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"W杯ロス"を乗り越える

サッカーW杯が閉幕し、重度の"W杯ロス"を煩っている。今後、各国のスター選手がプレイする姿を見られないと思うと、喪失感がものすごい。テレビ中継があるから一日頑張ろうとか、仕事をさっさと済ませて帰ろうとか、そういった張り合いがすっかり抜け落ちた。奥さんもその傾向にあるが、比較的軽症のようだ。奥さんが煩っているのは"長谷部ロス"。ずっと応援していた日本代表キャプテンの長谷部誠選手が代表からの引退を表明したのがショックだったらしい。ただ回復が早く、完全に"心を整える"までにそれほど時間は要らないようだ。

焦眉の急

W杯決勝戦の終わりを告げるホイッスルが鳴った。フランス代表がクロアチア代表をスコア4対2で下し、1998年以来5大会ぶり2度目の優勝が決まった。とても良い試合で興奮したのが、笛の音を聞いた途端、一気に気分が冷め、代わりに喪失感と焦燥感が押し寄せた。

夢中で遊んでいたおもちゃを取り上げられた子どもの気持ちはこんな感じなのだろうか。W杯が始まった6月中旬以降、試合のテレビ中継が生活の中でモチベーションを支える要素の一つだった。それがなくなり、今なお、十分に日常を取り戻せないでいる。

雨の中で行われた表彰式もほぼ無関心だった。プレゼンターとして参加した国家元首3人のうち、プーチン露大統領だけが傘の下、マクロン仏大統領とグラバルキタロビッチ・クロアチア大統領はずぶ濡れという状態には、さすがに違和感があったものの、それを奥さんに伝えることもしなかった。

そのおかげで、プーチン氏の傘の件について、さまざまなスポーツメディアがその後の報道で取り上げていたにもかかわらず、したり顔で「ほらっ、同じことを思っている人たちがいただろう」と自慢することも叶わず、少し損した気分。こうした状況から早く脱することは個人的に"焦眉の急"だ。

ロス克服のベテラン

奥さんはほぼ回復している。というのも、奥さんが患っていたのは、厳密にいうと、W杯ロスではなく長谷部ロスだったから。サッカー日本代表が8強入りを逃した後、長谷部氏が会見で代表を退く意思を示したときは大騒ぎだったが、それからしばらくしたこともあってか、今はその存在を忘れたかのごとく無関心に見える。

幾たびもロスを克服した経験が役立っている。奥さんはドラマの登場人物がストーリー上で死ぬことで、お気に入りの俳優が見られなくなる虚無感を乗り越えてきたベテランだ。連続テレビ小説「あさが来た」の"五代ロス"では俳優のディーン・フジオカ氏を、大河ドラマ「おんな城主・直虎」の"政次ロス"では高橋一生氏を見られなくなるとしばらく嘆いていたっけ。

これまでほぼ全試合の中継を一緒に見てきた奥さん。W杯決勝を隣で見ていて「サッカーの試合はしばらくないんだねー」と言って幾らか寂しさをにじませたものの、それも今は昔。すでに新しい関心事を見つけている。大河ドラマ「西郷(せご)どん」とバラエティー番組「プレバト!!」に夢中だ。見事なまでの切り替えの早さ。そこでふと思う:

長谷部引退のときの騒ぎは一体何だったんだろう、、、(-_-)ぼそっ。

(写真〈上から順に〉:サッカーW杯優勝のフランス代表=スプレッドHP、プーチン露大統領〈左〉だけ傘の下=スプートニク・ジャパン、代表からの引退を表明した長谷部誠選手=ゲキサカ、「プレバト!!」に出演する梅沢富美男氏〈右上〉=music.jp)

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