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【ネタバレ注意】マイエレメント感想

エンドロールが流れ終わって静まり返ったシアター内で、私はなかなか席を立てずにいた。理由は、あたたかな余韻と素晴らしい作品にまた出会ってしまった高揚感からだ。

この映画、一言で表すなら【純愛】。
頭の中を整理しつつ、なるべく時系列に沿ってここからあらすじと感想を書き留めていこうと思う。

あらすじ

始まりは、船の上。
火のエレメントの男女二人がエレメントシティにたどり着き、家を探すところから始まる。しかし、火のエレメントは嫌われ者。どの空き家を訪ねても断られ続け、疲れ切った女性は大きいお腹を大事そうにさする。大丈夫だと男性が示したのは、廃墟のようなエリア。長い年月をかけ、ここに火のエレメントたちの町が作り上げられていく。赤ん坊の産声、次第に増す町の活気、集まってゆく火のエレメントたち。赤ん坊はエンバーと名付けられ、すくすくと育っていく様子が映し出される。最初の火のエレメント二人は、ファイアプレイスという商店を経営していた。なので、その一人娘エンバーの口癖はいつもこうだった。「わたし、大きくなったらこの店を継ぐの!」

大きくなったエンバー。どうやらもう間もなく店を継ぐことになるらしい。しかし彼女は一つ悩みを抱えていた。
それは、すぐカッとなってお客相手に癇癪※を起こしてしまうことだった。
クレーマーや迷惑客にすぐ癇癪を起こしてしまうエンバー。
エンバーの父は「まだ店は継がせられないな」とこぼす。
しかし父は年を重ね、せき込む描写が多くなっていく。エンバーはそれを心配し、早く一人前にならないと、と決意する。

※エンバーは癇癪を起こすと周囲に爆発を巻き起こす。

ところが、商店のビッグセールの日に事件は起こる。
前日、父からセールの日の店番をひとり任されたエンバー。
緊張した面持ちで店を開けると、お客が次々と流れ込んできた。
一人ずつ対応していくエンバー。しかし相手はビックセールを待ちに待った大量のお客たち。次第に対処しきれなくなり、ついには癇癪を起こしそうになり、「すぐ戻ります」と客に告げ地下室に逃げ込んでしまう。
結局エンバーは癇癪を起こし、爆発の衝撃で水道管を破壊してしまった。
水はあふれ、どんどん水浸しになっていく地下室。エンバーは自身の熱で水道管を変形させすぐに穴を塞いだ。ほっと一息ついたのもつかの間、水たまりの中から水のエレメントの男が現れる。

それが火のエレメント・エンバーと水のエレメント・ウェイドの運命の出会いだった。

感想

最初は正直ズートピアに似た設定だなと思った。異なる複数の種族が共生するエレメントシティ、種族間のいざこざ、ウェイドが水道管の違反切符を切ってるあたりもジュディの駐禁切符のやつと同じじゃん?って途中まで思ってた。でも違った。たぶんジュディ達だったら水漏れの原因見つけたところで犯人探しが始まってるけどその話はひとまず置いといて。
エレメントたちは街のヒーローでもヒロインでもなく、等身大のひとりとして描かれていた。強い正義はそこになく、また強い悪もそこにはない。強大な力を持っているわけでも、権力を持っているわけでもない。
ただのふつうの男女二人。種族が違うこと以外は。

