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“ひきこもり”が価値あるチームになれる場所 — by Hellohikimori <vol.21>

WORKS GOOD! MAGAZINE 第21弾はデジタルクリエイティブをメインとするHellohikimori 。実は日本と関係の深い会社名からスモールチームで制作を行う意義まで、詳しく話を聞いてみました。


Q、まず初めにHellohikimori(HKI)について教えてください。

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Hellohikimori は2004年に設立した、パリを拠点とするクリエイティブカンパニーです。 多くのメンバーはもともとFlash開発者でしたが、時代の流れとともにHTML / JavascriptでリッチなWebサイトを制作するようになり、今ではAR / VRやプロジェクションマッピングなど、多様なデジタルエクスペリエンスを手掛けるようになりました。


Q、 hikimoriが少し日本語っぽく聞こえて勝手に親近感を持っていました。実際には何語なんですか?

当たってますよ!日本語の「ひきこもり」が由来になっています。

– え?!本当ですか?まさかと思ったのでびっくりしました(笑)でも、なぜ…?「ひきこもり」がネガティブな意味であることはご存知ですか?

フランスでも15年くらい前から徐々に認識されるようになった言葉で、日本語のように固定した言い方がないのでそのまま使用しても通じるんです。知っているかもしれませんが、実はクリエイターは内向的な人も多く、私達のような小さい会社では1つのプロジェクトに関わる人は多くて10人、平均して3–5人くらいが普通です。そんな状況が少し「ひきこもり」と似ているなと思ったことと、この会社ではどんな「ひきこもり」も歓迎する、という意味を込めて名付けました。
あと「ひきこもり」の発音がフランス人には難しくて(笑)

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Q、 なるほど、深い意味があるんですね。

もちろん意味はありますが、代表がこの会社を始める前に別の仕事で日本に4年ほど住んでいて、日本の文化や食べ物、日本人の考え方をリスペクトしていたことが、日本語を起用したきっかけかもしれません。

Q、現在会社に所属しているメンバーは何名ほどですか?

所属しているメンバーは、クリエイティブディレクター3名、デザイナー、デベロッパー、プロジェクトマネージャーが2名ずつ、総務1名の計10名になります。人数が少ないながらも大きいプロジェクトを任されることも多く、フリーランスのクリエイターともよく仕事をしています。

Q、会社を大きくしていく予定はありますか?

全くありません。10名くらいが私達にはちょうどいい数です。これ以上大きくしてしまうとバランスを崩して安定が取れなくなります。3年前にこのオフィスに引っ越してきましたが、見てわかる通り最大で12名入る程度の席数しか確保していません。
設立メンバーはもともと、100名を超えるような大きいエージェンシーで働いていました。大きい会社が悪いとは思いませんが、同じプロジェクトに参画しているのにミーティングの場で初めて顔を合わす人が多く、チームメンバーとはいえ、コミュニケーションをとるのが容易ではありませんでした。この会社では一人ひとりが全員とじっくり会話をできる環境をつくりたいと思っていたので、会社を大きくすることに意欲的ではないです。
気心の知れたメンバーなのでコミュニケーションで滞ることはないですし、コミュニケーションに時間がかからなければその分のエネルギーをプロジェクトにまわせるのでとても効率的だと思います。

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Q、 小さいチームで困ることはないですか?

ありがたいことにクライアントは私達がもっと大きい会社だと思ってくれているようで、会社の規模にそぐわないような大型プロジェクトを発注いただくこともあります。その場合はインハウスでは賄えない、編集者、コピーライター、映像ディレクターなどをアウトソーシングします。それでも難しいときには昔からやり取りのある馴染みのフリーランスに協力をお願いしています。


Q、チームとして一度に抱える案件はどのくらいですか?

継続している運用案件を含めると2–3件になりますが、ゼロベースから制作するものは1件のみです。メンバーが一度に抱えられる案件も最大で2件です。長いものになると1年以上かかるので、毎週月曜には全社ミーティングをして全員が現状を把握できるようにしています。


Q、一度に限られたプロジェクトしか出来ないとプロジェクト選びが大変にはなりませんか?

プロジェクトの依頼が来たらプロジェクトマネージャーがメンバー全員を集め、、受注するか否かその場で決めます。とても単純なプロセスですが、プロジェクトに関わる全員に決定権があります。リソースの余裕があり、面白くてチャレンジングだと思えるプロジェクトであれば基本的には受注します。すごく興味のあるものであればコンペでも参加します。

Q、コンペ費はクライアントから払われますか?

最初から設定されているものはあまりないので、払ってもらえるよう交渉はします。どうしてもやりたければ費用がもらえなくても参加しますが、少しでももらえるように毎回トライはしています。


Q、どのくらいの頻度でコンペに参加されますか?

頻度は高くないですが、コンペに参加する回数は前より増えました。私達の技術の幅が広がったことに加え、やりたいプロジェクトをこちらからとりにいけるくらいの自信もついてきています。最初の頃は1回のコンペにかなりの時間と人を費やし生産性も低かったのですが、回数をこなすうちにコンペのやりかたもある程度テンプレート化できています。場数を踏んだことで、工数をかけすぎない適度な方法を学びました。


Q、メンバーのモチベーションはどのように保たれていますか?

モチベーションを保つために特段なにかしているわけではないですが、プロジェクトの質がモチベーションにつながっていると思います。
メンバー全員が携わることのできる自社プロジェクトも必ず走らせるようにしていて、それがお互いの刺激にもなっていると思います。

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Q、会社として、一番大切にしていることはなんですか?

話していてお分かりかもしれないですが、プロジェクト選びですね。良質なプロジェクトであればあるほどメンバーのモチベーションにも、会社の成長にも良く作用してくれています。


Q、最後に、「いい仕事」をするのに一番大切なものはなんだと思いますか?

私達だけが満足するようなものをつくるのではなく、クライアントのニーズに合わせて責任をもって制作物を届けることです。やりたいこととやるべきことを区別し、どのプロジェクトにおいてもベストを尽くすことですね。

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