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エコゾフィック・アート、応答、しつづけよ。:本が読めない読書日記

5/30に代官山TSUTAYAにての、四方幸子先生『エコゾフィック・アート−自然、精神、社会をつなぐアート論』出版記念の対談にお邪魔した。
お相手はインゴルド『応答、しつづけよ。』を訳した奥野克巳先生。
二人のお話しが、むちゃくちゃ面白かった。

宇宙生成以降、とある時期に生まれ出た「自然の一部」でありながら、自然を対象化できるという、現時点においては生命体の中で唯一の存在である。

エコゾフィック・アート−自然、精神、社会をつなぐアート論p15

というごりごりの人間中心主義にも関わらず、非人間のアートの可能性を語るところを、本を読むだけでは整理できなかった。
そこに奥野先生は、インゴルドの補助線を引いてくれたのが、保坂の救いとなった。

しかし、比喩的な真実を文字どおりに受け取ることは、詩の方法だけでなく、アートの方法でもあります。というよりも、たぶん何よりもアートの方法なのです。アーティストの仕事は、そのような真実を具体化することであり、それらを私たちの目の前に直感的に提示し、私たちがそれらをすぐに体験できるようにすることです。

応答、しつづけよ。p39

それどころか、事物は基本的に開かれていて、すべてが一つの不可分な生成(ルビ:ビカミング)の世界に参加しているのです。複数の存在論は複数の世界を意味するのですが、複数の発生論は一つの世界を意味します。

応答、しつづけよ。p27

“比喩的な真実”とは、前回にけっ飛ばしたはずのカントぱいせんの現象論「人は物自体に行き着くことはできない」であろう。
“そのような真実を具体化する”ことが“アーティストの仕事”であり、“すべてが一つの不可分な生成(ルビ:ビカミング)の世界に参加しているのです。”!!
だーだー、熱いぞー、泣くぞー。(T-T)
カントの現象論そのままに、乗り越えてるのがインゴルドだった。
ならば、“自然を対象化できるという、現時点においては生命体の中で唯一の存在”のまま、“すべてが一つの不可分な生成(ルビ:ビカミング)の世界に参加している”!!
もうこれで、非人間のアートの可能性なんか、どーでもいいじゃんってなれた。

枕が長かった、ということで、疑問。

ガブリエル『アートの力:美的実在論』が考える「独自の自立性を持ちアートワールドを否定する」“アート”とは、ドーキンス『利己的な遺伝子』に登場する“複製子”論再びではないのか?!
そういえばバークレー学派文化地理学に「クローバーの文化超有機体説」ってのがあったが、ジェームズ・ダンカンが1980年に「アメリカ文化地理学における超有機的存在」という論文で、文化の物象化として批判していた。(Wikipedia)

どっとはらい
2023/05/31 11:52

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