わたしたちが当事者だったころ(わたころ)

当事者経験を持つ支援者・療法士のメンバーを中心に活動/当事者と支援者の両方の立場を行き…

わたしたちが当事者だったころ(わたころ)

当事者経験を持つ支援者・療法士のメンバーを中心に活動/当事者と支援者の両方の立場を行き来しながら感じる問いや気づきを大切に/みんなが幸せな世界へ/#当事者支援者 #当事者セラピスト #障害 #病気 #当事者 #作業療法 #障害福祉 #わたころ #わたしたちが当事者だったころ

最近の記事

【本の感想】『高学歴難民』

こんにちは。「わたしたちが当事者だったころ(わたころ)」のほんまです。 今日は『高学歴難民』(阿部恭子氏・著、講談社、2023年)を読んだ感想を書きたいと思います。 「高学歴難民」とは、高い(あるいは高すぎる)学歴はあるけれど、就職の機会を逃して生活に困窮したり、社会的役割や評価の獲得がうまくいかず、精神的に病んでしまったりするなどして、社会における「難民」になってしまった人たちのこと。研究職を目指す大学院や法曹を目指す法科大学院への進学、海外留学等を経験するうちに年齢を重

    • 言葉が与える影響

      皆様 こんにちは、わたころ運営のよしだです。 新年最初の私の記事は 「言葉が与える影響」 についてです。 最近では、「発達障害」という言葉が専門職ではなくてもあらゆるメディアで取り上げてもらえうるように、発達障害・特性についての理解が少しずつ進んできていると感じます。 一方で、言葉が独り歩きし 「ADHDっぽい」や「自閉症傾向があるんだよね」 などその言葉で自身や他者をラベリングしてしまうことがあるようにも感じたりもします。 今回は、 このように言葉が与える影響について

      • 障害当事者とキャリアアップ

        皆さん、こんにちは わたころ運営のよしだです。 今年最後のわたころnoteのテーマは 「障害当事者とキャリアアップ」 についてお話します。 最近、私と同じように障害をお持ちで働かれている方とお話する機会がありました。 その中で、障害を持っているが故に悩むことは多々ある訳でして、話はつきませんでした。 障害を持っていると、 ・どこまで開示するのか? ・どこまでサポートをもらえるのか?お願いできるのか? ・誰に相談すればいいよか? などなど、あれこれ悩みます。 言葉では

        • 【参加者募集】2/3(土)20時~イベント「当事者セラピスト押富俊恵さんの足跡をたどる旅 『車椅子に乗った人工呼吸器のセラピスト』を通して」を開催します!

          こんにちは。「わたしたちが当事者だったころ(わたころ)」運営です。 2024年2月3日(土)に下記のイベントを企画いたしました。当事者の方や支援者の方はもちろんですが、テーマにご関心のある方であればどなたでも参加できます。たくさんの方のご参加をお待ちしております。 ゲストの安藤明夫さんをご紹介します! また、このイベントに先立ちまして、X(旧Twitter)のスペースで読書会を開催します!既に読まれた方も、これを機に読んでみようと思う方も、お気軽にご参加ください。(「まだ

          【インタビュー】交通事故によって頭部外傷のリハビリテーションを受けるなかで、作業療法を知り、現在は作業療法士として働くAさん

           わたころメンバーの田島です。今回は、交通事故によって頭部外傷のリハビリテーションを受けるなかで、作業療法を知り、現在は作業療法士として働くAさんをご紹介します。  Aさんは20歳の目前に交通事故にあい、頭部外傷を負った。医療機関で対応してくれたのが新人の作業療法士だった。その人は大変親身に丁寧に対応をしてくれて、作業療法士という仕事があることを知った。自身もなりたいと思ったところ、その人の卒業した学校を教えてもらい、オープンキャンパスにも参加をし、入学をした。  もとも

          【インタビュー】交通事故によって頭部外傷のリハビリテーションを受けるなかで、作業療法を知り、現在は作業療法士として働くAさん

          学会と視覚障害当事者

          皆様 こんにちは、わたころ運営スタッフの吉田です。 私は、10・11月といわゆる学会に参加してきました。 学会とは、学術団体が行う研究者や臨床家などの参加者が日頃の研究活動や実践および活動報告などを発表し、意見交換を通しながら最新の学術的知見を学ぶ学術集会のことです。 コロナ禍となり学会もオンライン開催が多く、画面越しの参加となっていました。 一方、コロナ禍が明けて、現地による対面開催がまた戻ってきた今年度。 その中で、改め感じた学会に参加する際に視覚障害当事者として気に

          【論文の紹介】筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群当事者による作業の選択・継続に影響を与える要因

           わたころメンバーの田島です。今回は、先日、『作業療法』という学術誌に発刊して頂きました論文の紹介をさせて頂きます。というのも、この論文の主人公は、慢性疲労症候群当事者であり、看護師として働いてきた女性の方で、まさに「わたころ」でご紹介したい当事者×支援者の方だからです。  仮にAさんとしますと、Aさんは大学生の時に、極度の疲労を経験しますが、慢性疲労症候群という診断は、他の可能性のある疾患がすべて当てはまらないことを証明するような診断なのですね。つまり、診断を受けたいと思

          【論文の紹介】筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群当事者による作業の選択・継続に影響を与える要因

