UPLINKクラウドとの三ヶ月

UPLINKクラウドの取り組みを知って、「たったの2980円ぽっきりで3ヶ月間60本以上の映画が見放題、しかもそれが援助にもなるなんてラッキー!」と思ってすぐにお金を払った。

その後UPLINKの元従業員によるハラスメントが世間を騒がせるようになったが、それでも映画に罪はない、と観続けた。最初は「まぁ観れるだけ観れたらいいかなー」と気になっていたタイトルから観ていたが、最後の1ヶ月には案の定持ち前の貧乏性が発動し、「全部観きるぞ」と平日仕事終わりに観たり休日には複数本観るなどした。

ここには個人的な映画の評価(◎○△×の4段階)と、簡単なメモを残す。順番はUPLINKの作品リストのnoteをコピペしている。(noteに記載されていなかったものは適当に自分で追加)なお、つまらなくてもとにかく最後まで観る、を信条にしていたので、最初10分だけ観ておもしろくないと感じたものは単につけっぱなしにしているだけで実際にはほとんど観ていない。


▼4月追加分 NEW!
○『ヴィニルと烏』 監督:横田光亮
ショートフィルムというものを初めて観た気がする。テンポよく話が進むしこれならサクッと観れていいな、と思ってしまった。

△『今、僕は』 監督:竹馬靖具
△『蜃気楼の舟』 監督:竹馬靖具

○『曖昧な未来、黒沢清』

○『演劇実実験室「天井桟敷」ヴィデオ・アンソロジー』
2時間超の大作を観るときは大体どこかで一時ストップしてしまう私なのだが、なぜかこれを観ているときはそれが機能せず、トイレに行くときなど大変だった。寺山修司といえば「書を捨てよ、街に出よ」の昔の小説家、詩人というイメージしかなかったが、このアンソロジーで初めて昭和の人だったということ、舞台を作っていた人だということを知った。

○『代官山17番地』
時代的にはカラー写真の時代のはずなのに、延々と切なげな映像とともにモノクロ写真が映し出され、ずるいと思った。モノクロ写真はデジタルの現代においてはそれだけで懐かしさを喚起させる。一枚だけでは何の意味も持たない写真たちが「代官山町17番地」という物語に乗せられ意味をなしていく。代官山なんて行ったことなかったけれど、せっかく渋谷区に住んでいるのだから今度行ってみようと思う。

○シリーズ『90日間・トテナム・パブ』(全11話)
話としては全く面白くない、ありえないことが続きすぎて覚めてしまうのだが、しかし一方で90年代初頭の映像の質感、イギリスの雰囲気、役者の棒演技、音楽の素晴らしさがなぜか病みつきになり結局面白かった。
今見ると、非常に時代の空気感を映し出しているドラマだと思う。坂井真紀という女優ありきで、彼女を売り出すために考えられたドラマというのがありありと伝わってきたし、「日本人は金持ってるんだから大人しくチップ貰っときなさいよ」というセリフが印象的だった。

▼アレハンドロ・ホドロフスキー関連作品
△『リアリティのダンス』 監督:アレハンドロ・ホドロフスキー
抽象的すぎて観ていてしんどかった。また、私は血、暴行といった類の描写が本当に苦手なんだと思った。

◎『エンドレス・ポエトリー』 監督:アレハンドロ・ホドロフスキー
「リアリティのダンス」があまりにもつまらなすぎてどうかなぁと思いながら観たら、これは面白かった。「リアリティのダンス」の続きのような話なので、事前に観ておいて良かった。相変わらず血や暴力の表現は苦手だし相変わらずありえないシュールなことがたくさんだけれども。まだ、前作よりはわかりやすかったのかもしれない。

○『ホドロフスキーのDUNE』 監督:フランク・パヴィッチ

▼ロウ・イエ関連作品
○『ふたりの人魚』 監督:ロウ・イエ
△『スプリング・フィーバー』 監督:ロウ・イエ
○『パリ、ただよう花』 監督:ロウ・イエ
◎『二重生活』 監督:ロウ・イエ
◎『ブラインド・マッサージ』 監督:ロウ・イエ


