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心の中にワクワクさんを飼う

素敵な喫茶店に行った。奈良の橿原神宮前駅から歩いて10分ほどにある、「ニュー喫茶 ポルカドット」というお店。まちの大通りに面した場所にあるけれど、2階にあるのでちょっと足を運ぶのには勇気がいる。

「だから、気になっていたけど来れてなくて」と知人が誘ってくれたので、私はその喫茶店に行くことができた。確かに階段を登った2階にあるのでお店の中の様子も伺えず、一人で来るのは緊張しそうだ。

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2階に上がって入り口に着くなりこれに出会った。ハイハットシンバルがただ置いてあるのかと思ったら、小物置きの板の上に消毒液が置かれている。手で押すポンプの部分はシンバルが邪魔をしていた。

なるほど、ペダルを押すのか。

喫茶店に入る前から、大当たりを引いたぞ!と確信する入口だった。もちろん内装も最高だったし、ランチのオムハヤシも美味しかった。でも、この"シンバル消毒ディスペンサー"が私の心をガッチリ捉えたのだった。

こういう工夫の産物に出会うと、私は「思いついた時のワクワク感」を妄想してしまう。この使い方に思い当たった時、その人はどれほど気持ちよかっただろうか、興奮しただろうか、と。

この工夫を思いついたワクワクを想像してしまうのは、きっと自分が経験したことがある感情だからだ。小さい時、画用紙を買ってもらった日の、いろいろ企んだあの時間の感情を知っているからだ。

......小さい頃はそういう工夫や思いつきのワクワクはあったけれど、最近はどうだろうか。

とセンチメンタルな気持ちになるつもりだったが、実はこれも"シンバル消毒ディスペンサー"に出会った日に経験した。その日は一緒に仕事をしている知り合いたちの集まりだった。「ラジオやろうよ」とそのうちの一人が言って、私はワクワクが止まらなくなった。

「無事作り出せた」という安心感作り出した後の反応へのドキドキは大人になった今よくある感情だけれど、この思いついたワクワク、つくるワクワクも捨てがたく、大事な感情としてずっと持っておきたい。

ね、ワクワクさん!

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