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愛力戦隊ラブレンジャー 2-2

第2話「勇気を出して愛を叫べ」 後編


~オジイケの咆哮によって体の自由が利かなくなり、ハイパの命によって捕らわれてしまったラブレッド、ラブイエロー、ラブグリーン、ラブピンクの4人。しかし、駆け付けたラブブルーの手助けにより、窮地を脱するのだった。~


作戦会議室に戻った5人は、ラブレンジャーのスーツの開発者であり、調整を行ってくれている根盛堅一に今回の戦闘データを分析してもらうことにした。

根盛はラブレンジャーのスーツが戦闘でどのような衝撃をどの程度受けたか、どのような能力をスーツに受けてその結果スーツの動きをはじめとし、戦闘時にどのような影響を与えるのかを戦闘が終わるたびにデータから分析してくれているのだ。

「根盛さん、お願いします」
水希がそういうと、根盛はパソコンで分析を始めた。その後ろでラブレンジャーの4人はモニターを食い入るように見つめている。

「さてと……ハイパに何をされたのか、分析を始めようか……」
そう言って根盛はキーボードを叩き始めた。するとモニターに様々なデータが表示される。

・恐怖による体の硬直(100%):オジイケが叫ぶことでハイパの恐怖を直に受けてしまい動けなくなった。
・恐怖による精神的ダメージ(70%):ハイパの笑顔と発言に恐怖し、オジイケの咆哮もあって精神的なダメージが大きい。
・恐怖による体の萎縮(40%):ハイパの能力によって動けなくなり、オジイケの咆哮を浴びて萎縮してしまった。

「……なるほどね……」
根盛はデータを見て頷く。
「このデータを見る限り、あのライオン頭が叫んだことで不安や恐れの感情を植え付けられ、ハイパの能力で恐怖を増長されて動けなくなったってことになるのかな」

「なるほど、そういうことか……それじゃあ、オジイケの咆哮さえ聞かなけりゃあの変態おっさんにビビることもないってことか」
炎児が腕を組みながらそう分析する。他のメンバーも納得したような表情をしていた。

「それならスーツの聴覚機能を一時的にシャットアウトしたらどうかな? そうすればアイツの咆哮は聞こえないし、ハイパの発言にも恐怖を感じることはないと思う。僕たち同士の会話は、内部無線でやり取りすればいいからね」
と駿也が提案する。

すると炎児たちも「それならいけるかもな!」と希望を持ったような表情を見せた。

「うむ……ワシもその意見に賛成だ。定例会で不在の総司令も恐らく賛成だろう」
と根盛も頷いた。

そしてスーツの改修機能を終えてしばらく経ったころ、再び町にヨークとオジイケが出現したとの知らせが入る。

「よし!あの変態コンビと戦うぜ!」
炎児が声を上げると、他の4人もそれに続き再び町へ出撃したのだった……。

4人は町に到着すると、早速オジイケの姿を見つける。
「ホッホッホ! またお会いしましたな、ラブレンジャーの諸君!」
オジイケがそう叫ぶとヨークたちは一斉に戦闘態勢に入る。

「てめぇら……また懲りずに出てきやがって! 今度はこの前のようにはいかねぇぜ!! みんな行くぞ! 変身だ!!」

「「「「「ラブ注入!ラブリーチェンジ!」」」」」
ラブラブ~♪ ラブラブ~♪ ラッブラッブ~♪ ラブラブリ~♪ チュッチュ

そして音と光が収まるとそこには、カラフルな戦士たちの姿があった。
「燃える愛は炎の如く! 熱きハートの愛戦士! ラブレッド!」
「清らかな愛は水面の如く! 麗しきハートの愛戦士! ラブブルー!」
「鮮烈なる愛は雷の如く! 激しきハートの愛戦士! ラブイエロー!」
「癒やしの愛は山の如く! 穏やかなハートの愛戦士! ラブグリーン!」
「一途な愛は花の如く! ときめきハートの愛戦士! ラブピンク!」
「愛の力は無限大! 世界を愛で包み込む!」
「「「「「愛力戦隊! ラブレンジャー!!」」」」」
ラブレンジャーたちは名乗りをあげ、ポーズを決める。

「ホッホッホッ! 返り討ちにしてさしあげましょう!」
そう言うとオジイケは
「グオオォォォォォォォォォォッ!!」
と叫ぶ。

だが聴覚機能をシャットアウトしている今回のラブレンジャーたちには、何も聞こえなかった。

「へっ! 何言ってるのか聞こえねぇぜ。それより、この前の借りを返させてもらうぜ!」
ラブレッドがそう言うと、他の4人はオジイケに向かっていく……が、ラブブルー以外は途中で足が止まり動けなくなってしまう。