▼グザヴィエ・ドラン関連作品
◎『わたしはロランス』 監督:グザヴィエ・ドラン
本当に素晴らしかった。このクラウドの作品群で一番だと思う。人間に性別というものがなければ、ただその人としてありのまま受け入れることができるなら、この世の多くの苦しみは消え去るはずだけど、でも人間が動物である限りはきっとその日は永遠に来ない。

○『トム・アット・ザ・ファーム』 監督:グザヴィエ・ドラン
◎『エレファント・ソング』 監督:シャルル・ビナメ

▼パトリシオ・グスマン監督作品
○『光のノスタルジア』 監督:パトリシオ・グスマン
○『真珠のボタン』 監督:パトリシオ・グスマン
二作ともとにかく絵が美しい。また、チリという国の美醜をよく描いている作品だった。

▼パレスチナを舞台にした映画
○『パラダイス・ナウ』 監督:ハニ・アブ・アサド
○『オマールの壁』 監督:ハニ・アブ・アサド
○『ガザの美容室』 監督:アラブ・ナサール、タルザン・ナサール
▼世界を知るドキュメンタリー
◎『ラジオ・コバニ』 監督・脚本:ラベー・ドスキー
◎『ラッカは静かに虐殺されている』 監督:マシュー・ハイネマン
故郷が戦地になるとはどういうことか、突然平穏な日常が失われるとはどういうことか。同世代の彼ら彼女らの行動力にただただ敬服するほかない。私は身体の危険性が極めて少ないこの国で、一体何ができるだろう。

○『すべての政府は嘘をつく』 監督:フレッド・ピーボディ
○『トゥーマスト ~ギターとカラシニコフの狭間で~』 監督:ドミニク・マルゴー
○『VHSテープを巻き戻せ!』 監督:ジョシュ・ジョンソン

▼地球のこれからを考える「アースライフシリーズ」
◎『セヴァンの地球のなおし方』 監督:ジャン=ポール・ジョー
◎『パパ、遺伝子組み換えってなぁに?』 監督:ジェレミー・セイファート
邦題が本当にダサいことはさておいて、軽快に、でもきちんとGMOの危険性を知らせてくれる良作。
○『世界が食べられなくなる日』 監督:ジャン=ポール・ジョー
○『モンサントの不自然な食べもの』 監督:マリー=モニク・ロバン
○『ブルー・ゴールド』 監督:サム・ボッゾ
○『おいしいコーヒーの真実』 監督:ニック・フランシス
◎『聖者たちの食卓』 監督:フィリップ・ウィチュス,ヴァレリー・ベルトー
○『聖なる呼吸:ヨガのルーツに出会う旅』 監督:ヤン・シュミット=ガレ

▼原子力について考える
△『100,000年後の安全』 監督:マイケル・マドセン
他の原子力系のドキュメンタリーと比べて、話が壮大すぎてついていけなかった。

◎『プリピャチ』 監督:ニコラウス・ゲイハルター
目に見えない放射線がどのように人々の暮らしを奪っていくのかがよくわかった。

◎『核の傷:肥田舜太郎医師と内部被曝』 監督:マルク・プティジャン
○『311以降を生きる:肥田舜太郎医師講演より』 アップリンク製作

▼表現者達のドキュメンタリー
○『甲野善紀身体操作術』 監督:藤井謙二郎

○『ピンクリボン』 監督:藤井謙二郎
ピンク映画なんてジャンルのこと、私はこの映画で初めて知った。吉行由実さんが妖艶で美しかった。

○『ソウル・パワー』 監督:ジェフリー・レヴィ=ヒント
アメリカという国で音楽でスターダムにのし上がった黒人たちが彼らのルーツであるアフリカで音楽祭を開く、技術的には現代でも可能(むしろ、現代の方が簡単にできる)なことだけど、でも決して現代ではもうできないだろうな。アメリカという国のスター性がなくなっているからか、マスメディアよりもインターネットという個のメディアの方が力を持ち始めているからか。

