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幻獣戦争 2章 隠岐の島攻略作戦⑬

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幻獣戦争 2章 隠岐の島攻略作戦⑬

「その後、作戦の第3段階、隠岐の島美保神社沿岸部に橋頭保を確保後、拠点構築。幻獣掃討へ移行する」
「了解。なお、作戦の第1段階が本作戦の成否を担っている以上、以降の作戦段階のタイムスケジュールは決めないでおく。適時柔軟に対応してくれ」
 雲井本部長に続いて東師団長が付け加えるように述べると、最後に勇司が全員に確認するように告げた。

「了解。中ノ島、西ノ島に展開している駐屯部隊はどうする?」
 気になっていたのか、東師団長は改めて質問する。
「可能なら我々の部隊に合流して旗下に加えたい」
「わかった。駐屯部隊には連絡しておこう。後は――本人達と話し合ってくれ」
 東師団長の問いに俺が希望を述べると、師団長は含むように答えてきた。何かあるとみて間違いなさそうだな……

「では、作戦の開始時刻前日までに作戦準備を終え各部隊は作戦開始ポイントへ集合する。よろしいか?」
「異議なし。これより作戦準備に入る。各員の武運を祈る!」
 雲井本部長の言葉に東師団長は勢いよく答え、矢野一佐共々敬礼して通信を終えた。

「しかし、比良坂君。彼を納得させるためとはいえ単機で突撃する。は、ないんじゃないかね?」
 通信が切れた事を確認して雲井本部長が俺に語り掛けてきた。
「ご心配ありがとうございます。しかし、万が一にも失敗はありません」
「そうかね? まあ、君がそう言うのならば余計な心配は無用か。しかし、万が一失敗した場合は即時作戦を中止する。田代、良いな?」
「勿論だ。貴重な戦力を捨てるような真似なんぞ出来るわけがない」
「わかりました」
 両本部長の念押しに俺は素直に同意する。ここで余計なことを言っても仕方ないか。

「うむ。素直でよろしい。では、失礼する」
 雲井本部長は満足げに笑みを浮かべ通信を終えた。
「……やれやれ、突撃とは大きく出たな」
 ブリーフィングが終了したことを確認して、本部長が困ったように呟き俺を見る。そう言われても、他に黙らせる方法が思い浮かばなかったんですよ……

「おい。もしふざけた真似をするようなら、俺は貴様の出撃を許可せんからな」
「大丈夫だ。作戦は絶対に成功する」
 怒り気味に睨みつけてくる勇司に俺は改めて断言する。
「なんというか、貴方はいつもそうでしたね」
「まあ、なんだ……俺は仲間を、部下を信頼すると決めているからな」
 困った口ぶりで言う一樹に俺は肩をすくめ答える。というか、責めるくらいならもうちょっとマシな助け舟出せよ……

「まあ、良い。後は神代博士次第か……いっておくが代償がかなり大きいからな」
「それは幻獣に言ってくれ。一樹、部隊の移動は作戦の1週間前までに完了させるつもりでいてくれ」
 項垂れ言う勇司に俺は苦笑交じりに答え一樹を見る。

「了解」
「わかった。随伴艦隊への連絡は私がしておく」
「舞人、絶対に死ぬなよ」
 三者それぞれの言葉を受け俺は黙って頷く。大丈夫、いつも通り出来ることを最大限こなすだけさ。

ここまでお読み頂きありがとうございます! 

次回に続く


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