高い。これで金正恩氏が譲歩しなければ、トランプ大統領による軍事的圧力は段階的に高まっていく。

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