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ピリピリ、イガイガ、ゲップ、ズキズキ、カユカユ

以前のWordPressのブログで、クライアントにSIBO(小腸内細菌異常増殖症)の方が多いのでSIBOの記事を書くことも多かったり、私自身がアレルギーやヒスタミン不耐症(過敏症)もあり、食材のことを書いたりするので、それらの検索でヒットして、消化器の不調の方や原因不明の皮膚炎などのコンサル依頼をいただくことが多いです。

例えば、

  • IBS、機能性ディスペプシア、SIBO・LIBOなどの胃腸障害があるが、様々な食材に様々な反応があり、もはや何が何だかわからない。時間の経過でどんどん色々な食材に反応するようになってしまった。

  • SIBOで、低FODMAPにしてもゲップが出る

  • アレルギーあるなしに関わらず、アトピーではない原因不明の皮膚炎が起きている。

  • アレルギー検査では何も出ないのに、蕁麻疹、鼻炎などのアレルギー様反応や、皮膚炎が起こる。

  • ある時期から、それまで食べれたものが急に食べれなくなり、食べるとピリピリ、イガイガしたり、胃が痛くなったりする。

などなど。

グルテンフリー、デイリーフリーにして、ヘルシーな食事にしたり、IBSやSIBOの症状が緩和しやすい低FODMAPにしていても、症状が残る。これ以上減らしたら何も食べれない!

実際、過去に、遅延性食物アレルギー検査をして陽性と出てきた食材を全部除去し続け、それでもなお症状が続き、フラフラの状態で相談に来られた方や、長年のSIBOで自分で除菌と低FODMAP食を続け、完全に栄養失調になり、どんどん不調が出てきている方など、たくさんいました。

一般に、体の反応の原因となるのは:

  • 即時性アレルギー:IgE抗体が関わり、アナフィキラシーなどの顕著な身体症状が即時で出るので幼少期からわかっていることが多い。特に卵、牛乳、そば、ピーナッツ、エビ、カニなど。一般的に人々が言う「アレルギー」はこれにあたる。

  • 遅延性食物アレルギー:IgG抗体が関わり、毎日継続して長年摂取している食材に対して起こることが多い。検査で陽性が出ても症状に直結するとは限らないが、症状に出やすいのは卵、小麦、乳製品など。症状は8時間から2日と遅れて出てくるのと、アレルギーという言葉がつき、アレルギー反応が起きると考えられがちだが、特定の症状に限らず、さまざまな疾患のさまざまな症状の悪化という形で現れるのでわかりづらい。

  • 食物不耐症:乳糖不耐症やグルテン不耐症など特定食物の分解酵素の不足による。摂取1〜2時間後に、乳糖不耐症は主に消化器の症状、グルテン不耐症は消化器症状の他に頭痛、疲労、関節痛、皮膚の発疹、うつまたは不安症、貧血などの症状で現れる。

  • 仮性アレルギー:

    • 食品の自然の化学成分であるアミン類(ヒスタミン、チラミンなど):アミノ酸(ヒスチジン、チロシン)が細菌により分解されて生成される物質、なのでタンパク質には必ず含まれており、熟成、発酵、長期保存、乾燥などの過程でさらに増える。摂取1〜2時間後に、皮膚の赤み、頭痛、蕁麻疹、痒み、不安症、胃痛、下痢、低血圧などの症状で現れる。そのほか婦人科系疾患や気分障害や発達障害の症状の悪化などとの関連も海外では注目されている。もともとヒスタミンを分解する能力が低いアレルギー体質で、アレルゲンに触れて肥満細胞が活性化しヒスタミンが過剰に産生されるアレルギー反応が発生している際は、高ヒスタミン・チラミン食や発酵を促す発酵食品を摂取することでさらに症状が強く発生する。

