猫太郎

仕事はグラフィックとWEBのデザイナー。アート、旅、山登り、猫について、そして備忘録と…

猫太郎

仕事はグラフィックとWEBのデザイナー。アート、旅、山登り、猫について、そして備忘録として日々感じたことを気ままに書き綴っていこうと思います。

最近の記事

「石岡瑛子 Iデザイン」 作品に対峙する度に、自分の生き方を問われるような気がした

茨城県立美術館に「石岡瑛子 Iデザイン」(4/27~7/7)を観に行ってきた。 数年前に東京都現代美術館での石岡瑛子展が、日本でのアートディレクション作品からハリウッド映画やオペラのコスチュームデザイン、北京オリンピックの衣装デザインなど、石岡瑛子の初期から世界的なクリエイションまで、特に世界での活躍に重点が置かれていたのに対し、今回の展覧会は、日本時代でのグラフィックデザインを中心としたもので、前回とは異なる別の意味で見応えのある展覧会だった。 石岡瑛子の作品集などに掲

    • 70年間変わらないことが凄い!「宇野亜喜良展2024」

      宇野亜喜良の展覧会を東京オペラシティに観に行ってきた。 お客さんの9割は女性で、20代から(おそらく)70代までと幅広かった。 年齢は関係なく、女性の中の深いところに響く何かが宇野亜喜良にはあるようだ。 20代の初めにはすでに誰が見ても「宇野亜喜良」という個性的な作品が出来上がっている。 そこから90歳の現在まで、作品のタッチはほとんど変わっていない。 最初から完成されていたので変化する必要もなかったのかもしれない。 ポスターとその原画が並んで展示されているのだが、原画が

      • 猫好き、アート好きにはたまらない!ヤノベケンジ「BIG CAT BANG」

        銀座シックスに行ってきた。 といっても高級ブランド品を買いに行ったのではなく、お目当ては今日4/5から展示されるヤノベケンジさんのアート作品「BIG CAT BANG」だ。 岡本太郎の「芸術は爆発だ」のコンセプトに、ヤノベさんのアートのキャラクター「SHIP'S CAT」を一体化させて猫のビッグバンを表現した、アート好き、猫好きにはたまらない作品だ。 「太陽の塔」を宇宙船に見立て、その上に巨大な「SHIP'S CAT」が少し伸びでもしてるかのように、姿勢正しく堂々と鎮座して

        • 八丈島はキョンではなくイタチと猫の島だ

          「八丈島のキョン!」 ある年齢以上の人なら知らない人はいないというくらいの大ヒット漫画「がきデカ」のギャグだ。 ちなみにキョンというのは鹿をそのまま小さくしたような動物で中国と台湾に棲息している。日本固有の動物ではない外来生物だ。最近では千葉で大繁殖して大変なことになっているらしい。 「がきデカ」で、主人公の「こまわり君」が何の脈絡もなく突然、キョンのような姿に変わり、打ち寄せる荒波をバックに「八丈島のキョン!」と叫ぶ。 子供の時に読んだ漫画なのにいまだに鮮明に憶えている

        「石岡瑛子 Iデザイン」 作品に対峙する度に、自分の生き方を問われるような気がした

          東京国立博物館「横尾忠則 寒山百得展」

          東京国立博物館 表慶館に「横尾忠則 寒山百得展」を観に行った。 現代美術家の展覧会を東京国立博物館で行うという大胆な企画展だ。 クラシカルな建築物の中に、巨大なキャンバスの作品群がシンプルに展示されていたが違和感を感じなかった。 横尾さんの「寒山拾得」をテーマにしたシリーズで、100号サイズの絵が全部で102点。それで題名は「拾得」ではなく、「百得」としているようだ。 「寒山拾得」とは、寒山と拾得という唐の時代の二人の伝説的僧侶のことで、寒山は残飯を食らい、拾得と交わったと