          当事者家族の立場から

          こんにちは。わたころ運営のほんまです。 今日は、当事者家族としての経験から考えたことについて、書いてみたいと思います。 (※ここでは、「障害や病気等の当事者の家族で、主にその当事者をケアしている人」を「当事者家族」と書いています。) ちなみに、障害や病気、家庭の状況など、本当にそれぞれだと思いますので、同じく当事者家族であっても、全く当てはまらないことばかりかもしれません。あくまで私の場合の話だとご理解いただけますと幸いです。 * * * 当事者家族の立場というのは、なか

          当事者から語られるモノ

          こんにちは わたころ運営のよしだです。 同じく運営の田島先生が先日、「学術誌 作業療法」に当事者のかたへのインタビューを行った質的研究の論文が掲載されました。 こちらの論文を拝読させて頂きました。 学術的内容というよりも、ひとりの障害同時者として、こちらのインタビュイの方の語りから感じたモノをざっくちと文字にしてみようと思います。  ①障害を受容するとは? インタビュイーの語りから 障害や病は「自分の一部」であり「肯定も否定もしていない.現在の自分の状態」と語る、と

          【インタビュー】言語聴覚士として働いた経験から誰もが食べる喜びを得られる食を提案する事業を始めた笠井幸子さん

           わたころメンバーの田島です。今回は、言語聴覚士として働いた経験から誰もが食べる喜びを得られる食を提案する事業を始めた笠井幸子さんをご紹介します。インタビューは2023年9月13日に行いました。  笠井さんは、幼少期の頃、歩きづらさがあり調べたところ、脳性マヒと言われていた。ある医師より脳性マヒではないのではないかと言われ、中学2年生のときに大きな病院でしっかりとした検査を行ったが、診断名がつかず、末梢神経系の障害ではないかとされた。シャルコー・マリー・トゥース病と確定診断

          【インタビュー】言語聴覚士として働いた経験から誰もが食べる喜びを得られる食を提案する事業を始めた笠井幸子さん

          地域と暮らす

          こんにちは わたころ運営メンバーの吉田です。 私は、夏に引っ越し自治会というものに人生で初めて入りました。 実家の時は団地暮らしで、そのようなコミュニティはなかったので。 (団地の棟ごとの集まりや催しはありあましたが) 今回は、体験から感じたことをそのままつらつら書こうと思います。 先に書いたように、私は今まであまり地域のコミュニティに参加する経験が少なかったわけでで、それは特に大人になるにつれてですかね。 そうすると、この地域には住んでいるけど、いまいち当事者性が少な

          職業リハビリテーション学会に参加しました

          こんにちは。わたころ運営のほんまです。 先日、日本職業リハビリテーション学会の大会に参加してきました。職業リハビリテーションとは、「障害をもっているが故に職業に就くことが困難になっていたり、維持していくことが難しくなっている人にも、職業を通じた社会参加と自己実現、経済的自立の機会を作り出していく取り組み」とされています(学会HPより)。現在障害者就労支援の仕事をしている自分にとっては、一番テーマが近い学会になります。 今、障害者雇用関係で一番ホットな話題の1つに、「法定雇用

          職業リハビリテーション学会に参加しました

          支援者とヒエラルキーと接遇

          こんにちは 作業療法士と視覚障害当事者の吉田です。 今回は、 医療従事者のヒエラルキーや接遇など対応について感じたことをざっくりとお話します。 出会い みなさんは、これまでにクリニックや病院など医療従事者と関わったことはありますか? きっと多くの方は、どこかしらで経験があるのではないでしょうか? その時の対応はどうでしたか?違和感をありましたか? 私は先天性白内障の当事者です。生まれつき眼に疾患がありました。 両親が違和感に気づいたのは生後6ヶ月頃で、そこから受診し、

          【インタビュー】がん発症で死を身近に意識したことが契機となり、作業療法士として個人事業を営むようになった寺井達也さん

            寺井さんは、自分の心の問題に向き合おうと大学で心理学を学んだ後、作業療法士になるための学校に入りなおし、現在は、作業療法士として働いています。 寺井さんは、高校受験を失敗したあたりから、対人緊張が強まり、外を歩いているだけでも誰かに見られているようで疲れてしまい、そうした自身の心の問題解決のために大学で心理学を学ぶことにしました。しかしカウンセラーになるにはさらに学びを深めるために学校に入りなおす必要があり、それは自身にとっては難しいと判断し、大学での学びを仕事に活かせそ

          【インタビュー】がん発症で死を身近に意識したことが契機となり、作業療法士として個人事業を営むようになった寺井達也さん

          無人島猿島 大人の遠足に行ってきました

          こんにちは。「わたしたちが当事者だったころ(わたころ)」のほんまです。 先日、わたころでつながった3名で、猿島(さるしま)という無人島に遊びに行ってきました。弾薬庫や砲台があり、旧日本軍の要塞だった島ですが、ラピュタの世界に似ていることでも有名だそうです。 好奇心旺盛で楽しいことが好きなメンバー。「猿島っていう無人島があるらしくて。行ってみません?」「行きたい!」「行きたいです!」。コロナ禍でしばらく皆で出かける機会がなかったのもあり、盛り上がります。ただ、この猛暑の中。無

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          当事者と研究を考える

          皆様。初めまして。今回、わたころコラムを担当させていただきます。日本福祉大学通信教育部に所属している大須賀一樹です。今回は、当事者性と専門性をテーマに書かせていただきます。  本題に入る前に、私の自己紹介をしたいと思います。私自身、脳性麻痺という身体障害者の当事者です。具体的には、歩行障害・発語障害・書字障害があります。  福祉との関わりは、当事者としてのクライエントでもあります。また、今学生という立場で学習・研究しています。私自身、当事者性と専門性というキーワードに学習活動