「う……そ、そんな!?」
「これは……あの時と同じ……」
「くそっ……動けねぇ……!」

そう。前回もオジイケが叫んだ直後に体が動かなくなり、一方的にやられてしまったが、今回も同じくブルーを除くラブレンジャーたちは完全に動きを封じられてしまっていた。

そんな彼らを見てオジイケは勝ち誇ったように笑う。
「ホッホッホ! どうしました? もう終わりですかな?」

「はぁっ!!」
ラブブルーのラブリーソードがオジイケを弾き飛ばす。
「な、なぜ動けるのですか? ……いえ、あなたはまだわたくしの咆哮を聴いていないのでしたね」
オジイケは一旦は取り乱したものの、冷静にラブブルーに言う。

「ま、まさか……一度あなたの能力で怖気づいた人はどれだけ時間が経っても恐怖が抜けないんじゃ……?」
「その通りですよ、ブルー殿」
オジイケは淡々と答える。
ラブブルーが振り返ると、他の4人はガクガクと足が震えてしまっている。

「そ、そんな……みんなしっかりしてくださいっ!!」
ラブブルーが叫ぶが、彼らは恐怖で動けない。

「ホッホッホ! どうやら勝負ありのようですな」
「くっ……」ラブブルーは悔しそうに唇を嚙むと、ラブリーガンをオジイケに向ける。

その瞬間、オジイケは
「ふっ、わたくしと会話するために聴覚機能のシャットアウトを解除するとは……油断しましたね! グオオォォォォォォォォォォッ!!」
っと渾身の叫びを上げた。

「きゃああああああっ!!」
ラブブルーは耳を塞ぎながら絶叫する。
しかしそれでもオジイケの声を聞いてしまう。

「ふふっ、これであなた方も本当に終わりですね」
そう言ってオジイケはラブレンジャーたちにゆっくりと歩み寄ってくる。
彼ら全員、完全に足が竦んでしまっていてその場から動けなかった……。

そしてついにオジイケがラブレンジャーたちの目の前までやってくる。
「ホッホッホ! ホーッホッホッホッ!!」
彼は自慢の爪でラブレンジャーたちを切り裂いていく。

「う、ううっ……」
「うぅっ……あっ……」
ラブレンジャーの5人は苦悶の声を漏らす。

「さようなら、ラブレンジャーの諸君」
オジイケがとどめの一撃を放とうとした……その瞬間だった——!

「ラブスプラッシュカッター!!」
ラブブルーの必殺がオジイケを鋭く斬り抜く。

「ぐぅ……お、お前……咆哮を聴いたのに、な、なぜ……動ける……のです?」
オジイケは信じられないという表情だ。

「私たちは……ラブレンジャー!! 私たちは人々や地球を守る使命を背負った、愛の戦士!! この程度の恐怖には屈しない!!」
ラブブルーは力強く叫んだ。そして
「みなさん、立ち上がってください!! ここで私たちが負けたら——この国の平和は——!! 人々の平和はどうなるんですか!! 私たちはラブレンジャー!! そうでしょう!? だったらこんなところで怖気づいてないで勇気をもって愛を叫んでくださいっ!!」
と、他のラブレンジャー4人を叱咤激励する。

「……水希の言うとおりだぜ!!」
「ああ! こんな奴らにビビってて何がヒーローってな!」
「うん。僕らは愛の戦士!」
「水希ちゃんのおかげで、くだらない怖気なんてすっかりなくなっちゃったわ!」
4人は立ち上がり、オジイケへ向かっていく。

「ふ、ふんっ!! もう一度喰らえば怖気づくことでしょう!! グオオォォォォォォォォォォッ!!」
オジイケは渾身の咆哮をお見舞いした……が……

「無駄だぜ!!俺たちはもう怖くねぇ!!」
ラブレッドはオジイケを殴り飛ばした。
「ぐっ……な、なぜ……!?」

「言ったはずです! 私たちは人々を守る愛の戦士だと!! だから私たちはもう、あなたなんか怖くない!!」
ラブブルーがそう叫ぶと、他の4人も一斉にオジイケに攻撃を仕掛けていく。

「く、くそっ……!!」
オジイケは叫び声を上げるが、ラブレンジャーたちの攻撃の手は止まらない。

そしてついに……
「「「「「くらえっ!! 愛の一撃!! スーパーラブスターマイン!!!」」」」」
ラブレンジャーの放った愛の波動砲が、オジイケに直撃する。

その威力に耐えきれず、
「ハ、ハイパ様ァ~!!」
彼は最後にそう残し、爆散するのだった。
程なくしてオジイケの怖気に支配されていた人々も元に戻る。

「お、おのれ~! よくもよくもよくもぉ~! よくも僕ちんの大切な部下のオジイケをぉ~!!」
空間を割きながらハイパが飛び出してくる。

「へっ、次はお前の番だぜハイパ!」
ラブレッドがラブリーソードを彼に向けて言い放つ。

だが彼はラブレンジャーたちには目もくれず、爆散したオジイケの灰を一心不乱にかき集めている。
「いますぐにお前の敵討ちといきたいところだが、悲しくて悲しくて今はそれどころではないのだぁ~! 許せオジイケよぉ~……オジイケよぉ~……!!」
彼は涙を流しながらオジイケを弔う。

