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"鬼滅ブーム"の経済効果

ーりすの独り言

人気漫画『鬼滅の刃』が快進撃を続けている。コミックス(電子版含む)の発行部数、映画の興行成績ともに、その勢いはとどまるところを知らない。関連グッズの売れ行きも好調のようだ。なるほど、"鬼滅ブーム"やら"キメツノミクス"やら言われるわけだ。そして、その経済効果は2700億円になるとの試算もある。ただ、これがどうもピンとこない。巨額であることは分かるが、あまりに大き過ぎて雲をつかむ話だ。

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およそ10倍

SBH日本一_ソフトバンク

福岡県によると、プロ野球・福岡ソフトバンクホークスによる日本シリーズ4連覇が県内経済にもたらした経済効果はおよそ274億円(試算値)という。鬼滅ブームはそのおよそ10倍に当たる。新型コロナウイルス感染症拡大が日本シリーズの盛り上がりに水を差したとはいえ、とてつもなく大きい。

決して大げさな数字ではないだろう。電子版を含むコミックスの累計発行部数は1億2000万部を突破。日本経済新聞によると、これまで1億部を超えた作品は『ドラゴンボール』『NARUTO』『ワンピース』『スラムダンク』など9作品しかないという。いずれも空前絶後の人気を博した作品ばかりだ。

映画『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』の興行収入も、11月29日までに275億円を超え、歴代1位の『千と千尋の神隠し』(306億円)に迫る。こうした状況に「新型コロナの影響で外出が控えられる中、消費の受け皿となり、過去にないほどの経済効果につながっている」といった分析も聞かれる。

5割未満

ラグビーW杯_THE ANSWER

2019年に開催されたワールドカップ(W杯)日本大会の経済効果と比べると、幾らか冷静になれる。日本ラグビー協会によると、同大会の経済効果は6464億円。鬼滅ブームはその41・8%と、5割にも満たない。ラグビー日本代表が初めて8強入りした当時の熱狂ぶりには及ばないのかもしれない。

ただ、経済効果の数字による単純比較は乱暴といえば乱暴だ。それに12月4日の『鬼滅の刃』最終巻(23巻)発売に合わせ、開店前の書店にサラリーマンらが列を成したり、この漫画の出版元である集英社が5大全国紙に全面広告を掲載したりなど異例の状況だ。社会現象であるには違いない。

このブーム。果たして、いつまで続くのだろうか。

(写真〈上から順に〉:12月4日発売の吾峠呼世晴作『鬼滅の刃』最終巻(23巻)の表紙=写真素材を基にりす作成、日本シリーズ4連覇を決めた福岡ソフトバンクホークス=ソフトバンク、2019年開催のラグビーワールドカップ(W杯)日本大会で史上初の8強入りしたラグビー日本代表選手ら=THE ANSWER)


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