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「目的を共有した小さなチームで追い求める、本当のクオリティ」 — by Immersive Garden <vol.22>

WORKS GOOD! MAGAZINE 第22弾はデジタルクリエイティブチーム Immersive Garden 。デジタルを通して心に残るストーリーを作り上げるためにどのような工夫を凝らしているのか、どのようなことを心がけているのか詳しく話を聞いてみました。

Q、まず初めにImmersive Gardenについて教えてください。

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Immersive Garden は、アートディレクターのDilshan Arukattiによってパリを拠点に設立されました。彼がフリーランス時代にすでに屋号としてImmersive Garenを名乗っていたので、10年以上活動しているチームではあるのですが、正式に会社として設立したのは2014年です。アートディレクター、UXデザイナー、モーションデザイナー、デベロッパー、プロジェクトマネージャーなどのメンバーが在籍しています。

Q、チームとして一度に抱えるプロジェクトは平均して何件くらいですか?

プロジェクトの大きさによりますが小さいものを含めると10〜20くらいですかね。半年〜1年くらいかかるものもあるので、大きめのプロジェクトが集中するとプロジェクト数はそれに反比例して減少していきます。

Q、あなたの会社の独自性は何だと思いますか?

私たちは、感情と技術の間にバランスを見いだそうとしています。また、プロジェクトの最終的なアウトプットだけでなく、各段階でのクオリティに焦点を当ててプロジェクト全体に反映できるようにしています。アートディレクターやデザイナーだけでなくデベロッパーもそのことをよくわかっていて、プロジェクトの序盤に醸成されたストーリーを理解することで、心を動かすインパクトを生み出しています。

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Q、会社の文化としてメンバーにその意識が共有されているということでしょうか?

そうだと思います。私たちが何かをする時には必ず意味があり、誇りに思えるものでありたいと思っています。
アイデアやコンセプト、細部に至るまですべてに意味があり、すべてがとても重要なのです。そのため、見た目だけのギミックには頼らないようにしています。映画のようなアプローチを心がけていて、ストーリーを伝えることを最優先にしています。ストーリーを伝えるためにモーションデザインを取り入れることが多くなっているだけで、予めモーションデザインを取り入れようと思って始まったプロジェクトは存在しません。ストーリーを伝えるためにあえて、できる限り装飾を取り除くこともあります。

Q、どのようなワークフローで仕事を進めていますか?

プロジェクトの受注が決定したらまず、ディスカバリーフェーズに入ります。ディスカバリーフェーズではクライアントがすでに保有しているデータと、ターゲットとなるものについてのデータをできる限り収集します。また、クライアントを巻き込んで、彼らが何を好んでいるのか、そしてその理由を理解することで、デザインのニーズに応えられるようにしています。彼らが感じていることを理解しようとするだけでなく、彼らが本当に求めているものは何か探る時間となります。

その次にコンセプトフェーズに入ります。このフェーズでは、プロジェクトを通して最終的に何を得るのかをストーリーと共に開発していきます。

その後制作フェーズに入り、必要な機能やページを洗い出し、全て網羅されているかをチェックします。すべてのページを確認したあとにUIとUXを確認し、開発へと入っていきます。コンセプトフェーズの段階でアウトプットのイメージをクライアントに共有する際は、プロトタイプや動画を作成します。必要ないと考える人もいるかもしれませんが、このアセットは開発をスタートした時の参考にもなるので無駄にはなりません。

Q、プロジェクトを受注するかどうかはどのように決められていますか?

費用があまりにも少なかったり、実体がないスタートアップやプロダクト以外であれば、お問い合わせいただいたものお断りすることは基本的にありません。

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Q、プロジェクトメンバーはどのように決められますか?

私たちは10人前後の小さな会社なので、メンバーのリソース状況に委ねられることが多いです。ただ、リソースに問題が無ければ、それぞれの得意分野でチームを考えることもあります。また、余裕があれば「誰かやりたい人はいますか?」と聞いて決めることもあります。

Q、他の会社やフリーランスの方と協業することはありますか?

必要に応じてお願いすることもありますが、インハウスでまかなえないことに限ることが多いです。最近ではサウンドデザインのスキルが度々必要となり、外部の方にお願いしています。また、こだわった3Dを作る時やCMSの導入時にも外部に依頼します。

Q、どのように会社のビジョンを外部の方に共有していますか?

フリーランスの方は以前一緒に働いていたメンバーだったり、昔からよく知っている方が多いため、そもそも会社のことをよく知っている人たちです。また、オフィスにも何度も来てくれるので、プロジェクトのインサイトなどを共有しやすい環境でもあると言えるでしょう。
はじめて一緒にやる方には、クライアントにも見せている会社の紹介ビデオを見せたりすることもあります。

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Q、会社を大きくする予定はありますか?

以前は大きくしたいと考えていた時期もあり、今よりもメンバーが数名多く在籍していました。ですが、メンバーのマネージメントに時間が割かれてしまい、人数を増やした時のほうが受け入れられるプロジェクトの数も規模も縮小していました。それをきっかけに、今では10〜12人位をキープしています。このくらいの人数のほうがプロジェクトのクオリティコントロールがくまなくできるのです。そもそも私たちはエージェンシーではなくクラフトマンだと思っているので、全員が手を動かすことを望んでいます。

Q、副業は認めていますか?

本業がおざなりにならない範囲であれば問題ないと考えています。
メンバー全員の性格も把握していますし、本業に集中できる時間を十分に作れるのであれば反対する必要はないと思っています。

Q、 会社として、一番大切にしていることはなんですか?

仕事に対する姿勢です。
ここで起こるすべてのことを理解し、チームやクライアント、そしてプロジェクトに対して心を開く姿勢があれば、たとえ技術が足りなかったとしても問題はありません。技術が足りないとわかっているメンバーが自ら手を上げて立候補する場合には、どうだろう?と悩むより、すぐに背中を押してあげられるような環境であり続けたいと思っています。少しデタラメに聞こえるかもしれませんが、これは私たちがこの仕事を続けてきて欠かせないと気づいたことなのです。

Q、最後に、「いい仕事」をするのに一番大切なものはなんだと思いますか?

クオリティに対して、決して手を抜かないことです。
クライアントが何を言おうと、チームが何を言おうと、お母さんが何を言おうと(笑)、常にクオリティに焦点を当て、最高のクオリティを出すためにはどうするのがベストか考えることです。ここで言うクオリティとはデザインの質ではなく、目的の質です。
誰に向けたものなのか?なぜこんなことをしているのか?なぜウェブサイトを作るのか?ウェブサイトを作ることで本当にクライアントの課題を解決できるのか?常に問い続け、これからも最良なものを提供していきたいです。

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