学校から帰ってくると　
縁側には　いつも　群青色の市場帽子を斜にかぶった　じいちゃんがいた　
右手にワンカップ　左手には　“わかば”　
田んぼの案山子のように　僕の問いに　何でも答えてくれた　じいちゃん
今思えば　ほとんど　的外れだったけど　心は　いつもポッカポカ
そんなじいちゃんと　あの縁側が　今もあったら・・・　
きっとこんな　会話になっただろう・・・

『 SDGs 』

「じいちゃん　これなんだか知ってる？」
画用紙に　S・D・G　そして小さなSを書いて見せる

「えす・でー・じー・それに　小っちゃいえす？」

「さすがの　じいちゃんも　難しいよねぇ」
Pufaaaaaaaaaaaaa　と　煙を吐く真似をして　じいちゃんに聴く

「しっ　知っとるしっ！」
上ずった声を出しながら　改めて　画用紙をのぞき込むと
ワンカップを　ゴクリ
そして　左手を　口元に！

Pufaaaaaaaaaaaaa　と　煙を吐く　じいちゃん　　
ごほっ・・・　と咳き込む僕！

「お～　そうか！！」

突然　ニンマリした　じいちゃん

「こりゃ　ミレニアムじゃな！
　まず　はじめの「S」は　セリーグの「S」
　次に「D」は　1999年　星野仙一　ドラゴンズ優勝の「D」
　そして次の「G」は　
　翌年2000年（ミレニアム）原ジャイアンツ優勝の「G」
　最後の「S」は　2001年　若松スワローズ　優勝で「S」
　若松は　身長168ｃｍと　ホントに小っちゃい選手だったからなぁ　
　それで小文字の「S」だな！」

Ｋａ　ｋａ　Ｋａ　と高笑いのじいちゃん

『持続可能な開発目標・・・』　なんて　どうでもいいや！
そんなことより
さすが！　じいちゃん！
セリーグの優勝チーム全部　覚えてるだね！
正に　”質の高い教育を農家にも”　だね

じいちゃんを称える僕　横で胸を張るじいちゃん
そんな二人を
庭の紅梅に留まっていた　薄緑の小鳥が　
見つめながら　啼いていた

「ほ～　ほっとけよ！（ホ～　ホケキョ）」

今日3月17日は「みんなでSDGsを考える日」なんだそうです