「どうで死ぬ身の一踊り」のクズ男っぷり

どうで死ぬ身の一踊り / 西村賢太

大正期の私小説家・藤澤清造のファンというかオタクというかもはやストーカーの作者が最終的に清造の墓の横に自分の墓まで作ってしまうという狂気の行動。
しかも、作家や芸術家にありがちな売れない時代、ヒモとして女と同棲をするも、人生うまくいかないからと酒や暴力に走る典型的DV男。
同棲していた彼女に迷惑をかけ、彼女の親に借金までして愛する清造に注ぎ込むクズ男。
しかし、女のことは実際彼なりに愛しているし、女の方もこういう男が好きな世話焼きタイプの女なのだ。
私は一度も彼氏をヒモ化させたことはないが、実際にこういうカップルが成立するのもよくわかる。
カルト宗教みたいなものだ。
なんとも痛々しいし、自分は全くなりたくないが、ある意味では泥臭くみっともなく生きていていいなとも思う。
案の定、こういう生き方では短命だ。
結局、西村賢太は藤澤清造の横に眠れたのかしら?

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