          東京国立博物館「横尾忠則 寒山百得展」

          空の上を散歩する「苗場山」

          新潟県と長野県の間に位置する百名山の一つ苗場山に登ってきた。 以前、日帰りで登ったことがあるのだが、その時は あいにく山頂が雲の中でほとんど何も見えず、泣く泣く短時間で降りてきたので今回は山頂の山小屋に泊まってのんびりと高層湿原を楽しむことにしてみた。 長野県栄村の小赤沢ルートから登ることにした。 まずは車で3合目の駐車場へ。 津南の町からずっと細い道を登り続け駐車場まで1時間くらいかかった。 こんなにも広い駐車場がこの山の奥に作られているのに驚く。100台は駐められるら

          空の上を散歩する「苗場山」

          ひたち海浜公園 グリーンコキア

          5月のネモフィラに続き、またひたち海浜公園に行ってきた。 今回はグリーンコキアだ。 紅葉で赤く染まったコキアは以前見に来たことがあるがグリーンコキアは初めてだ。 9時半の開演とともに入ったのだが人も少なく、のんびり見ることができて快適だった。 ネモフィラの時のようにわんさか人が賑わっているのもお祭りみたいで悪くないが、静かに鑑賞できるのもまた良い。 グリーンコキアの見頃は夏。8月後半から9月の中頃までだが、何しろこの暑さだ。よほど好きでないとわざわざ見にこないのだろう。

          ひたち海浜公園 グリーンコキア

          台湾で旅券を紛失しないために。。。

          台湾が好きで何度も訪れている。 人も親切だし、気候も良いし、なんといっても料理が美味しい! 何度行っても台湾の料理の奥深さに感激する。 料理が忘れられなくてまた訪れる、といった感じだ。 ところで、外務省の「たびレジ」というアプリがあって 知りたい国・地域を登録すると 定期的に治安や疫病流行などの安全情報などが送られてくる。 私は「台湾」を登録していたので、時々メールで台湾情報を受け取っていた。 「どこどこ地区でスリが多発しているから注意してください」 といった注意喚起の情

          台湾で旅券を紛失しないために。。。

          これほど楽しい展覧会は久しぶり!「デイヴィッド・ホックニー展」

          東京都現代美術館で開催されている「デイヴィッド・ホックニー展  2023年7月15日(土)~11月5日(日)」に行ってきた。 スプリンクラーやプールをモチーフとした初期の代表作から、フォトコラージュ、iPADで描いた絵画まで、デイヴィッド・ホックニーの全貌を見ることができる。 今年一番開催が待ち遠しかった展覧会だった。結論から言うと期待以上に素晴らしかった。 現代アートの世界ではもう「絵画」という形式はメインストリームではない。どちらかというと古臭いメディア扱いだ。そうし

          これほど楽しい展覧会は久しぶり!「デイヴィッド・ホックニー展」

          1987年 インド ラダックの旅 3 「トラック野郎」

          レー王宮の前に大きな広場があり、そこがトラックの溜まり場になっていた。 レーを離れる前日の夕方、何台かのトラックの運転手と交渉し、金額もリーズナブルで、人の良さそうなシーク教徒の運転手のトラックに乗せてもらうことにした。 ラダック料理とチャンで、レー最後の夜を楽しんだ。香港の女の子たちもトラックで帰ることにしたらしい。 「インド人はスケベが多いから気をつけなよ」と言うと、「カンフーでやっつけるから大丈夫!」と香港ジョークで笑わせてくれた。 ゲストハウスには宿泊者のメッセージ

          1987年 インド ラダックの旅 3 「トラック野郎」

          1987年 インド ラダックの旅 2 「旅人たち」

          翌朝目を覚まし、初めて太陽の下でレーの街を見てその美しさに一瞬で心を奪われた。 私の泊まったゲストハウスはレーの街の中心から少し外れたところにあったのだが、その屋上からの眺めは本当に素晴らしかった。 砂漠の中のオアシスのように瑞々しい緑が広がっていて、その周りを巨大な岩山が囲んでいる。遥か遠くの方には雪山も見える。 標高3650mのレーは空気が薄いことに加え、非常に乾燥していた。そのためかなり遠くの景色までくっきりと見ることができた。空気遠近法の適用外の場所だ。空気のない

