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丁寧な接客が、そんなに価値ありますかね

 アジアの、店員さんが接客時にニコリともしないような国に住んでいたからか、台湾に旅した時に店員さんのナイスっぷりにかなり感動したものだ。

「台湾って日本に似てるよね!」

と思った。その時は。

その後、完全帰国してから日本の接客態度をみると、その丁寧さのレベルが台湾のそれとは別次元だったので、これまた驚愕した。

素直に感動したかというと、割とそうでもない(汗)。

大阪のスーパーマーケットのレジのお姉さんも、接客態度が驚くほど丁寧だった。数百円のお惣菜をボンと投げて偉そうに現金払いするおっさんにも、背筋を美しく伸ばした状態で、腰からの丁寧なお辞儀をしていた。

平身低頭が過ぎる........。

勘違いするよね。自分は(数百円でも)お金を払う客側だから、何をやっても店員側が平伏すべきだと思うようなオッサンが出ないとも限らない。

現にその時も、内容はわからないけれど大声でお姉さんに怒鳴りつけているオッサンがいて、それに対してただただ平謝りするだけの若い女性店員さんを見た。

よっぽどオッサンに意見したろうかと思ったよ。

事情のわからない外部の人間が横から入ってきても問題が複雑化することはあっても解決することはない。これは店員さんに任せるしかない。ほどなくプンプンのまま店を後にするオッサンと、そのオッサンに頭を下げたままの気の毒な女性店員さんが見えた。

やりすぎだよね。絶対にやりすぎ。

お店側からすると、大口顧客でもない人と、人材難でようやく確保した若いアルバイトさんなら、圧倒的に後者を守りたい。だけどそれを許さない雰囲気があるのよね。顧客第一というのが日本の建前だから。

本当に大事なのは、ステークホルダーだと新入社員のときに教わったけどな。顧客もその一部だけど、それだけじゃないのよ。企業の価値が上がらないと株主にも喜ばれないし、そんなに接客に時間が取られるなら人件費を価格にさらに上乗せしないといけなくなる。それは地域住民(一般顧客)にとっても良い話ではないのだし。第一、従業員を蔑ろにする会社に成長は見込めないよね。離職率が上がっちゃうからさー。

日本では、そういったバカ丁寧な接客に遭遇することは少なくない。

仕事の品質は最高級にあげるべく努力すべきだとは思うけれども、不必要な仕事はその生産性に直結するから排除すべきだと思う方だ。

ワレモノを梱包材で包み、お花を買ったらそれを新聞紙でくるむ。それは必要でありがたいことだと思うのだが、いかんせんその作業スピードが

ありえないくらい、遅くてバカ丁寧なのである.............orz

顧客がほとんどいなくて、ヒマ過ぎてやっているのならまだ分かる。

でもさ。

長い行列ができていて、私の後ろにも何人もカゴを持った人が並んでいるにもかかわらず、私の購入したものを一つ一つ袋に入れてテープをとめてくださるのだ。そのたびに「こちらにも保冷剤をお入れしてもよろしいでしょうか?」と聞かれちゃうのである。

私は自宅で使うものを購入する時に、例えばパンなどを一つずつ袋にいれられそうになると、「あ、まとめて全部ガサッと入れていただいて大丈夫です」と前もって言ったりする。

が。

そうすると今度は、「これとこれを一緒に入れさせていただきます。申し訳ありません。」

などとおっしゃる。

申し訳なくなんかないし!!!

いちいち言わなくても、私怒ったりしないし!

なんならもっと雑にポンポン入れてくれてもいいし、どうせ私の胃袋に入るだけだから!

それよりも後ろに人が待ってるから、サッサとしていただけますかねえええええ。

という言葉が脳内に溢れる。

「人件費と梱包材料費が商品価格に転嫁されてるよねっ!!」

「その調子だと、1時間に捌ける顧客数は○○人くらいだよねっ!」

「ニッポンの生産性が上がるわけないよねっ!!」

と悶々として帰路についた。

私がなぜこんなにイラッとしたかというと、今日はなんと、県外に行ってきたからであーる!!

