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幻獣戦争 2章 隠岐の島攻略作戦⑩

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幻獣戦争 2章 隠岐の島攻略作戦⑩

「――違います」
「違わない。もう、下手糞を演じる必要性はない。だから、君を信頼して任せる。初撃であの大型幻獣を撃破してくれ」
 バツ悪く答える朱雀に俺は真摯なまなざしで告げる。朱雀は泣きそうな顔になりながら言葉を出せず沈黙する。

「であれば、戦力の4割は混成砲撃部隊、残りの6割は即応と支援部隊といったところですか?」
「そうだな。4割を補給部隊、即応部隊は2割だがな」
 そんな朱雀をフォローするように話題を振る一樹に、俺は自身の見解を述べる。兵站を厚くしおかなければ今回の場合、恐らく弾が途中で尽きる。

「ちょっと待ってください。少なすぎませんか?」
 即応部隊を指揮する真那は不満気に問いを投げかけてきた。確かに少ないが、大隊規模で兵站も自前で考えると、この辺が手の打ちどころなんだがなあ。

「まあ、真那ちゃんたら、大飯喰らいなのに見え張っちゃうんだぁ」
 そんな真那に霞が茶化すように言う。霞も目を通し終えたのか、計画書を手渡してきた。俺は受け取りテーブルに計画書を置く。
「ちょっ――私は、真面目な話をだな」
「真那ちゃん。陸将が徹夜して作ってくれた資料ちゃんと読んでないんだぁ」
 毒気を抜かれ抗議する真那に、霞はさらに茶化すようなトーンのままに指摘する。

「ちゃんと読んだぞ! えっと……朱雀が大活躍するんだろ?」
「間違ってはいないが、お前ら二佐になってもその調子なのか?」
 きょどりながら俺を見る真那に、俺は吹き出しかけ二人にツッコむ。なんだその小学生みたいな回答は……こいつらの部下達が物凄く心配になるぞ。
「いや、あの、その……すいません」
 真那はかぁ頬を染め述べるとシュンと縮こまる。

「はっはっは。やっぱり井上さんには誰も勝てませんね」
「笑い事じゃありませんよ一樹一佐! 真那ちゃん、朱雀君が活躍するという事はご飯がたくさん必要になります。砲撃を継続するという事は、それだけ一度に食べるご飯の量が沢山必要になるという事ですよ。おかわりが心配になりませんか?」
 面白そうに笑う一樹を尻目に、霞はわかりやすく説明するような素振りで真那を見て言う……聞いていると逆に分かりにくいのだが、これ通じるのか?

「……えっと、その――わかった。つまりご飯を運ぶ車が沢山必要という事だな?」
「その通りです。よくできました!」
 頑張って翻訳するように考え言う真那に霞は満足げ頷き笑みを浮かべる。
「だめだ。お前達の世界についていけん」
「ですが、現実問題戦略機が足りないと思うのですが」
 二人のやりとりにゲンナリしている俺に一樹は微笑みを浮かべ改めて質問する。

「その通りだが、現地の駐屯部隊が辛うじて踏ん張ってくれているらしい。その部隊と合流することが出来れば問題は解消できるはずだ」
「できなかった場合は?」
 俺の言葉に一樹はさらに確認するように問う。

「随伴している艦隊と航空部隊の火力を厚くする」
「了解。メンバーの選抜と訓練を急ぎます」
 俺の答えに納得したのか、一樹はそう述べ立ち上がる。それに続き3人も立ち上がった。

「では、準備をよろしく頼む」
 俺はそう言って立礼する。
 4人はそれに応じ敬礼後退室していった。

ここまでお読み頂きありがとうございます! 

次回に続く


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