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【保存版】鳥獣捕獲・ジビエ利活用関連IT系サービスまとめ


huntechをやり始めた頃は、鳥獣捕獲・ジビエ利活用関連の情報がまとまっていないばかりか、そもそもWebで公開されていない(紙ではあったりする)ことに内心ものすごい怒りを感じていました。が、人間慣れるものですね、、、、徐々に業界に対する知見や人とのつながりができていく中、なんとなく情報を得る勘所を掴んでしまったがゆえにそれが普通となってました。反省。

ということで、まとめてみました!把握している範囲で書いているので抜け漏れ・間違いなどあればコメントまたはDMなんかで教えてもらえると嬉しいです。
※ちなみに業界一般に関する統計情報なんかはこちらの記事で。

捕獲関連サービス

◆罠のリモート監視

ITやテクノロジーを使って効率的にできないかと考えるとすぐに出てくるこのテーマ。かくいううちのスマートトラップもこれです。通知を送るだけでなく捕獲した個体の情報をWeb上で記録・共有できたりと、下で分類したもの以外にも細かくタイプが分けられるので用途に分けて使っていただくのがよいと思います。

出回っているものは農水省さんが一覧にまとめてくださっているのでこちらを参照。価格も公表すればいいのにと思うんですが、色々あるようです苦笑

<カメラ式>
その名の通りカメラによる監視。画像で罠の様子が確認できるため、何がかかったのか、ウリなのか成獣なのかといったところが現場に行かなくてもわかるのがよいところ。

カメラを搭載しているため値段はちょっとしますがだいたい7、8万円~。ネット接続せずに単純な記録用のものは安価なものだと1~2万円であったりもします。

<センサー式:携帯回線>
ハコ罠のゲート部分やくくり罠のより戻し部分など、罠が作動したところにマグネットセンサーや加速度センサーなんかを付けた監視。かかっている種別によらず、また空はじきでも結局は現場に行く必要があるため、現場に行く必要があるタイミングの把握に特化。

シンプルな仕組みのため、だいたい3万円~と導入しやすいところが魅力。DIYや試作品を公開されている方も結構います。九州農政局が公開している製作事例等を踏まえると材料費は1~1.5万円くらいで自作可能。ただ、地図でのマッピングといったWeb側の仕組がないことに加え、製造・設定の手順がやや複雑なので慣れていないときついかも。

<センサー式:LPWA/小型無線>
この業界でも、いやこの業界だからこそ活用したくなるのがLPWA。携帯回線を利用するものと比べ、こちらは自ら基地局を設置することが可能なため携帯圏外でも使えちゃいます。

ただ、自ら基地局を設置しなくてはいけないため導入時の初期費用が安い物でも30~40万程度とちょっとお高め。工事なんかが必要になったりすると3ケタ万円かかるものもあるため、山の山頂や盆地の中央などに設置した1つの基地局で多くの罠を見渡せる条件がそろっているところで導入いただくのよいかと。

<選別捕獲>
何週間も餌付けしてやっととれたイノシシがウリ坊だった。なんてことはよく聞く話です。赤外線センサー等で罠に侵入した個体の大きさを判断して、設定した大きさ以上のイノシシだったら自動でゲートを落とす。成獣を確実に捕獲したいときに便利です。

通知機能などは持たせずに選別捕獲に特化したものだとだいたい5万円~。カメラで現場の様子を見ながら、遠隔(スマホ操作)で罠のゲートを落とすといったハイエンドな仕組みもありますがこちらは主に囲い罠やバッテリー、太陽光パネルなども含めて100万円弱といったところでしょうか。


◆情報共有サービス

<目撃・捕獲情報共有>
2019-20にかけて暖冬の影響もあってか野生鳥獣の目撃情報が例年以上に多かった気がします。クマやイノシシに出くわしてしまった場合、最悪命の危険があります。そんな時にどこでどれくらい出ていたのか記録されていると危険回避も可能です。あとは猟期が始まった時のために山を下見をされる方もいらっしゃるかと思います、そんな時にフィールドサインなんかを記録するといったサービスも無料で提供されています。

参考)
シカ情報マップ
狩ing

<ハンターマップ>
結構動き回ったけど、間違って禁猟区に入っちゃってないか不安。そんな時にスマホのGPS(位置情報)をもとに今いる場所が狩猟をやっていいのかどうか教えてくれるアプリ。無料で提供されている段階なので、対応しているエリアや精度にはまだまだ課題があるようですが、禁猟区に関する情報が電子提供され、そこと連携できるようになれば格段に広がるでしょう!とはいえ手作業で地図を作っている自治体も多いため、電子化されるのはいつごろか、、、、、

参考)
またぎぃ
hunter Map
自作の方法


◆罠オーナー・ワナシェア

去年くらいよく見かけるようになった比較的新しいサービス。鳥獣捕獲・ジビエに関心のある人が罠の権利を仮想的に購入。購入者はリモートカメラ等を通じて罠の監視体験ができたり、罠にかかったジビエが手に入ったりするサービス。現地で狩猟体験やジビエBBQといったイベントともセットになっていることも多く、好きな地域の支援や狩猟の入り口といった位置づけで利用されることをおすすめします。また、そのような場を支援するようなアプリを開発されていたりするので直近ホットな分野でしょうか。

参考)
猪鹿庁「罠オーナー」
カリラボ
.Wanna!


