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職業リハビリテーション学会に参加しました

こんにちは。わたころ運営のほんまです。
先日、日本職業リハビリテーション学会の大会に参加してきました。職業リハビリテーションとは、「障害をもっているが故に職業に就くことが困難になっていたり、維持していくことが難しくなっている人にも、職業を通じた社会参加と自己実現、経済的自立の機会を作り出していく取り組み」とされています(学会HPより)。現在障害者就労支援の仕事をしている自分にとっては、一番テーマが近い学会になります。

今、障害者雇用関係で一番ホットな話題の1つに、「法定雇用率の引上げ」があります。従業員が一定数以上の規模の事業主は、従業員に占める身体障害者・知的障害者・精神障害者の割合を「法定雇用率」以上にする義務があります(厚生労働省のページより)。現在、民間企業の法定雇用率は2.3%ですが、来年4月には2.5%、その2年後の7月には2.7%となります。これまでも段階的に引き上げられてきた中ですので、雇用する事業主側は、法定雇用率の観点からも、より積極的に障害者雇用に取り組む必要があります。(参考:法定雇用率の引上げと支援策の強化について(厚生労働省)

ただ、実は、障害者手帳を所持している人の数も増えています。身体障害者手帳を持っている方の数はあまり変わらないのですが、特に精神障害者手帳を取得する方が大幅に増えています。障害者手帳を取得するきっかけや理由は人によってさまざまだと思いますが、就労移行支援事業所を利用している方の中には、障害者雇用で働くことのメリット・デメリットを知ったうえで、障害者手帳を取得し、障害を開示して働くことを選ばれる方も少なくありません。
今回の学会では、このような法定雇用率引き上げと障害者手帳所持者増の状況についても、議論が交わされました。

今回の学会参加は、支援者としての私にとって、目の前の支援ばかりを見ている普段の現場から少し距離をとり、大きな視点で捉え考える機会になりました。そして、自分の普段の仕事が、「働く」をめぐって障害のある方のインクルージョンにどれだけ貢献できているのか(できていないのか)、改めて考える機会となりました。

ところで、このような変化は、障害当事者からみるとどうでしょうか。障害があっても雇用されやすくなる点で「良い傾向」と歓迎する方はたくさんいらっしゃると思います。一方で、手帳取得を迷っている人や、取得に抵抗のある方にとっては、「障害者手帳を取得すれば就職しやすくなるのだから、取得したら?」といった”圧力”に悩みやすい環境になる可能性もあります。何らかの病気の診断を受けていて、働くことに困りごとがある方でも、医師などから「障害者手帳を取得するほどではない」と言われていて、「手帳があれば就職しやすいのに」と、かえってモヤモヤする方もいるかもしれません。皆さんいかがですか?いろいろな意見を聞いてみたいなと思いました。

これらの悩みは、個人の悩みではありますが、「このような環境に置かれている」ために生じる悩みでもあると思います。少なくとも、このような「置かれている環境」を理解した上で、目の前の方が本当にどうしたいと思っているかを大切に、支援にあたる必要があると改めて思いました。

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ところで、学術大会(学会)に参加するのは、2年ぶりです。私は、20代のほとんどを大学・大学院で過ごしてきて、研究者を目指していたものの、専門分野を変えて、民間企業に就職して今に至ります。会社員になってからも研究に関わらせていただく機会は多々ありましたが(そして今も一部継続中ではありますが)、ここのところ、研究活動にはあまり関われずにいます。それでも、少しずつ研究に関わっていたいという気持ちもあり、久しぶりに学会に参加してみました。そんな話も、またいずれ書けたらなと思います。(ほんま)

*ほんま:当事者経験をいろいろ抱えるソーシャルワーカー。社会福祉士・精神保健福祉士。主に障害者就労支援に従事。おしゃべり。趣味はころころ変わるが、コーヒーと旅行はずっと好き。

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