セルフごきげん取り

いつかどこかで「自分のごきげんを取れるのは自分だけ」というフレーズを目にしてから、ずっと心に残っている。

そういえば、かつての私はあんまり機嫌の良い人間ではなかった。表面的なところではニコニコ愛想よくしてるつもりだったけど、心の中は基本的にささくれだっていた。そういうことをすると心の在り方に一貫性がないので疲れてしまうし、周りの人もそういう部分には気付いていたんじゃなかろうか。

客観的に見れば「機嫌の悪い人間」なんてもう、最悪極まりない。何をイライラしてるのか知らないけど、自分のイライラぐらい自分で処理して欲しいものだ。そう、かつての私もまた、イライラを処理する方法を知らなかった。

今は知っているのかと問われれば、うーんどうだろう、前よりはマシです、程度しか言えない。まだまだ船を乗りこなせていない感じがある。突然大荒れになったり穏やかになったり、感情っていうのは海の天気みたいに変わりやすくて予測がつかない。

私は機嫌が悪くなると、どうも口数が増えるらしい。要するにごちゃごちゃ文句を言うタイプである。無口になるならまだマシなほうだったのに、なんということか。テレビでごちゃごちゃ文句を言うタイプの人を見ると「イライラしてんなー」と思う。同族嫌悪である。

例えば、お腹が空いてくるとどうも機嫌が悪くなる傾向にあることが、調査の結果わかってきた(こんなにどうでもいい調査もないと思うけど)。しかも機嫌が悪くなっている最中には、自分の機嫌が悪いことにも気づかないし、なんならお腹が空いていることにも気づかない。これではただのアホである。

それから体が痛い時にも機嫌が悪くなりやすい。そもそも常に体が痛いのを我慢しているので、どこからが本域で痛いのかわからない部分があり、はっと気付けばイライラ&痛々になっていることがよくある。口数が増えてきたら痛みを疑うべきである。

この他、他人の機嫌にも影響されやすい。誰かが機嫌が良いと自分も機嫌が良くなるし、その逆もまた然りで、誰かが機嫌が悪いと自分も機嫌が悪くなる。これは発想を置き換えると、自分の機嫌が悪いと他人の機嫌に影響する(悪くなる)ということだろう。他人にあまり迷惑はかけたくないし、やはり自分の機嫌をコントロールできるようになりたいものだ。

「ごきげん取り」と言うと、「目上の者に媚びへつらう下っぱ」のような嫌な印象を覚えるが、私は積極的に自分のごきげん取りをしていきたいと思う。私は「感情」というブレーンの支配下にあるのだ。自分自身が幸せに生きるためにも、社会生活を円滑に行うためにも、ブレーンのごきげん取りは必要不可欠。そのためにはどうすれば自分の機嫌が良くなるかを、あらかじめ把握しておくことが必要となる。

私の機嫌が良くなる物事は以下の通り。

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①ぬいぐるみ/かわいいものを愛でる

私のぬいぐるみ推しも相当しつこい部類に入ってきたとは思うが、ぬいぐるみには明確なセラピー効果を実感している。

そもそも二年ほど前、脳科学者の方が「可愛いものを瞬間的に可愛いと捉えられるのは楽観的な脳」という研究結果を論じていたのがきっかけだ。学術的に立証されているなら信用しない手はない。それほどに私は楽観的になりたかった。しかも脳から。

私は程なくして、小さなぬいぐるみを一つ買った。当時の私はさほどぬいぐるみを可愛いとも思わないタイプの冷酷非道極悪サイコパス人間だったが(さすがにそこまでではない)、小さきものを愛でることで心のどこかに愛情のようなものが芽生えてくるのを感じた。

世の中には「ぬいぐるみ療法」というものも存在するようだ。ぬいぐるみを触ることで「幸せホルモン」とも呼ばれるオキシトシン(嬉しい、楽しいなどのポジティブな刺激を受けた時に、神経へ伝えるために出てくる伝達物質)が分泌されるのだそうだ。

