見出し画像

90年代のバラード混成デュオ「Bijou」

現在、K-POPと聞くと「歌って踊るアイドルグループ」というイメージが強いと思いますが、90年代には韓国でもバラードを歌うグループや男女の混成デュオも人気を博していました。今回は90年代後半~2000年代前半までに活躍していた男女の混成デュオ「Bijou」について紹介したいと思います。

90年代後半に人気を博した混成デュオ 

彼らは1998年にスターメイドエンターテイメントという事務所からデビューした男女混成デュオである。メンバーは、女性ボーカルのチェ・ダビと男性ボーカルのジュミンの2人組。グループ名は最初「宝石のように美しい音楽を歌う」という意味から¨Jewelry¨という名前を付けようとしたが、最終的に自分たちの名前から、Da-Bi(ダ)+Ju-min(ジュミン)=BiJu→Bijou(ビジュー)と名付けた。

メンバー紹介

(左)チェ・ダビ / 足立梨花(右)

女性メンバーのチェ・ダビは、清純なイメージと澄んだきれいな音色で男性ファンから多くの人気を獲得した。足立梨花さんにちょっと似ている。

男性メンバーのジュミンは、歌手デビュー前は日本の放送局NHKでアニメーターとして活動していたが、1995年に歌手に転身して「ミーティング」という曲でデビューしたが鳴かず飛ばずであった。その後、当時の所属事務所のオーディションに参加し、Bijouのメンバーに選ばれた。

2人が在籍していたアイドルグループ

実はダビとジュミンの2人はBijouを結成する前の1997年に「THE FEEL」という4人組の男女混成グループのメンバーとして活動していた。同時期に人気を得ていた「海」や「ぷよぷよ」などの代表曲で知られるUPに影響を受けて結成されたアイドルユニットであり、「ヨロンナムショト(Long&Short)」という曲で人気を集めたが、楽曲もUPの歌に似ている。ちなみにグループ在籍時はダビがボーカル、ジュミンがラップを担当していた。しかし、あまり人気を得られずアルバムを1枚発表した後、グループは解散した。その後、他のメンバー2人が脱退し、残った男女メンバー2人で事務所を移籍して結成されたのがビジューである。

デビュー曲「LOVE LOVE」での活動当時

1998年7月に1集を発表してタイトル曲「LOVE LOVE」でデビュー。
1990年代後半はダンスミュージックを取り入れた音楽が流行しており、当時はあまり主流ではなかったミディアムテンポの歌が逆に新鮮さを感じさせ、音楽番組「MBC音楽キャンプ」では1位を獲得するなど人気を集めた。

自身最大のヒット曲となった「誰より君を愛してる」

そして翌年の1999年に2集を発表し、タイトル曲「誰より君を愛している」が大ヒット。明るく、ロマンチックな雰囲気で音楽番組や音楽ランキングでも上位圏に入るなど大衆から多くの人気を集め、彼らの代表曲となった。また2021年には女性アイドルグループのTWICE(賢い医者生活シーズン2 主題歌)によってカバーされた。

全盛期の頃のBijou

1、2集で既にすべての楽曲の作詞・作曲をメンバーがこなしていたのでアイドルではなくシンガーソングライターに分類される。ダビの歌声・音色とジュミンのラップが調和され、歌も明るい雰囲気で簡単なメロディーで聴きやすく、初期の頃(1集・2集)作品は歌番組で上位に上がるなど顕著な成功を収めた。
しかし、2000年に発表した3集以降はいきなり音楽性が変わってしまったため、人気が低迷。3集で活動を終えた後、ダビがソロ活動をしたいと理由でグループを脱退した。2020年にチェ・ダビが受けたインタビューによると「1集が大きく成功した後、次のアルバムを準備するのに様々な問題がありました。私は自分のやりたい音楽を発表していきたかったけど、所属事務所側は1集の成功・人気を続けなければならないので同じ路線の楽曲を作ってほしいと言われ、私たちは所属事務所の指示に従うしかありませんでした。完全に私がやりたいこと(望む音楽)、私だけのアルバム(作品)を作りたいと思い、ソロ活動をしなければならないと決心しました。」と語っている。2001年、ジュミンは1人で4集を発表した後、新しい女性メンバーを迎え入れて活動を続けるが、3集から下火になった人気の底上げには力不足であり、最終的には5集アルバムが最後の作品となった。事実上、ビジューはダビの才能で持っていたグループであり、彼女がソロで活躍したときも本人が作詞、作曲したボサノバ、ロックバラードなど自分だけの音楽を追及した。

個人的に彼らは出現が20年早すぎたと思われる。
本来こういう音楽で勝負するアーティストが韓国でも育って欲しかったのですが、現在の韓国音楽はK-POP=歌って踊るアイドルが主流となっているため、ソロ歌手やデュオの活躍が目立たなくなっている状況ですね。

2014年デビュー / 兄妹で構成される男女混成デュオ

現在、Bijouのようなグループは悪童ミュージシャン(AKMU)に近いかもしれませんね。路線や楽曲などは異なるが「歌って踊るアイドルではない」・「男女のデュオ」・「女性がメインボーカル」・「メンバーが自ら作詞・作曲などのセルフプロデュースをしている」といった点が共通している。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?