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聖なる熊野に出会う旅。「大斎原」「神倉神社」「花の窟神社」へ。

熊野へ来るのは今回が2回目。
前回は熊野三山(熊野本宮大社、熊野那智大社、熊野速玉大社)を駆け足で回ったのだが、それだけでは本当の熊野を知ることができない。もっと熊野の奥深い部分を感じたいと思い、再度熊野を訪れた。

大斎原の大鳥居

「大斎原(おおゆのはら)」

熊野本宮大社のすぐそばに巨大な鳥居が田んぼの中に聳え立っている。日本最大の鳥居だそうだ。
ここが元々熊野本宮大社が建っていた場所で、明治時代に洪水で流されてしまい、現在の場所に新たに移設されたという。かつては熊野川、音無川、岩田川の合流点の中洲に建っていたということだから、逆にそれまで洪水で流されなかったのが不思議なくらいだ。当時は音無川を自分の足で渡って禊をしながら本宮に参拝していたという。なんとも素敵な光景だ。

洪水で流される前の熊野本宮


杉の参道。ここから聖域へ

鳥居をくぐると、両脇に大きな杉が立ち並ぶ参道がある。写真撮影はここまで、ここから先は聖域だ。

杉の道を抜けると、木々に囲まれたサッカーのグランドくらいの大きな空間が現れる。中央に巨大な木が2本、その下に小さな祠があるだけ、その他は芝生のような小さな草が生えているだけの空間だ。ここがかつて熊野本宮が建っていた聖域になる。

何もないからこそ、より想像を掻き立て、神聖な空気を感じさせる。
訪れる人も少なく、ひっそりとしている。鳥のさえずり、風に揺れる木々、時折の雲の隙間から顔をのぞかせる太陽の光が緑を輝かせる。ずっといつまでもここに立っていたいと思わせる心地さだ。


「神倉神社」

新宮の熊野速玉大社のすぐ近くの山の中腹に本殿がある。
源頼朝が寄進したと言われている石段を麓から登ってそこまで行くのだが、驚いたのはその石段の勾配だ。山道なら鎖場になってそうな急角度だ。軽トレッキングシューズなど歩きやすく、グリップが効いた靴でないと少し危険かもしれない。

新宮の街から見た神倉神社


かなりの急勾配の石段。でもおばあさんも一生懸命登っていた。大したものだ。

しばらく登ると徐々に石段の角度もなだらかになってきて歩きやすくなる。538段の石段を登ってようやく本殿に。巨大な磐座の下に押し潰れるような感じで建てられている。この巨大な岩は「コトビキ岩」と呼ばれ、熊野権現が初めて立ちおりた場所だそうだ。

岩が転がり落ちてきそうだ。


「コトビキ岩」の裏側にまわると沖縄の御嶽のような場所が現れる。こうした巨石のように普通ではない特異な形状のものを太古の人は畏怖し、神聖なものとして崇めたのだろう。そこから眺める熊野灘の景色も美しかった。

磐座の裏側。御嶽のようだ。


「花の窟神社」

三重県の熊野市にある花の窟神社。こちらも世界遺産に認定されている。
拝殿のようなものもなく、大きな崖の一枚岩が御神体として祀られている太古の形式の神社だ。あいにくの雨だったか訪れる人も少なく、少しピリっとした神聖な空気を感じられ、気持ちよい時間を過ごせた。


本殿はなく、巨大な岩が御神体


崖全体が一つの大きな岩だ。


上記の三社以外にも、熊野本宮大社、熊野速玉大社、那智の滝の飛龍神社を再訪し、湯の峰温泉のつぼ湯にも足を伸ばしたが、まだまだ熊野の全体像は見えてこない。

ということで次回は、熊野古道に挑戦してみたい。聞くところによると、熊野古道を歩いて旅している人の8割は外国人だという。日本人にとって、あまりにも当たり前の普通の山道の風景が外国人には新鮮なようだ。私たちが普段空気のように気にもしないものにこそ、本当の日本らしさが存在するのかもしれない。

外国人が日本を旅するように、見たり感じたりすることができれば、もっともっと素晴らしい旅になるんだろうな。



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