できないことが増えてくたび
自分がひとつ消えていく
なにも知らない人の
あどけないひとことに傷ついて

なにもやらないことに慣れてくたび
自分がひとり死んでいく
やりたいことだけが膨らんで
できずにしぼんでく

どうして　どうして　どうしてなの？
どうして　どうして　どうしてなの？
どうして　どうして　どうしてなの？
どこにも答えは載ってない

やりきれぬこと飲みこむたび
悔しさばかりたまっていく
泣かない　めげない　強くなりたい
本当はふつうがいい

どうして　どうして　どうしてなの？
どうして　どうして　どうしてなの？
どうして　どうして　どうしてなの？
だれに聞いてもわからない
どこにも答えは載ってない

（「言語化のばかやろう」曲・詞：綿生しあの）

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世は一大言語化ブームだ。

なんでも言葉にすればそれでいいのだろうか。動物の中で言語らしい言語を持つのは人間だけだけど、鳥はさえずりで何かを伝えあっているし、犬猫は喋らなくても人間の家族になり得る。

言葉にすればするほど余白が失われていく気がする。雄大な景色を目の前にした時に抱く感動は本当にすべて言葉に変えられるものなのだろうか。日々感じている理不尽な悲しみ、苦しみは言葉に変えればすべて天に昇っていくのだろうか。

心の中にあるものをひとつひとつ取り出して言葉に置き換えるごとに漠然としていたはずのものが実体を持って押し迫ってくる。不安は強まるばかりで眉間には皺が寄りなにもいいことなんてない。

楽観と軽薄とは似て非なるものだ。どのような状況であれ自分の意志と考えで物事を楽しく観るのが楽観的な人間で、そもそも何も考えていない軽々しい薄っぺらな人間が軽薄であると言える。

私は自分の意志を持って楽観的であろうと強く思う。それを軽薄と取り違えばかにしてくるやつもいるだろう。少しだけ憂鬱になるが、それこそが悲観的人間だ。楽観とは一筋縄ではいかない道である。

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昨日はEテレで『ニューイヤーオペラコンサート』を観て刺激を受けた。日本語の訳詞が字幕で表示されるため、歌詞の一節一節で何を言っているのかがわかる。音楽ジャンルの異なるミュージカルのようだとも感じた。正確にはミュージカルが後発なのだろうが。

トゥーランドットの演目は特に素晴らしく、召使いのような女性と若い王子の鬼気迫る歌声と何十人もの合唱が重なり合い、空間ごと音が鳴っていた。第一幕の終わりの曲らしい。イタリアオペラには痛切で激情的な内容の歌が多く、一方のフランスオペラはディズニーのおとぎ話のようなチャーミングな歌が印象深かった。

語学番組『旅するユーロ』シリーズでヨーロッパ圏の言語には触れる機会が週に一度ある。ただ旅行で行ったことがあった程度の頃よりも理解の幅が広がった。身近で気軽なところから環境を作ることで世界の見え方は変わるのだ。

その後、続きで新春歌舞伎番組も観た。連獅子の衣装は一歩引いて見るとかなり面白い。もしも自分が外国人だったら衝撃を受けるだろう。あの白塗りと髪の逆立ち、ほぼ聖飢魔ＩＩではないか？とも思うのだが、そもそも古典「芸能」ということは、どのような種類であれ大衆が面白いと感じる要素が含まれているはず。日本人の感性の根っこは昔からそう変わっていないのかもしれない。

お囃子の歌詞字幕を読むと、今の日本語と差ほど変わりはなかった。

さらにその後は『ワンルームミュージック』という番組で新時代のDTM（デスクトップミュージック）について紹介していた。前山田健一さんと岡崎体育さんがMV。

今の十代はタブレットだけでDTMを嗜み、インターネットで発表し、才能のある人にはプロデュース業のお声が掛かることもあるそうだ。もうデスクトップですらない。

番組内容に共感したのか、ビリーアイリッシュからビデオレターが届いていたので驚いた。眉村ちあきさんも出ててかなり感覚的な曲作りの工程を見せていた。

iPadだけでも音楽が作れるなら、と、少しわくわくした。だけど、もしまたできなかったら大変傷つくので期待しすぎないようにもした。病気のせいでできなくなったことを考えると本当に悲しくなる。何かに挑戦して、またできなくて、「できない」に直面するのも。このことについて読者に理解してもらうために毎回説明するのも本当は凄くいやだ。

刺激を受けたので曲を作った。曲名は翌朝付けた。言語化のばかやろう。音楽に変えると何か意味があるかなと思ってやってみたけど、やっぱり暗い気持ちになるだけで良い効果はなかった。だから言語化のばかやろう。言語化はばか。ただ、ひとつ曲ができた、という達成感はあった。

曲調のイメージはナイロン弦のアコースティックギターを6連符で指引きしながらのフォークな弾き語り。サビで3連符の短いストロークに変える。歌詞とメロディで作るのに一時間弱掛かった。時間が掛かると自分の気分が変わって曲の価値がなくなるのであまり凝らずにやった。ちゃっちゃと録音して寝た。

この文章は久しぶりに手入力で書いた。やっぱり音声入力より6割増で文章の質が上がる。音声入力は表現には向いていないんだろうな。ただ身体もめっちゃ痛くなったし目眩もやばいので健康状態は悪くなる。つかれたーー

おわり