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後天的な言語適性の向上について

日本人の英語力の低下が叫ばれて久しいが、日本人は外国語学習に圧倒的に不利である。
日本語は、アルタイ語族にも属せず独立した言語と言語学者に見做されているのに対して、英語やドイツ語などの欧州諸語は、インド・ヨーロッパ語族に属しているわけで、各言語同士が似ているのである。
日本人は同じ土俵で勝負できないのである。不公平である。

ただ、現実を見ることも大事だ。
以下の図表を見れば、日本のバイリンガルは僅か10%であるのに対して、ヨーロッパ各国では70%を超える。

出典:社会実情データ図録 <https://honkawa2.sakura.ne.jp/9454.html>


台湾は意外だが、中国語と台湾語など、ルーツの異なる方言(日本の方言よりも大きな概念)を話すという点で、バイリンガルが多くなるようである。

そして、日本で3言語以上話すマルチリンガルは、たったの4%である。
(日本では、3言語話せる人間は1%で、4言語以上は3%と逆転現象があるのは面白い。単一民族国家である日本において、マルチリンガルは言語学習の臨界期を過ぎたあとに自ら3か国語習得した人間が多いのか。つまりは高い言語適性を持っている人間であるが故に、4つ目、5つ目と言語を習得していけるのであろうか。。)

勿論、「言語を話せる」というのは、程度問題であるので、どの基準で判断するのかという点において、ブレが発生してしまうことは承知している。
参考程度の数値だとは思うが、国によって様相は大きく異なるという点は理解いただけると思う。

言語適性の概念

日本人が相対的に外国語ができないというのは、上述した日本語の特性や、日本が単一民族で外国語を話す必要性もない、という環境要因が影響していると思う。

よって、個人の外国語能力は、個人の言語学習に大きく左右されており、できる人とできない人の差が大きくなっている。

そんな言語学習について、米国の研究によれば、50%は遺伝に影響されているようである。
その言語学習の能力は主に3つの要素から構成される。いわゆる「言語適性」というやつだ。

  1. 言語分析能力・・・文法を理解し、構造的に捉える能力

  2. 音声認識能力・・・言語を聞き取り、それを聞き分ける能力

  3. 記憶力・・・記憶ゲーに耐えられる能力

この各要素ごとにレベル差があるといわれており、語学の天才の中にも、特徴が分かれているようだ。

言語適性は変化するのではないか

一方で、この適正は、後天的に伸ばすことができるんじゃないかという仮説も唱えたい。というのも、中国語の学習を通して、英語が並行して伸びていく感覚があったからだ。

その1つは、中国語の発音矯正を専門的に受けたことで、英語の聞き分けが用意にできるようになった。
日本語には存在しない発音を出せるということは、外国語の聞き分けができるようになることである。TOEICのリスニングが、勉強していないに、なぜか全部わかるようになっている。
母語ではない外国語の発音領域を詳しく学ぶことにより、言語適性にいう「音声認識能力」が向上した感覚は強く覚えている。

2つ目に、英語が自然に出てくるようになった。日本語と英語は文法構造が大きく異なっているので、文章の組み立てに時間を要するという壁があるが、英語と中国語の構造は、日本語と比較した場合において、似ているところが多い。
中国語の口語練習を通して、外国語の文法を組み立てる能力、つまり「言語分析能力」自体もトレーニングされたんじゃないかと思っている。

専門的に英中の比較言語学などを学んだことはないので、確定的なことは言えないが、個人的に間接的な外国語ブレイクスルーを経験したので、言語適性は後天的に伸ばすことができると考えている。

何より面白いのは、ある言語学習が、また別の言語学習にもポジティブな影響をもたらすということである。

英語に興味がある人は、いったん英語の勉強割合を少し減らして、新しい言語を学んでみるのもよいかもしれない。
マルチリンガルになれるだけでなく、同時に英語力も伸びるかもしれないからだ。
事半功倍(半分の労力で倍の効果を得る意。中国のことわざ。)を狙える。

かくいう私も、韓国語・インドネシア語・エスペラント語の勉強が滞っているので、忘れぬうちに、時間をかけて勉強に力を入れたい。
大事なのは、がっつり高負荷のトレーニングすることだ。


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