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愛力戦隊ラブレンジャー 1-2

第1話「地球は愛の星」 1-1の続き


ディボーチ帝国の正確な組織規模は不明だが、それほど巨大な組織ではないだろうというのが総司令の見立てだった。
彼らのリーダーはマモンと名乗っているが、その姿や能力についての情報は一切不明である。

またエヌ、ハイパ、ディスペラドと名乗る3名の幹部も存在しており、彼らが主に作戦を立案していると推測されるとのことだった。
そして彼らが使役するディボーチ怪人、そして戦闘員のヨーク。
ディボーチ怪人の戦闘能力はそれなりに高いが、ラブレンジャーたちが力を合わせれば問題なく撃破できるレベルのものであり、ヨークに関しては一般の人間より少し身体能力が高い程度であり、高い脅威とは言えない。

「今現在のところ、奴らがそれほどの脅威になるとは考えにくいが、それでも油断せずに平和を守って行こうじゃないか」
秩父総司令の言葉に、ラブレンジャーの5人は大きく頷く。
「もちろんだ! 俺たちはディボーチ帝国を絶対に許さないぜ!」
そんな炎児の言葉に他の4人も力強く頷いた。

その数時間後、町にディボーチ帝国の怪人「オッカネー」が現れた。
~都内某所 町中~

オッカネーの発する音色を聞いた人間たちは理性を失い、まるで金の亡者のようにATMや銀行を襲撃しお金を奪い合う。
「お金があれば何でもできる! そうだろお前たち! さぁ、奪え奪え! お前らの欲望を叶えるのだ!!」
オッカネーの煽動に人々は歓喜の声を上げる。
怪人オッカネーが手を叩くと、ディボーチ帝国の戦闘員ヨークたちも現れた。

しかし——。
「そこまでだ! ディボーチ帝国!!」
と、混乱の中に現れた5つの影。
ラブレンジャーである。
「悪党どもめ! このラブレンジャーがいる限り、お前らの好きにはさせないぜ!! 覚悟しろ!!」
炎児の言葉に、ラブレンジャーたちはポーズと決め台詞を決めていった。

「ラブ注入!ラブリーチェンジ!」
ラブラブ~♪ ラブラブ~♪ ラッブラッブ~♪ ラブラブリ~♪ チュッチュ
そして音と光が収まるとそこには、カラフルな戦士たちの姿があった。
「燃える愛は炎の如く! 熱きハートの愛戦士! ラブレッド!」
「清らかな愛は水面の如く! 麗しきハートの愛戦士! ラブブルー!」
「鮮烈なる愛は雷の如く! 激しきハートの愛戦士! ラブイエロー!」
「癒やしの愛は山の如く! 穏やかなハートの愛戦士! ラブグリーン!」
「一途な愛は花の如く! ときめきハートの愛戦士! ラブピンク!」
「愛の力は無限大! 世界を愛で包み込む!」
「「「「「愛力戦隊! ラブレンジャー!!」」」」」

「ええい! 怯むな! やれ!」
そんなオッカネーの号令で、ヨークたちがラブレンジャーに襲い掛かった。
「行くぜ! みんな!」
ラブレッドの言葉に他の4人が大きく頷く。そして各々が得意とする攻撃を放ち戦闘員のヨークたちを打ち倒していく。

「ラブファイヤー!」
ラブレッドが手から火を放つ。
「ラブウォーターシャワー!」
ラブブルーが手を掲げると、鋭い雨がヨークたちに降り注ぐ。
「ラブサンダー!」
ラブイエローが雷でヨークたちを打つ。
「ラブヴァインウィップ!」
ラブグリーンが地面から突き出した植物で、ヨークたちを薙ぎ払う。
「ラブリーフラワータイフーン!」
ラブピンクが鋭い花びらで、ヨークたちを包み込む。
ヨークたちはあっという間に全滅し、残るオッカネーのみとなった。

「くそぉ……ラブレンジャーどもめ! 所詮はお前らだって金のために戦っているくせに!金は良いぞ! 正義のために戦うよりも、よっぽど楽しいじゃないか! そうだろお前たち!」
オッカネーの呼びかけに人々は歓喜の声を上げる。
そして人々の目にはいつのまにか妖しい輝きが灯っていた。

そんな彼らを前にオッカネーは続ける。
「金があれば何でも手に入る! お前らだって欲しい物が買えるし、行きたい所にも行けるだろう? 美味しい食べ物だって食べられる!」
オッカネーの言葉に人々は
「おお~!」「そうだそうだ!」
と、口々に歓喜の声を上げる。
(どうやらうまくいったようだな)
人々が目をギラギラさせて金や食べ物に思いを馳せているのを見て、その様子に、オッカネーは1人ほくそ笑んだ。

「いいかお前たち! 今、お前たちが欲しいものを言ってみろ!」
その言葉を受け、人々は即座に答えた。
「贅沢な暮らし!」
「食べ物!」
「豪邸!」
そしてオッカネーは更に続ける。
「今、お前たちが言ったものは金で全て手に入るんだ! さぁ金を奪うのだ!」

「いいや! 金で買えないものがこの世にはあるぜ!それは愛だ! 金では買えない、愛こそが、本当に大切なものなんだ!」
盛り上がる群衆たちだったが、ラブレッドの放った一言に一瞬動きを止める。

「そうよ! みんな思い出してください! 子供の頃はお金なんかなくたって毎日楽しかったはず! それはお母さんやお父さん、家族がいて、友達がいたからじゃないですか!?」
ラブブルーの言葉に人々ははっとする。

「みんな、思い出してくれ! 思い出を! 懐かしい場所や楽しい出来事を!」
ラブイエローの言葉に人々は過去を振り返る。

そして、ラブイエローの言葉にラブグリーンも続く。
「ぼくらの心には愛がある。みんなの心には愛がある」

「愛はお金より大事な物だと私は思うわ。だから愛が溢れるこの世の中を守るために、ラブレンジャーとして私たちは戦う!」
4人に続いたラブピンクの言葉に、人々の目に光が戻ってくる。

そして人々が叫んだ。
「そうだよみんな! 思い出したよ! もう金なんかいらないさ!」

オッカネーはそんな人々の変貌ぶりに一瞬戸惑ったが、すぐに邪悪な笑みを取り戻した。
「何をバカなことを言っているんだお前たち! 愛なんて下らないもののために、大事な金を捨てていいのか!?」
しかし人々はもう、オッカネーの声に耳を傾けなかった。

「よぉしみんな、世界を愛で包み込もうぜ!」
ラブレッドが力強く叫ぶ。その時だった——。どこからともなく嘲笑う声が聞こえてくる。

「愛、愛、愛ってそればっかり。……怪しい宗教みたいで笑えるね」
その言葉と共に、オッカネーの後ろから漆黒のドレスに身を包んだ、白い髪と白い肌の美しく若い女性が現れる。

「エ、エヌ様!」
オッカネーは即座にその女性の前に跪き、深々と頭を垂れた。

「だ、誰なの?」
ラブピンクは、怪人が女性に平伏している様に驚いている。
「彼女はディボーチ帝国の幹部の一人……エヌと思われます!」

ラブブルーが少々焦りを隠せない声で答えると、エヌは妖艶に微笑んだ。「へぇ……私のこと知ってくれてるんだ? 初めましてラブレンジャー。私はディボーチ帝国の大幹部、憎悪のエヌだよ。よろしくね?」


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