その様子を見て
「悪事を働きに出てこなきゃよかっただろ……」
ラブレッドは呆れながらそう呟いた。

結局ラブレンジャーたちの方を見ることもなく、遺灰を集め終えると
「還ろうオジイケ」
とだけ言い、ハイパは空間を割いて消えていった。

「な、なんだアイツ?」
ラブレッドは意表を突かれたように立ち尽くす。

「でも、いったんはこれで片付いたんじゃないか?」
電輔がそう言うと、他の4人も頷く。
そしてラブレンジャーの5人は変身を解除した。

「みんな、お疲れ様。今日も何とかなったね」
駿也が安堵したようにふぅ、と一息つく。

彼の言葉に頷く水希を、桜が後ろからギュッと抱きしめ
「でも今日一番の活躍は水希ちゃんでしょ~! ん~! ありがと~!」
頬をスリスリする。

「もう……桜さん、くすぐったいですよぉ!」
水希は顔を赤くして身を捩りながらも、どこか嬉しそうだ。

すると炎児が、
「いや、最年少だけど水希。やっぱお前が一番勇気あるよ。本当にすごかったぜ!」
と、彼女の頭を優しくポンポンと撫でた。
その言葉に他の4人も微笑みながら、水希に熱い視線を送った。

「そ、そんな……。で、でも……この5人で良かったなって……思います!」
と水希が照れながら言うと、5人は誰からともなく嬉しそうに声を出して笑い合った。

ひとしきり笑い終えると
「そうだな! 俺たちなら絶対にどんな困難にも打ち勝てる! そこに愛があるからな!!」
炎児が力強く拳を突き出し、それに応えるように4人も拳を突き出した。
ラブレンジャーたちはグータッチをして勝利を喜びあうのだった。
ビルの隙間から差し込む斜陽が、そんな5人の若者を美しく照らしていた。

~こうしてオジイケとハイパの作戦は失敗し、オジイケは敗れ去った! 水希の強い心とラブレンジャーたちの勇気が、愛の勝利を引き寄せたのだ!
見よ! 彼らの彼らの背中のなんと頼もしいことか! ディボーチ帝国は次に何を企むのだろうか? しかしどんな企みであろうと我らがラブレンジャーは負けない!
この世界にラブレンジャーがいる限り、悪は栄えない!! 愛は世界を救うのだ!~

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~ディボーチ帝国 墓園ネクロフェイト~
「オジイケよぉ……オジイケよぉ~。安らかに眠れよぉ!」
新しく作ったばかりのオジイケの墓に、酒をかけながらハイパは語りかけていた。

そしてしばらくお墓に手を合わせると
「じゃあまた来るよぉ~! 僕ちんを見守ってくれよな~! ばいばいまたね! またねばいばい~!」
と手を振って去っていくのだった。
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ED

ラブラブレンジャー♪ ラブレンジャー♪
♪♪♪
ラブにラブってラブラブラブ♡愛は地球を救う♡ 
キミにギュギュってハグハグハグ♡愛は世界を包む♡
Ah~今もしもキ~ミが~、一人で泣いてる~なら~
Ah~僕たち愛の戦士が~、キミと一緒にキミと一緒に、泣いて笑ってあ・げ・る~♡
ラーブーラーブ~♪ 愛という名の奇跡~♪
ラーブラーブ~♪ それは大いなる、チ~カ~ラ~♪
♪♪♪
ラブラブレンジャー♪ ラブレンジャー♪
ラブラブレンジャー♪ ラブレンジャー♪
ラブラブレンジャー♪ ラブレンジャー♪
あ・い・し・て・る・よ♡

(EDテーマ:「Ah……Love Love Ranger!!」)
(作詞:ラブレンジャー 歌:ラブレンジャー)
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「みなさん、こんにちは! ラブブルーです! 今日の敵は恐怖心を植え付けるかなりの強敵でしたね! あのライオンの顔も実は私的には、とっても怖かったんですよね……。でも、恐怖は勇気で乗り越えられます! ハイパとの戦いも残っていますが、私たちは負けません! 次回も愛の戦士として戦います!
次回『愛はつまらない?』 せ、せ~の! ラブ注入~!」


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