県外のオサレな都会に行ってきたのさw

都会に行くと、こういう面倒くさい接客に遭遇するのだということを久しぶりに味わったのである。

田舎だとこうはいかない。人材が常に足りていないし、その中で何とか店舗のオペレーションを回していかなければならないので、店員さんの守備範囲が広過ぎるくらいだ。だから私から見て、常に「ヒューッ」と口笛を鳴らして声援を送りたいくらい、動作が合理的で無駄がない。やる仕事が多過ぎるから常に効率よく色々と進めなければならないし、自分のテリトリー外のこともやらざるを得なくなってくるのだ。

そんな状況で、いちいち顧客に平身低頭に頭を下げてなんかいられないのだ。

もちろん田舎とは言え、百貨店などにいけば梱包は丁寧にしていただけるし、深々とお辞儀をされたりもする。でも百貨店の社員さんの梱包って、びっくりするほど手際がよくてチンタラ作業してるわけではないのよね。しかもその作業は顧客に見せるようにはなっていない。見えたりはするけれども。

つまり、私がポジティブに受け取ることができない丁寧さのラインがあるわけだ。不必要に動作が緩慢だとイライラしちゃうのよ。

お金を払った以上、その商品はすでにお客様のモノであり、そのお客様の大事なモノは、傷をつけることのないように丁寧に取り扱いしなければ。そしてその商品への丁寧な扱いは、そのままお客様を尊重していることの証明である。

とでも思っているかのごとく、顧客に見えるところで丁寧にゆっくりと商品を扱うのだ。

でもさ、そんなに丁寧に扱わないと傷ついちゃうんだったら、私だったら怖くてそれ使えないけど!!

カナメ「知ってる?もう韓国のコンビニって店員を置いてないらしいんだよね。」

私「ああああ、賃上げすると結局は雇用がなくなっちゃうのにねぇ。でもこうやって人がいなくてオペレーションが回るなら、そっちの方がいいよね。」

カナメ「そうそう。」

もう面倒くさいから、レジは無人でいいくらい。IKEAなら梱包も自分でやらなきゃいけないけれど全く問題などない。サービスは、接客や梱包のやり方ではなくて、商品そのものの魅力と見せ方とリーズナブルな価格そのものだからだ。

日本には世界から見ても例を見ないような「おもてなし」という素晴らしいカルチャーとスキルがあると思い込んでいる方もいらっしゃるかもしれないが、それって本当に顧客にとって欲しいサービスなのかしら。

「ボクのかんがえるさいきょうのほすぴたりてぃ」

というものを押し付けているだけなのかもしれないよ?

まぁそんなことを言わなくても、これから人件費高騰で、クレイマーのお客さんは容赦なく出禁になり(入店時にブザーで弾かれちゃったりするかもよ)、真面目に働く従業員が宝物の様に扱われるようになるだろうね。

そしてお客さまが「素晴らしいホスピタリティ」を求めるならば、それは信じられないほどの高コストになり、それを顧客がダイレクトに払うようになる。そのサービスを求めて、その対価を支払うことに納得しているなら双方に全く問題はないし、そうなる未来は近い。

今は、それほど高額ではない給与しか払われない店員さんに対して、顧客側が、不当に高いレベルの立ち居振る舞いを求めているように思えてならない。

「お金を払っている方がエライ」と心の底から信じて、店員さんの頭を容赦なく下げさせるようなクレイマーにならないようにせねば。

とはいえ、そういったクレイマーが育ったのは、実はそれに真面目に対応し過ぎた店舗側にも責任があるかもしれないのよね。顧客の教育を怠ったというか。

お店から歓迎されるゴキゲンな顧客であるように、消費者も自分を律せねば。

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