加工関連サービス

◆トレーサビリティ

あれですね、スーパーに行くとよく見る「顔の見えるお野菜」、これのジビエ版です。ジビエは家畜と違って天然のものということもあり品質差があります。そのためどこで誰が獲ったのか、どこで処理されたのかといった情報を提供することで安全性とともに質を担保しに行く仕組みです。なおトレーサビリティとしての情報開示項目は国産ジビエ認証制度で定められているので、多くがそれに倣ったものになっていると思います。

こちらも農水省さんが一覧にまとめてくださっているのでこちらを参照。農水省さんさすがです!

正直なところトレーサビリティに対応したからといってすぐにジビエの単価があがるというわけではないので、加工施設にとっては認証取得や来年6月から義務化されるHACCP対応で投入という側面が大きいと思います。認証やHACCP対応を主目的に掲げればシンプルなもので初期費用数万円、月数千円から利用できます。ただ既存のトレーサビリティの多くは次に記載する在庫管理・受注支援といったところまで含めたサービスとなっている分、金額も初期費用数十万、月数万円~といった価格感でしょうか。


◆在庫管理・受発注支援

現在抱えている在庫は部位別にどれくらいあるのか、それぞれどこに出荷したかと個体単位ではなく、それらを精肉したブロック単位で管理可能なサービスです。基本的にはこれ単独でというよりも、前述のトレーサビリティとセットになっていることが多いです。ジビエの加工施設の多くは冷蔵室を開ければすぐに見える在庫量、売り先もある程度決まっているため、エクセルや今ある帳票等でも十分管理可能な規模感なので、これらのシステムが必要な加工施設は一部の大規模な施設に限られるんじゃないでしょうか。


◆施設衛生管理(HACCP対応)支援

21年6月から加工施設に義務化されるHACCP。大きくは「販売製品(=個体)のトレーサビリティ」と「施設の衛生管理」の2つに視点からの管理が求められています。イメージとしては喫茶店のトイレで見かけるトイレ清掃点検表のようなものですが、もっとたくさんあるこれら書類をを記録・管理していく必要があります。帳票作成からその記録・管理は結構な手間ですが、ここを支援しているサービスは現状少ないです。


流通・消費関連サービス

◆EC(ジビエ通販)

昨年キムタクのドラマでジビエが取り上げられたこともありますが、以前より食材のジビエとしての認知は高まってきています。そのためネットで「ジビエ 購入」など探していただければ色々とヒットします。加工施設が自社で立ち上げているサイトもありますし、産地別で楽しんでいただくのもおすすめです。ただ、楽〇などで相場と比べてもやたら安く出品されているお肉は正規の加工施設ではないところ(自宅の軒先等)で処理されている不衛生なジビエの場合もあるのでご注意ください。

参考)
複数の施設さんのお肉を取り扱ったところでいうと、国産ジビエ認証制度取得済みの施設に絞った直売サイトなんかがあります。
THE GIBIER


◆お店・レシピ・イベント情報の提供

認知は高まったとはいえ、どこで食べたらいいの?レシピは?そもそもジビエってなに?みたいな疑問を持つ方も多いでしょう。そんな時にはジビエに関する情報発信サイト。

参考)
農水省の支援も受けているのでしっかり作られています。
ジビエト


事務作業支援、他

ここまでは川上の捕獲~川下の流通・消費と分けて書きましたが、そういった区切りではなく全般にわたる支援しているサービスの紹介です。

◆報告書自動作成

いざ狩猟・鳥獣捕獲をやって気付くのが多い、報告書類等の煩雑さ。自治体や猟期・有害などでフォーマットは変わりますが、ざっくり「いつ・どこで・何を・どれくらい獲ったのか」を報告する必要があります。現状これらの報告書は紙・対面提出が根強く残っていますが、今回のコロナの影響もあり電子データ・オンライン提出の流れに変わっていくでしょう。

罠のリモート監視サービスの一部として捕獲情報をWeb上に記録として残せるものもあります。Web上に記録が残せるものの多くはデータ出力も可能なので少しエクセルに詳しい人だとすぐに自動化が可能だと思います。もちろん、既に一部の自治体のフォーマットに対応しているものもあります。


◆その他情報入手

huntechの活動を始めた3年ちょい前と比べ、鳥獣捕獲・ジビエ利活用に関する情報は格段に得やすくなっています。統計データであれば環境省や農水省などのWebサイト、実際の狩猟の方法についてはYoutubeで見ることができます(一部閲覧注意)。個人的にはtwitterなんかの情報が好きで、課題意識の強い方や、日々考えてPDCAを回されている実践者の方、そういった方々をフォローしていると最新のニュースだけでなく、現場の雰囲気を感じることもできます。
僕がどんな人を見ているのかは僕のtwitterアカウントから誰をフォローしているか見ていただければ笑


ニッチな業界ではありますが、色んな人が情報発信をしているので探してみるとだいたいどっかに欲しい情報が転がっています。ただ、ニッチな業界だからこそまだきれいに整理されている情報はすくなく探すのが大変なんです。この記事が誰かのためになって、節約できた時間でよりよいサービス開発に取り組んでもらえると嬉しいです。
冒頭にも書きましたが、抜け漏れ・間違いなどあればお知らせください。できる限り更新はしていこうと思います。

~~最後にちょっと宣伝
huntechではより使っていただけるよう新たな課題の解決に向けて、改善・機能追加に取り組んでいます。スマートトラップ/ジビエクラウドでは、報告書自動作成機能については兵庫県の狩猟期フォーマットに対応。ジビエクラウドではHACCP対応支援のための施設の衛生管理記録機能の追加を進めています。興味のある方は是非ご連絡ください!!



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