いっぱいいっぱいになるとすぐ癇癪を起こしてしまうエンバーとは対照的に、ウェイドはひたすらに素直な涙腺の弱い男として描かれている。映画を見ていくと分かるが、彼は育ちがよく裕福な家庭で育ったが故の素直さのように感じる。父こそ亡くしてはいるけれど、そこには確実に豊かな環境で育った上品さのようなものを感じた。方やエンバーは虐げられてきた火のエレメント。家を手に入れることさえ難しく、花を見に行けば帰れと石を投げられる。それが当たり前だと思っていた。でもウェイドはその話を聞き、「とても辛い経験をしたんだね」と優しく語り掛ける。その気持ちに、言葉に、種族の壁は無かった。少しずつ心が絆されていくエンバーに段々観ている側も惹きつけられていく。
その花は、今は水没した地下鉄の駅に咲いているという。ウェイドはある日エンバーを呼び出し、風のエレメントの協力を得てエンバーにその花を見せることに成功する。感動した彼女は、美しく燃え上がった。ウェイドは、その彼女の光がたまらなく好きだという。花を見終わると、二人はついにその手と手を触れ合わせる。最初は慎重に、そっと、触れてみる。水蒸気が二人を包み込む。少しずつ触れる面積を増やしていく二人。指を絡め、踊るように寄り添い、ゆっくりとその時を嚙みしめる。ああなんて美しいんだろうと涙がこぼれた。絶対に触れ合えないと思っていたのに、触れ合えた二人の喜びが、ぬくもりが、スクリーン全体から伝わってきた。なんてあたたかい時間なんだろうと惚れ惚れした。

でも、そんなときにエンバーの脳裏にふとよぎるのは「いい娘を持った」と微笑む父の顔。あの店は、お父さんの夢、希望なんだとエンバーは自分に言い聞かせる。観ていて胸がぎゅっとした。父の夢は私の夢?そんなはずがないと自由にやりたいこと(ウェイド家にエンバーがお邪魔したときにガラスの扱いが上手でガラスメーカーのインターンのきっぷを受け取っていた)をしようと説得するウェイド。でもその言葉は、彼女には届かない。エンバーの父の引退式の日、出席したエンバーは店を引き継ぐ決意を固めていた。でもそこに、彼が現れた。ウェイドだ。彼は自分と彼女が結ばれない理由を述べ、それでも、あなたが好きだと改めて告白する。そのまっすぐな瞳に心をかき乱されたエンバーは、ついに彼に「私はあなたのことなんか好きじゃない、消えてよ!」と癇癪を起こしてしまう。そんなこと、本心じゃないのに。エンバーは途中で一度父の店を継ぎたくないとウェイドに明かしていたのに、期待にこたえなくては、いい娘でいなくては、と自分を閉じ込め続ける。その様子が、観ていてとても辛かった。昔の自分を見ているようだった(新卒で選んだ会社が親が喜ぶからといった理由で決めた経験があるので)。

その後、運河を抑えていたガラスが崩壊し、大量の水が火のエレメント達の町に流れ込む事件が起こる。ウェイドとエンバーはブルーファイア(聖火みたいなもの)を守るため店の中に飛び込むが、二人はがれきに閉じ込められ、暑すぎる空気でウェイドは蒸発寸前になってしまう。
水が引き、救助されたのはエンバーとランタンに灯ったブルーファイアだけ。そこに彼の姿はなかった。父に真っ先に抱き着いたエンバーはそこで初めて自分の心に正直になる。「ごめんなさい、私本当は店を継ぎたくなかったの、ウェイドが大好きだった」と泣きながら吐露するエンバー。
まさかのバッドエンド。



とはさすがにならないのがディズニー。
結果的にはウェイドは助かるのだが、その結末は映画館で観てほしいのでまだ見てない方は映画館でぜひ。
エンドロールのアニメーションとっても可愛くてよかった!!!

ウェイドがとにかくまっすぐで素直な青年すぎて終始キュンキュンが止まりませんでした。「デートしない?」「君が好きだ」「家族に紹介したいんだ」実家に上げても常に彼女を気遣うスパダリ気質。
エンバーは責任感が強いところが自分と少し重なって見えて共感できる場面が多々ありました。あと気持ちによって移ろう頭の炎の表現が素晴らしかった。これマジ。風のスタジアムでの水エレメント達の文字通りのウェーブの表現も面白かった。あと電車に風のエレメント達が逆さで天井に乗って新聞読んでたり、よく作りこまれてるなと感じた。

さいごに

正直一回しかまだ見てないので覚えてる範囲でと思ったら3000字超えててびっくりしてるよ?!
ここまで読んでくれてありがとうね~~!!!
※あくまで頭の中整理する用だから深く読み込んだ感想求めてた人はごめんやで!


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