◎『ラ・チャナ』 監督:ルツィア・ストイェヴィッチ
ただひたすらに、情熱。スペインまた行きたいな。

○『サクロモンテの丘~ロマの洞窟フラメンコ』 監督:チュス・グティエレス 

◎『バレエボーイズ』 監督:ケネス・エルヴェバック
比較的最近の話、北欧の空気感がたまらない。観終わった後彼らのその後を調べ、まだまだ彼らの人生が続いているという事実が嬉しかった。

○『ふたりのイームズ:建築家チャールズと画家レイ』 監督:ジェイソン・コーン、ビル・ジャージー

○『創造と神秘のサグラダ・ファミリア』 監督:ステファン・ハウプト
それにしても日本人の喋るスペイン語はなぜいつもこんなに淡白なんだろうと思いつつ、そこで働く日本人がいるという事実は勇気づけられる。

○『ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣』 監督:スティーヴン・カンター

◎『シーモアさんと、大人のための人生入門』 監督:イーサン・ホーク
数年前に野々すみ花さんがインスタで称賛しているのを見かけて以来、ずっと観たかった映画。この2980円のパックに入ってるなんて嬉しくて、一番最初に観た。偏屈シーモアおじさんがかわいい。自分の中で何か揺るぎない愛を持っている人は強い、たとえ偏屈であっても人々を惹きつける。それは私にはないものであってとても羨ましい。

○『作家、本当のJ.T.リロイ』 監督:ジェフ・フォイヤージーク

○『氷上の王、ジョン・カリー』 監督:ジェイムス・エルスキン


▼アートなドキュメンタリー
○『デヴィッド・リンチ:アートライフ』 監督:ジョン・グエン、リック・バーンズ、オリヴィア・ネールガード=ホルム
○『ヨーゼフ・ボイスは挑発する』 監督:アンドレス・ファイエル
◎『顔たち、ところどころ』 監督:アニエス・ヴァルダ、JR
赤髪のおばあさんとサングラスのお兄さんのドキュメンタリー。この映画群の中で抜群に好きな映画。

▼戦争ドキュメンタリー
◎『アルマジロ』 監督:ヤヌス・メッツ
◎『レストレポ前哨基地 PART.2』監督:セバスチャン・ユンガー
両作とも兵役もなく戦争の前線には縁の遠い日本人からすると想像すら及ばない姿をよく描いていた。外国から来た兵士と駆け引きをする地元の市民の姿に、戦争が日常とはどういうことかということを改めて考えさせられた。


▼邦画
◎『アカルイミライ』 監督:黒沢清
○『ブラックキス』 監督:手塚眞
私は血の表現が改めてダメなんだなと思った。
○『ストロベリーショートケイクス』 監督:矢崎仁司
◎『聴こえてる、ふりをしただけ』 監督:今泉かお鬱屈した


▼その他、劇映画
×『I.K.U.』 監督:シュー・リー・チェン
ぶっちぎりで一番面白くなかった、今まで観た映画の中でもここまで面白くないものも珍しい。一応全編通して観る、というマイルールのため流しっぱなしにしてたが、それだけで何も見ていない。

△『愛の悪魔/フランシス・ベイコンの歪んだ肖像』 監督: ジョン・メイブリィ
○『わたしたちの宣戦布告』 監督:ヴァレリー・ドンゼッリ
△『エヴォリューション』 監督:ルシール・アザリロヴィック
ただひたすらに映像美だけれど血の匂いのする描写がわたしにはしんどかった。
◎『ラッキー』 監督:ジョン・キャロル・リンチ
最後から2番目に駆け込みで観た、全然期待していなかったけれど実は抜群に面白かったのは嬉しい誤算。
○『サーミの血』 監督:アマンダ・シェーネル
観るのは二度目だったということに、観始めてから気がついた。映画好きの会社の同期が好きだという映画。