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鎌倉殿の13人のおかげで上総広常の墓までタクシーで行った

こんにちは、こさです。ADDressという住居サブスクを利用していて、旅する暮らしをしています。いやあ、次の滞在先である一宮B邸の最寄駅が「上総一ノ宮駅」だったのが運の尽きでした。

待って、上総広常ゆかりの地じゃない? 

サーファーの街なので、駅はちょっとおしゃれ

関東圏に長くいるのは久しぶりだったので、数年ぶりに友人と会うことになった。その時は「もう30になるし、アフタンヌーンティーでも決め込んで2/3成人式しちゃう?!」「せっかくだし、着物とか借りちゃう?!」とか言っていたはずなのに。

「こさちゃん、どこから来るの?沿線で場所決めよ」
「千葉の一宮だよ。最寄り駅はね……」

ここではじめて、一宮B邸の場所を調べた。最寄り駅、上総一ノ宮。ん、カズサイチノミヤ……?

「上総一宮って書いてありますね」
「上総広常やんけ!!!」
「くる?」
「行く気運」

こうして、我々の30歳記念会はお流れになり、代わりに上総広常の聖地巡礼の会が行われることになった。ちなみに、例の15話より前です(大河を観ている人にしかわからない話)。

軽い気持ちで始めたらやめられませんでした、大河

玉前神社は上総一ノ宮駅から徒歩5分ほど

タイトルの通り、わたしは今期の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」に、結構しっかりガッツリとハマっている。

なんとなく好きな大泉洋、三谷幸喜映画でめっちゃいいキャラだった小池栄子、オールナイトニッポンから入ってしまい俳優やってる姿を見たことがないままの菅田将暉、その他芸能人に疎い私でも知っている人々がたくさん出ていたというので、どれどれ?と見始めたら、気付いたらどっぷり。

テレビのない多拠点生活でも大河を見るために、私はNHKオンデマンドにも登録している。こちとら本気だからよォ。

上総広常とかいうイケオジ

今季の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」は、北条義時が主人公。鎌倉幕府が出来上がるまでと、北条家が実権を握って行く様子が描かれる(のではないだろうかと思っている)。

とか言うと「あっそう」という感じなのだが、これが面白いんだ……日本史の教科書ではうまいこと頼朝に取り入ったイメージしかなかった北条家、大河ドラマではめちゃめちゃ愉快な家族。

楽天的すぎる父、同じく楽天的すぎて後のことは考えずものごとを進めてしまう兄、気が強くしっかり者で惚れっぽい姉、ちゃっかり者で噂好きの妹というハチャメチャ家族に振り回される、次男坊の北条義時(小栗旬)。彼の不憫さと、滅茶苦茶を押し付けられた時の小栗旬の顔芸がサイコーなのでぜひ見てほしい。

脚本は三谷幸喜。ときおり挟まれるギャグシーンが面白い(小池栄子の北条政子、よいのよ……)のだが、たぶんギャグがないと相当な鬱ドラマだと思う。平安の終わり、人の命が軽すぎるんよ。

頼朝(大泉洋)もワガママプーに見せかけて政治のできる策士で怖いし、弟の義経はブラコンサイコパスで他の兄弟を結果的に殺したりしてて怖い。みんな怖い。

それはそうと、上総一ノ宮駅出て向かいにある
タカラ亭の焼き魚定食(松)めっちゃ美味しいので食べて欲しい

そんな中で我々(大河を観ている友人たちと私)が惚れ込んだのは、佐藤浩一演じる上総広常、上総介殿だった。とんでもないイケオジで、なぜか回を追うごとに可愛いくなる。

初登場時は超大物の貫禄(貫禄は今もあるが)。平氏と源氏、それぞれの従者の前で「俺は自分に得がある方につくぜ」と言い切る、食えない飄々とした印象だった。

頼朝の暗殺の噂を義時に教え、しかし義時を帰さず「本当に運のある男がここで一緒に確かめようや」的なことを言うのだ。コイツもめちゃめちゃ怖い(けどかっこいい〜〜)

そんな我が道を堂々とゆくイケオジが頼朝の御家人になったわけだが、このイケオジ、面倒見がいい。義時が持ってくる困りごとや相談ごとや厄介ごとをいつも聞いてやるのだ。夜な夜なサシ飲みをしたりとか…してて…(すみません、ここから15話以降に書いているので精神が不安定です)