          1987年 インド ラダックの旅 2 「旅人たち」

          1987年 インド ラダックの旅 1  「天空へ続く道」

          今から30年以上前、インドのラダック地方を旅したことがある。 ラダックは藤原新也さんの「西藏放浪」を読んで以来の憧れの地だった。 ラダック地方は、ヒンズー教徒、イスラム教徒が多いインドにあって、チベット仏教徒が多く住む例外的な地域だ。 またインドの北西部の端に位置し、中国やパキスタンとの国境を接し、地政学的、軍事的にインドにとっては重要な地域であったため、長く外国人の立ち入りが禁止されていた。外国人の立ち入りが開放されたのは1974年。そのため、「中国化」が進んだ中国のチベ

          1987年 インド ラダックの旅 1  「天空へ続く道」

          歳を重ねるほどに革新的「マチス展」

          東京都美術館で開催されている「マチス展 2023年4月27日~8月20日」に行ってきた。 マチス展は、初期の試行錯誤の時代からフォービズム、装飾性の高い鮮やかな色彩の絵画と続く。 私が「マチス」と聞いて想起するのはだいたいこの辺りの絵画のイメージだ。 マチス展はこれでは終わらない。この後に「切り絵」「ロザリオ礼拝堂の資料」が展示されているのだがこれが素晴らしい! 黒い太い線でダイナミックに描かれた顔のないのっぺらぼうの人物画など、まるでジュリアン・オピーのようにクールだ

          歳を重ねるほどに革新的「マチス展」

          聖なる熊野に出会う旅。「大斎原」「神倉神社」「花の窟神社」へ。

          熊野へ来るのは今回が2回目。 前回は熊野三山(熊野本宮大社、熊野那智大社、熊野速玉大社)を駆け足で回ったのだが、それだけでは本当の熊野を知ることができない。もっと熊野の奥深い部分を感じたいと思い、再度熊野を訪れた。 「大斎原(おおゆのはら)」 熊野本宮大社のすぐそばに巨大な鳥居が田んぼの中に聳え立っている。日本最大の鳥居だそうだ。 ここが元々熊野本宮大社が建っていた場所で、明治時代に洪水で流されてしまい、現在の場所に新たに移設されたという。かつては熊野川、音無川、岩田川の

          聖なる熊野に出会う旅。「大斎原」「神倉神社」「花の窟神社」へ。

          和歌山の景勝地「千畳敷」の落書き、許すまじ!

          白浜の「千畳敷」は、いくつもの地層の重なった大岩盤が地表に露出し、それが荒波に削られてできた景勝地だ。 地層のシャープな直線と、波と風に削られ丸みを帯びた岩が混在し、独特でシュールな雰囲気を醸し出している。 この美しい場所で、最初に気になったのは「落書き禁止」の看板だ。かなり目立つ色であちこちに立っている。 こんな派手な看板、この雄大な風景にそぐわないのに、落書き禁止の看板自体が落書きみたいに汚いじゃないか。 しかし、千畳敷を海の方へ歩きはじめてすぐに、私の考えが間違って

          和歌山の景勝地「千畳敷」の落書き、許すまじ!

          南紀白浜の熊猫と猫

          南紀白浜といえば、アドベンチャーワールド。 アドベンチャーワールドといえばパンダだ。 今年の2月に7頭のパンダのうち、3頭を中国に返還してしまったため、アドベンチャーワールドで現在飼育されているのは4頭のみだ。 お母さんパンダの「良浜(ラウヒン)」、そしてその子供たち「結浜(ユイヒン)メス」「彩浜(サイヒン)メス」「楓浜(フウヒン)メス」の4頭だ。 「良浜(ラウヒン)」はこれまでに10頭のパンダを産んだアドベンチャーワールドの最大の功労者だ。しかも日本生まれで初めて出産を

          南紀白浜の熊猫と猫