リラックスした状態で、信頼できる人に触れている時に分泌されるそうなので、もちろんぬいぐるみに限らず、生き物や人でも良いだろう。ペットとの暮らしに癒やし効果があると言われるのも、オキシトシンの働きがあるのかもしれない。

②おいしいものを食べる

これはもう難しい学説とかは抜きに、美味しいものを食べている時は本当に幸せな気持ちになる。逆に言うと、まずいものを食べている時は本当に惨めな気持ちになる。食事は精神に影響を及ぼしやすい。

美味しいものを食べるのが好き、と言うと煩悩まみれのイメージもあるが、いくら煩悩にまみれていようが、食の節制を徹底していて常に機嫌が悪い人よりは、他人からすればマシであろう。人の食生活なんて同居する人以外関係ないのだから、口出しすべきところではない。というわけで美味しいものを積極的に食べていきたい。

③楽しいものを見る/笑う

お笑い番組とか、幸せな気分になる番組を見るようにしている。思いっきり笑ったり、綺麗な景色や生き物を観て心から癒されたりすると、自分の機嫌は良い方へと上昇する。

映像系のコンテンツには結構トラップがあって、お笑い番組ではあっても、胸糞の悪くなるお笑いや、妬みやコンプレックスの気持ちが刺激される番組とかもあるので、注意が必要である。ちゃんと笑える尖ってるお笑いと、ただ単に尖ってるお笑いもどきとは全然違う。

問題なのは、そういうトラップって結構見抜くのが難しいということだ。見ている途中で「モヤッ」としても、続きが気になって最後まで見てしまうこともある。しかしそうすると結局最後に残るのは、「なんとなくムシャクシャする」という感情である。だからモヤっとした瞬間に自分の心に問いかけて、視聴を中断する勇気を持つことが必要となる。

④空を見る/緑を見る

大体イライラしてきた時は意識的に空を見るようにしている。24時間閉鎖空間に幽閉されているという謎の身の上なので、意識的に窓の外を見るようにしないとなかなか自然に触れ合うことはできない。

人間もやはり動物。自然界に生まれた以上、長期間自然を見ずにいると何らかのストレスが生じるのかもしれない。空や雲を見ていると驚くぐらい気持ちが晴れやかになったりする。緑も同様に優しい気持ちになる。鉢植えを置いて成長を緩やかに見つめてると「強いなぁ」と思う。ちっぽけな鉢植えなのにちゃんと育つんだもん。強いよねぇ。緑は立派だよホント。

⑤休む/寝る

イライラの原因には疲れがあることが多い。なのでそういう時は積極的に目を閉じることにしている。「機嫌」自体は精神的なものなのに、意外にも肉体的なものから一番影響を受けている気がする。

⑥環境を変える

環境に飽きたとき(=退屈している時)は機嫌が悪くなりやすい。そういう時は場所を移動したり、それまでと違うことをしたり、何らかの気分転換を図る。環境を変えてみると意外と心のわだかまりが晴れたりするものである。

「退屈(暇)」には悪い印象が先行しがちだが、よくよく考えれば悪いことではない。何もする必要がなく、肉体的苦痛もなく、心に余裕があるから「退屈(暇)」するのである。しんどい時は退屈なんて感じている余裕もないものだ。ある意味もっとも贅沢な時間の使い方とも言える。

よって私の場合、退屈を感じた時は、「あ〜退屈やな〜。ということは心に余裕があるってことか〜。は〜感謝感謝」と思うようにしている。退屈しているとどうも、「何もしていない」という状況から自分に無力感や罪悪感を抱きがちだが、そもそも別にやることがなくたってそれは悪いことでも何でもない。過去にやることを全部やったから、今やることがないのであり、未来に向けてやることを新たに作り出す必要もない。ただ退屈を満喫すれば良いのである。

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以上、思いつくままに自分のごきげんの取り方を挙げてみた。これはあくまで私の場合なので、人によってやり方は様々だと思う。各自いろいろなやり方でセルフごきげん取りのスペシャリストになっていけば、世界にちょっと笑顔が増えるかもしれない。笑顔でいればきっと良いことがあるはず。笑福亭鶴瓶より(違う)。


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