戦ばかりで教養に疎く、吹き込まれた「武衛」という呼び方で頼朝を呼び続ける可愛さ(フランクな呼び方だと広常はおもってるけど、実はめちゃくちゃ敬った呼び方)。

字が書けないと京の人間に馬鹿にされると、一生懸命字を練習する可愛さ。そして練習した字を義時に見られ「他人に言ったら殺す」と言っちゃう可愛さ。(この「殺す」がなぜ可愛いかというと、義時が他言しないと信用している+そんなんで殺すワケないのが察せるくらい義時をかわいがっているからです。そして、言われた義時も笑っているのです(超絶早口オタク)。)

どうして大河は「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」と同じ構成だと誰も教えてくれなかったのですか

この神社から大河の上総広常の衣装をイメージしたのでは?
というほど解釈が一致してる

大河ドラマというのは、史実に基づいた構成だ。だから、Wikipediaを見れば登場人物の没年、死に方、その理由、なんでも分かってしまう。流れはすでにネタバレされている物語なのだ。(それを面白くするんだから、脚本家ってすごいよね)

だから、我々は分かっていた。上総広常という愛すべきイケオジの退場が近いということを(オタク、キャラクターの死を退場と言いがち)。

参拝で合わせる手のひらにも力がこもる。

どうやっても死ぬ人を魅力的なキャラクターにしないでくれ。頼む。上総広常は頼朝の命により殺されるのだ。結末がわかりすぎていてつらい。どうして大河は「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」と同じ構成の鬱ドラマだと、誰も教えてくれなかったのでしょうか。

上総一ノ宮駅の玉前神社は、上総広常が鎧と書状を奉納したところ。奉納したものは焼失してしまったが、内容を記した石碑と立て札が今も置かれている。

頼朝の大願成就を願った書状

頼朝は上総広常を邪魔者として消したが、実は上総広常は頼朝のために祈り、書を書き、神社に鎧と一緒に奉納していた。大河での一生懸命字を練習していたシーンを思い出し、感極まりかけるオタク。

なんだよこのごんぎつねみたいなエピソードは

史実だと、頼朝は書状を見て殺したことをひどく後悔したそう。

玉前神社の名物らしい、はだしの道
3周は拷問に近い

ちなみに、玉前神社はコンパクトな神社ではあるものの、けっこうアクティビティ(?)が多い。水琴窟もある。

お参りした後は、神社すぐの「赤七屋」で休憩するといい。蔵をリノベーションしたカフェで、おでんや昔ながらのプリンを食べられる。

クリームソーダのアイスは自家製だそう

Google Mapで見つけた上総広常の墓

NHKで紹介されたものとは異なります

Google Mapで「上総広常」と検索してみてほしい。するとこの景清塔(布施塚の石塔)が候補としてあがる。上総広常の供養塔といわれているそうだ。

場所は大原駅から、タクシーで10分ほど。遠くないよ、推しの墓参りにいけるんだから。運転手さんも知らないほど、何もない場所にひっそりとある。「下布施の交差点まで行って左に曲がってください」と伝えると理解してもらえると思う。

どこまであるのかわからない階段を登って小高い丘を上がると、供養塔がある。階段は先が見えないだけで、1分もあれば登り終わる。

ウウウ(言葉にならない)

墓は、本当に小さい。周りは藪で、この供養塔のまわりだけ地域の人が掃除してくれているのだと思う。小高い場所にあるものの、藪が高くて見晴らしはない。こんな誰にも見つけてもらえなさそうな場所に、上総広常の供養塔があるなんて。

2万人の兵を引き連れ、御家人たちのど真ん中にいて、頼朝とも近かった上総広常。その供養塔がこんなにひっそりとしてていいのか、と寂しくなった。諸行無常とはこのことか……

大河を観なければ、こんな場所にはこなかっただろうし、一人の武将の死を4/24現在まで引きずることはなかっただろう。15話を終えた感想としては、お墓参りができてよかったという気持ちが強い。もう祈るしかできないからさ……

大原駅からタクシーでいくと、往復4000円くらいかかったと思う。お参りには10分もかからないので、タクシーには待っていてもらうのがおすすめ。大原駅のまわりはなにもないので、電車で行かれる方は時刻表の確認を。いすみ鉄道というかわいい鉄道への乗り換えもできる駅なので、電車旅に組み込んでもいいかもしれない。

上総一ノ宮駅周辺も、大原駅から行ける景清塚も、どうか行ってみてほしい。上総広常の生きた跡を、ぜひ。

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