    • サリチル酸:ほぼ全ての植物が持つ成分で果物、野菜、お茶類、スパイス、ハーブ、ハチミツなど幅広い食材に含まれている。摂取後1〜2時間、鼻詰まり、喘息、下痢、消化器の症状、蕁麻疹などの症状が出る。サリチル酸に過敏な場合、アスピリンに反応するので、その点で早いうちに判明することも多い。ほぼ全ての植物に含まれているので避けることは不可能。植物が虫や病気から自身を守るために生成する物質のなので皮に存在することが多い。よって、果物などは皮を厚めに剥くと避けられる。

    • 交差反応:花粉などの抗原と似た蛋白質抗原を持つ果物や野菜に反応する。摂取直後から、口腔・咽頭・口唇粘膜の刺激感、イガイガ、痒み、腫れ、頭痛。

  • FODMAP:乳糖、フルクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、ポリオールなど難消化性糖類。本来ならば腸内細菌の餌となる成分。ディスバイオーシス(腸内細菌叢の乱れ)や、腸内細菌が小腸に移動して起こるSIBOなどで、ガス発生の原因物質となる。SIBOであれば、食べ物が小腸に移動した後に起こるので、食後2時間から6時間程度の間に発生、大腸で起こっているディスバイオーシスであれば、食べ物が大腸に移動した6〜8時間後から発生。症状は、腹部膨満感、下痢、便秘、ガスなど。SIBOの場合は、まるで妊娠をしたように異常に腹部が張る。主に反応する食材は、りんご、チーズや乳製品、小麦、豆、玉ねぎ、ニンニク、きのこ、人工甘味料など。

あと他に天然化学物質としては、ほうれん草、筍、長芋などに含まれ口周りの痒みやかぶれの元になるシュウ酸、喘息を持つ人などに症状が現れやすいワインやドライフルーツの添加物として使われる硫酸塩や亜硫酸塩も、蕁麻疹、皮膚の腫れ、鼻詰まり、赤み、下痢、喘鳴、咳などの症状をもたらすことがあります。

あと、コンサルをしていて、胃が過敏な人に多いと感じるのが、玉ねぎやニンニクなどに含まれる硫黄への反応もあります。

仮性アレルゲンや交差反応については10年前はネットにもほとんど情報がなく、皮膚科どころか大学病院に行ってもたらい回しで原因がわからず、わかったところで対処がわからず、途方に暮れた方々が相談に来られていました。今は、ある程度情報としてネットには出ているようです。

これらは、さまざまな疾患や症状に影響します。消化器の不調(胃の痛み、ゲップ、下痢、便秘)、アレルギー、アトピー、喘息、蕁麻疹や発疹などの皮膚の症状、鼻炎、頭痛・偏頭痛、生理痛、婦人科系疾患、関節痛、認知症、自己免疫疾患、発達障害、気分障害などなど。

遅延性食物アレルギーなどのリーキーガットにつながるものは、糖尿病、消化器の疾患、肝臓に関する疾患、心疾患、生活習慣病、およびがんなどあらゆる疾患に関係します。

で、ここでは特に食材の影響がわかりやすく体感で出てくる、消化器の症状、アレルギーや皮膚の症状を念頭に置いて書いていますが、食べ物が関係していると思われる中で難しいのが、特定の食品に反応していても、その反応が何によるもので、どの成分に反応しているかは食べ物と症状に関してたくさんヒアリングをしないとわからない。

これ、結構、すごく大変なのです。

体力低下や、アレルギー反応が強く出ている時期は、粘膜も弱まり敏感になるので、それまで反応していなかった天然化学物質にも反応し始め、「あれもこれもどれも反応する!」となります。

そして、同じ食材でも異なる成分が理由でさまざまな症状を引き起こすことがあります。

例えば、小麦。小麦そのものは腸細胞をしっかり結合させているゾヌリンを緩めてしまうのがわかっているので(リーキーガットやリーキーブレインにつながります)、その意味で一度三ヶ月など一定期間除去してしまった方が良いですが(そしてその後、スペルトなど古代小麦をたまに、で復活すると良いです)、

