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乳がんの記録 ~2~

しこりに気が付いたのは週末の夜でした。
善は急げと週明けすぐに麓の(人間ドッグを受けた)病院に連絡。1週間と待たずに診察室の扉を叩いたのでした。そうしてあれよあれよという間に精密検査に回され、約10日後には「悪性でした。がんです」
あっさり診断を下されたのでした。

かつて某学府で生涯発達心理学(老年~終末期)を専攻していた私は、まだまだ若造だったにもかかわらず「人生最大の試練は自身の死(との対峙)」という身も蓋もない認識を抱いていました。
自分の最期のことなど普段からそうそう直視するものではありません。厨二病的な憧れこそあったとしても、実感としてはずっとずっと遠い未来の出来事だと誰しも希望的に思うものです。

…それが何の前触れもなく、いきなり目の前に現実を突きつけられた衝撃よ。

泣くだの嘆くだの、ドラマで観るような感傷に浸る暇は微塵もありませんでした。あまりにも大きなショックを受けると、人は一気に無の境地まで弾き飛ばされるようです。自分の身にそれが起きて初めて死の重大さを思い知りました。ただただ言葉を失ったまま、暫く診察室の椅子から立ち上がることができませんでした。

とはいえ、いつまでもしょげていたところで現実は覆りません。
こうなったら前に進むしかない。

ガタガタの精神状態の中、そこだけいち早く「目が醒めた(血迷った)」私は、斜め上に勢いよくアドレナリンを噴射したまま病院の中からSNSで発病をカミングアウトしたのでした。

「しょうがないしょうがない。かかっちゃったもんはしょうがない。
ええぃ言ってしまえー!!」

(続く…!)

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