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【交換日記】幼少期の読書の思い出を語りたかった夏の終わり

2019年8月31日 香良洲あげは

まりこさんから交換日記が回ってきて、最初の感想は「さて、どうしよう」だった。五人でやっている交換日記なので次に回ってくるというかまだ回ってきていないのは私だけなので、ふしぎちゃんの回から続く幼少期に夢中になった本の流れで回ってくるだろうと踏んで盆の帰省で実家からポプラ社の『若草物語』(イラストが本当に可愛い)を持って帰ってきて更にぐりこがこのあいだ置いていった吉川トリコ『少女病』を読み進めているという私にしてはめちゃくちゃ珍しい用意周到さで回ってくるのをじっと待っていた。

というのも、戻ることが決まっている田舎暮らしをしていて引っ越すときに箱詰めするのがどうにも面倒という理由で私の蔵書は段ボールに入れられたままお仕置き部屋のような納戸の一番奥にしまい込まれているため、読みたい本を取り出すことが物理的に不可能なのだ。どうしても読む必要がある本は買って読むので川上未映子『きみは赤ちゃん』はハードと文庫で二冊持ってる。読書家を自称するほど本を読んでいるわけではないけれど、今この瞬間に必要な本が手に取れないというのはとても苦痛なので早く普通の暮らしがしたい。

そういうわけで手元には直近二年間で購入した本しかなく、本当に珍しく事前準備をしておいたわけです、で、いざまりこさんの日記を読むと、私も毎日読んでるけどこぐまちゃん?ジョゼは好きだが他悉く挫折していて全然詳しくない田辺聖子?舞台も観に行ったね本谷有希子?てか幼少期の読書どこいった?そして極めつけは既知の作家を追うのにも精一杯で発掘などまったくできていないし何も勧められない!!!からの「さて、どうしよう」なわけで。

ここだけ読むとdisってるみたいに読めてしまう人もいるかもしれないけれど笑、私はこういう自分が想定していなかったことが起こるのが全然嫌じゃなくて、むしろ面白いと思っている節があって。考えてみると第一希望じゃない学部に入って仲良くなった友人たちとこうやって大人になっても文章を書いて遊んでるとか、当時彼氏だった夫とアイドル現場に行くようになったとか、仕事も数年おきに強制転勤があるし、今縁もゆかりもない知り合いもいない土地に住んで車を乗り回していることも、もちろん予想なんかしてなかった。極めつけは日々ほとんど二人で過ごしている子の行動とか嗜好そして意思、まりこさんも言ってたけど本当に予測できない。まぁ人生三十数年やってくるとそろそろ自分の嗜好や思考に慣れすぎていて、自分の頭だけで何かするみたいなの頭打ち感ないですか?だからこうやって誰かに何か勧められたり自分の思っているのとは違う方向に物事が進むみたいなのは引き続き楽しんでいきたいし歳取っても思考停止せずにいたい。

そんなことを考えている最近、上野千鶴子と湯山玲子の対談『快楽上等!3.11以降を生きる』の「快楽とセクシュアリティ」の章に出てきた「予測誤差」の話を面白く読んだ。


上野 (中略)マスターベーションの快楽と、相手のあるセックスの快楽と、どちらも快楽には違いないが、相手のあるセックスのほうが、快楽が深いのは理由があると。ほら、自分で自分をくすぐるのと、相手にくすぐられるのと、どっちがくすぐったい?くすぐられるほうでしょ。これを医学用語では感覚器官の「予測誤差」って言うんだって。
湯山 予測できないから、よりくすぐったくなる。
上野 そう。自分で欲望をコントロールし抜くと、予測誤差がなくなる。でもって、予測誤差があるところのほうが、刺激はより強くなる。
湯山 この予測誤差論はいろんなところに当てはまりますね。

この後も二人は予測誤差というキーワードの元話を進めていくのだけれど、さっき書いた私が思っていることにぴったりの概念すぎて速攻でぐりこに話した。この話めっちゃ共有したいわ!っていうのを書いていけると楽しいね交換日記。一人で日記書いたりもしてるけど、みんなで交換日記をすることで予測誤差を大いに楽しみたいという話でした。ちなみに今回で言うとマヤのクリスティが一番の予測誤差でした、多分読んだことないし、今読むとホラーっていうのが気になるので手に取ってみようと思っている。

さてこれで一周したので本の話はひと段落、しかし新しい本ってなかなか自分では探せないところがあるので読んで面白かった本があったら都度書いてくれると嬉しい。次回は「最近買ってよかったもの」というなんとも増税前らしいテーマに決まったのでみんなのお買い物遍歴を楽しみに待ちましょう。って書いてると既に買い物の話したくなるのがもどかしいアンカー!私は今通販の鬼なので、新宿伊勢丹とか池袋ルミネとか都会かつ実店舗での素敵なお買い物話が聞きたい!というわけで都会のど真ん中で暮らすぐりこ、最近何買った?

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