それはさておき、小麦ひとつとっても、即時性アレルギ、遅延性アレルギー、FODMAPの可能性があります。

また、卵を例にすると、即時性アレルギー、遅延性アレルギー、チラミンも多く含み、硫黄も多く含む。

大豆もすごく厄介。遅延性アレルギー、FODMAP、ヒスタミン(きな粉など顕著です)、レクチン、交差反応などなど可能性がたくさん。

食材の何に反応してその症状が引き起こされているか、判断するのがとても難しい。それをすることが必要な理由が、原因を特定することもありますが、最終的にどの食材は完全に除去して、どの食材をいつ復活させ、どの食材は少量でも良いから症状の出ない程度に食べ続けるべきか、を整理・判断して、指導してあげるため。

「不快な反応が出るものは全部避けて!」とすると簡単に栄養失調になってしまう。

細胞や機能にダメージを与えるから一時期摂取を控えておいた方が良いもの、と、そうではなく刺激に反応しているだけなので、ある種の酵素を働かせるなど必要な対処を施しながら、症状がコントロールできる範囲内で食べ続けた方が良いもの、があります。

上述の食材は、(グルテンが多い品種の小麦以外は)全て天然化学成分で体に良いものばかりです。タンパク質やアミノ酸は当然、細胞を作るのにも、機能を働かせるのも必要で、FODMAPなしには腸内細菌は育ちません。サリチル酸が含まれる植物にはそれ以外の抗癌作用や健康維持につながる多くの有効成分が入っています。

遅延性食物アレルギーの陽性食材も3〜6ヶ月除去したら、徐々に再開することが必要です。

特に、長年の胃腸障害で敏感になってしまっている人や元々アレルギー体質で今調子が悪いので何にもで反応しちゃっている人。怖くて何にも食べてなくなっているけれども、医師含め誰に相談しても答えが得られず、心療内科に送られる。

多分、大学のアレルギー専門の学者だったら、全てヒアリングをしたら何かアドバイスをくれるとは思うけれども、かといって、治し方を提示してもらえるわけではなく。医師は1人にそこまでのヒアリングをする時間はなく、全てが一発でわかる検査もなく。なんなら、日本ではまだSIBOですら知らない消化器の医師もいる中で診断もままならない。

誰にも相談できないまま、食べるものが減っていき、そのうち消化酵素も作れなくなり、食べているのに栄養が吸収できずにさらに体調が崩れていき、悪循環。

ガスや痛みや大量のアミン類の刺激が存在すると、もともと動いていない消化器がさらにダメージを受けて、慢性炎症を起こして更に動かなくなっていきます。なので、短期間摂取を減らす。

自己治癒力を復活させるには、まずはダメージを与えている阻害要因を取り除いて、体への負担を軽減して細胞たちが修復ができる時間を与えてあげます。その間に、たとえばサプリメントを摂るなり、腸の抗炎症や保護に良いターメリックや生姜やリコリスやスリッパリーエルムなどのハーブやボーンブロスを摂って腸壁のダメージを緩和したり、LグルタミンやビタミンAやビタミンDなどを補充して腸細胞再生や腸免疫を強化したり、していきます。

そして、体の構成や機能に必要な食材を徐々に食事に戻していく。

その阻害要因がなんであるか判断し、その人個人の状態によってどれだけ敏感になっているかで、一時期避ける食材などを決めていきますが、即効性アレルギーを引き起こす食材以外はいずれ食べる様にならないと、食べれるように持っていかないとダメです。(即効性アレルギーは病院で減感作療法で治すと良いですね)

これはケースバイケースで、個々の食材と症状との関連性は2時間のコンサルでやっと見えてくらいなので、生憎、こうしたらいい、と簡単にはかけないので、悩んでいる方はコンサルでご相談ください。

ただ、「あれもこれも色々な反応をする!」と悩んでいる方には、「そういうこともあるのか」と、食材の整理のとっかかりや希望の光になるかと思うので、参考にしてみてください。



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