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新規上場企業の目論見書読み方(2024年版)/2/19-2/22上場承認企業14社のデータ一覧

いつも目論見書noteを読んでいただきましてありがとうございます。

目論見書分析noteは、投資家、起業家、スタートアップで働く方、スタートアップ企業の成長背景に興味がある方を主な読者として、noteを書いています。

「IPO企業は、どんな業績変化をだとってきたのか」
「過去の資本政策でどう工夫をしてきたのか」
など

スタートアップ企業に関わる方・興味がある方に、ヒントになる情報を提供させて頂くことを目的としております。
※記事の内容については個人的な感想となることを理解の上で読んでもらえるとありがたいです。

今回のnoteでは、先週(2024年2月19日〜2月22日)新規上場承認された14社のデータを公開します。

対象企業
トライアルホールディングス、STG、ジンジブ、イシン、JSH、L is B、ハッチ・ワーク、ソラコム、ダイブ、シンカ、コロンビア・ワークス、カウリス、情報戦略テクノロジー 、マテリアルグループ


目論見書とは

簡単に説明しますと、目論見書とは「新規上場企業が投資家に対して業績・事業・リスクなどを解説した文書」です。

目論見書を見れば、過去の売上・利益、事業内容・サービス内容、対処すべき課題、そして、役員略歴、株主、従業員数など投資家にとって参考になる情報が記載されてます。

目論見書には、株式投資に関する情報はもちろんですが、スタートアップに関わる方々にも参考になる、非常に有益な情報が詰まっています。

◼︎目論見書はどこにあるのか?

目論見書は、新規上場企業の公募株式を取り扱う証券会社のホームページで閲覧することができます。また、EDINETでもほぼ同様の内容(有価証券届出書(新規上場時))を確認することができます。
Google検索で、「新規上場企業 目論見書」や「ソラコム 目論見書」というように、新規上場企業の会社名を使って検索すれば見つけることができます。

実際の目論見書はこちらになります。
ソラコム(147A・東証グロース)

目論見書からわかること

主な内容として、下記の12項目がわかります。この12項目を見れば、新規上場企業のおおよその内容を理解することができます。

◼︎事業
1:事業内容
2:市場規模
3:事業のKPI

◼︎組織
1:従業員数
2:従業員給与
3:役員構成

◼︎財務
1:業績実績
2:主な販売先とその売上金額
3:総資産、現預金, 借入金等財務状況

◼︎資本
1:上場時の時価総額(公募前)
2:資本政策
3:ストックオプション

目論見書における記載場所

目論見書における記載は場所は以下をご覧ください。

ソラコム目論見書より
ソラコム目論見書より
ソラコム目論見書より
ソラコム目論見書より

それでは新規上場承認された14社のデータについて見ていきましょう。

トライアルHD(141A・東証G)

3月21日に東証グロース市場に上場予定のトライアルホールディングスは、時価総額約1,500億円、借入金は約200億円。SBIグループ代表の北尾氏が個人で株主となっている。

目論見書より筆者作成


STG(5858・東証G)

3月21日に東証グロース市場に上場予定のSTGは、TOKYO Pro Marketからの鞍替え上場。現預金9億円に対して、借入金は約27億円となっている。

目論見書より筆者作成


ジンジブ(142A・東証G)

3月22日に東証グロース市場に上場予定のジンジブは、A種優先株式発行後、A種よりも高い株価で普通株式を役職員向けに発行している。

目論見書より筆者作成


イシン(143A・東証G)

3月25日に東証グロース市場に上場予定のイシンは、SOを過去4回発行、株主構成は役職員のみとなっている。

目論見書より筆者作成


JSH(150A・東証G)

3月26日に東証グロース市場に上場予定のJSHは、ダウンラウンドでのIPO。シリーズD株価1,500円に対して、想定公募価格が380円で約4分の1。

目論見書より筆者作成

L is B(145A・東証G)

3月26日に東証グロース市場に上場予定のL is Bは、全社に占める売上高のうちトラストバンク社向けの売上高が24.7%で依存度が高い。

目論見書より筆者作成

ハッチ・ワーク(148A・東証G)

3月26日に東証グロース市場に上場予定のハッチワークは、ダウンラウンドでのIPO。シリーズB株価2,570円に対して、想定公募価格が1,680円で約3分の2。

目論見書より筆者作成


ソラコム(147A・東証G)

3月26日に東証グロース市場に上場予定のソラコムは、KDDIの子会社で2017年に200億円で買収された企業。上場時想定時価総額は367億円。

目論見書より筆者作成


ダイブ(151A・東証G)

3月27日に東証グロース市場に上場予定のダイブは、資本金1,000万円で外部資金調達なし。代表者の持ち株のうち一部を、SBIファンドへ譲渡している。

目論見書より筆者作成


シンカ(149A・東証G)

3月27日に東証グロース市場に上場予定のシンカは、IPOの半年前に代表者の資産管理会社を設立し、個人から同社へ株式を譲渡している。

目論見書より筆者作成


コロンビアワークス(146A・東証S)

3月27日に東証スタンダード市場に上場予定のコロンビア・ワークスは、主な販売先が毎年2-3社ある(大和ハウス工業などハウスメーカー向け)。

目論見書より筆者作成


カウリス(153A・東証G)

3月28日に東証グロース市場に上場予定のカウリスは、重視すべき経営指標がMRRのみ(通常は3-4つある)。金融機関向けに販売好調。日本公庫から新株予約権付融資を受けている。

目論見書より筆者作成


情報戦略テクノロジー(155A・東証G)

3月28日に東証グロース市場に上場予定の情報戦略テクノロジーは、代表者から持株会へ株式譲渡を行なっている。信託型ストックオプションも発行している。

目論見書より筆者作成


マテリアルグループ(156A・東証G)

3月29日に東証グロース市場に上場予定のマテリアルグループは、ファンドが筆頭株主となっている。主な販売先は、博報堂DYグループで約15.7%。

目論見書より筆者作成


おわりに

今回は目論見書から企業の概要を読み取り方を説明させていただきました。

目論見書をさらに深堀して読み込んでいくと、創業からIPOまでの資金調達推移、株式譲渡の理由や価格、ストックオプションの条件など、資本政策をどのように考えて実行しているのか推測できることもあります。

これからも、新規上場企業の投資に興味がある方々、スタートアップ企業の方々の参考になるよう、分析記事を書いていきますので、引き続き宜しくお願い致します!