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辞書を読み比べてみると(note89)

みなさん、こんにちは。「言葉のちから」のnoteを書いているmina@ことばの垣根をこえるひと です。こちらを訪れてくださってありがとうございます。

 今日はまず、トップ画像の説明から。翻訳の仕事や学習に使っている辞書の読み比べの話を書こうとしたため、「読む」という部分で共通点があるかなあ、と思ったのと、とてもほんわかムードでいいなあ、と思ったという2つの理由から、nonachanさんの画像を使わせていただいております。nonachanさん、ありがとうございます。


 さて、では本題にまいります。翻訳に関する話題のうち、フランス語の話がこのところ続いております。そこで、辞書を4冊持ってきまして、jeûneという単語の意味を読みくらべてみました。同じ単語でも説明のしかたが微妙に異なるのがかります。では、ご覧ください。


まず、Le Dico(ディコ仏和辞典)という学習者向けの辞書でjeûneを調べてみます。

faire jeûner un malade 病人を絶食させる と書かれています。単にjeûnerと書かれている場合、宗教上の理由による行為であることがわかります。

 この頃のファスティング、という訳語が充てられているjeûne(r)は、健康の問題に対応しているものと受け止めていますので、必ずしも宗教は絡んできませんが、本来の意味には宗教が絡んでいることがわかります。 

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次に、プチ・ロワイヤル仏和辞典第4版のjeûneとjeûnerです。↓

 ここでは、observer le jeûneのことを「断食を守る」といい、rompre le jeûner のことを「断食をやめる」というようです。「守る」や「やめる」など、該当する分野ならではの言い方があるのがわかります。私は特に宗教活動はやっていないので、このような言い方は初耳です。

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さらに、小学館のプログレッシブ仏和辞典を引いてみると、こんな感じです。

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 プチ・ロワイヤルとプログレッシブに同じ用例が挙げられています。このことから、数は少ないながらもjeûneという単語が医学の現場で用いられていることがわかります。プログレッシブと言えば、翻訳の仕事を英語に絞っていた頃、英和中辞典にかなりお世話になりました。用例が豊富なので助けられていたのを思い出します。

おわりに、LAROUSSEの French Dictionary から。

コピーが難しく、ややピントを合わせにくくなっておりますことをお許しくださいませ。ピンク色のマーカーをつけた部分を抜書きしますと、次のようになります。断食のことをfastといい、「断食する」のことをto fastといいます。だから、朝ごはんを食べると断食をおわりにすることになるので、breakfastなのですね。

jeûne= fast, jeûner = to fast


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 この頃は電子辞書を使っている方もおいでだとは思うのですが、紙の辞書ですと、前後に出てくる単語が同時に目に入るので、周辺知識を仕入れるのに助かるということをお伝えいたします。ふだん、新聞を毎日斜め読みするような気軽な感覚で、マメに辞書に接する方が単語を覚えやすいということを教わりました。

 2年ほど前に和文仏訳の講座を受講しながら電子書籍を書いていた頃、指導してくださった先生にも言われたことがあります。仏和辞典を使い慣れてきたら、少しずつ英仏、仏英とか、学習者向けの仏語辞典を使っていくようにすると良いと。


おわりになりましたが、本日のトップ画像を使わせてくださったnonachanさんのnoteをご紹介させていただきたいと思います。




ここまでお読みいただきましてありがとうございます。はじめましての方は、下の枠のどこかをクリックしてみてください。




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