『裸のお仕事』ではたらく女の子を学問するということ(熊田陽子×鈴木涼美)

*本記事は、2018年7月17日に東京・渋谷で開催された『セックスワークサミット2018夏』の対談を記事化したものです。

<サミットの開催趣旨>

いわゆるアカデミズム=学問の世界では、性風俗や売買春の問題は古くから議論されてきました。

しかし、それらは「働くこと」自体を「性の商品化」「搾取」「性暴力」といった一面的な視点から否定的に捉える文脈の上で行われていたことは否めません。

一方、「働くこと」自体を「労働」としてとらえ、現場で働く当事者の権利、安心と安全を守っていこう、という立場=いわゆる「セックスワーク論」も存在します。

しかし、その多くは日本とは社会状況や法制度・労働環境の全く異なる海外の言説や理論に基づいたものであり、国内の性風俗店の現場で働く大多数の女性の意識や現実からは著しく乖離したものになっていた感は否めません。

そんな中、両者の足りない部分を埋める研究が登場しました。

『性風俗世界を生きる「おんなのこ」のエスノグラフィ――SM・関係性・「自己」がつむぐもの』(明石書店)は、著者自身がフィールドワークという形で実際に都内の風俗店の受付スタッフとして働き、7年間にわたって働く女性の生の声を集め、文化人類学的な視点から分析した一冊です。

特定の思想的立場やイデオロギーに基づいた「結論ありき」の研究、誰かや何かを叩くための研究ではなく、性風俗の世界の複雑性と多様性に向き合い、客観的な立場から論じている力作です。

性労働の問題を扱うにあたって、これからの学問・研究者の進むべき方向性を感じさせる、示唆に富んだ一冊であると言えます。

今回のサミットでは、著者の熊田陽子さん、そして2013年に『AV女優の社会学』(青土社)でアカデミズムの世界に新たな地平を切り開いた鈴木涼美さんをゲストにお招きして、「裸のお仕事をする女の子」を分析する上で、これまでの学問に足りなかったものは何か、そしてこれからの学問に必要なものは何かを議論していきたいと思います。

もちろん、「学問とは~」といった堅苦しい話だけではなく、執筆や研究の裏話など、現場に接してこられたお二方ならではお話も、随所でたっぷりお伺いします。

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鈴木 私自身は、学生時代にAV女優をやっていて、大学院でAV女優をテーマにした修士論文を書きました。その後新聞記者になり、今は文筆業をメインに活動しています。

私の場合、研究者としての立場を確立してからAVの現場に入ったわけではなく、最初から普通にAV女優をやっている人でした。現場の話が面白かったので、それを書くための文法が欲しいと思って大学院に入りました。

AV女優業が忙しくて学部時代は全く勉強していなかったのですが、大学院で修士論文を書く段階になってから、初めて研究者としての視点を持って、それまで現場で見てきたものを題材にしつつ書き上げたのがデビュー作の『AV女優の社会学』(青土社)です。

そのため、私の中では、「AV女優がAV女優の本を書いた」という意識が強い。研究者として調査したくてAV業界を参与観察したわけではなく、たまたま働いていたAV業界が面白くて、インタビュー対象者につながるツテもあったので、研究の題材にした。

大学にも大学院にも行ったけど、たまたま偏差値が高かっただけで、そっちよりはキャバクラ嬢やAV女優といった夜側の世界の人間だという意識の方が強いです。

もし研究者として中に入っていたとしたら、警戒もされるし、仲間外れ感とかもあるので、かなりハードルが高かっただろうと思います。現場の人たちは、みんなガチで勤めているわけじゃないですか。

その点、自らデリヘルのお店にスタッフとして入っていた熊田さんはガッツがあるなと。私はスタッフ側の話を知らないので、熊田さんの本はとても面白かったです。

熊田さんにぜひお伺いしたいと思ったことがあります。熊田さんの本は、この題材を扱った本としてはとても自由な感じがして、何々派みたいなものがない。

セックスワークや性風俗に関する本を書く場合、まず「この仕事に対して賛成なのか反対なのか」と迫られることが多い。

裸の仕事特有の面倒臭さは、それに対する自分の立ち位置を求められること。廃止されるべきか認められるべきか。セックスワーカーの人権を確保しようという運動に加わっている人なのかそうでないのか・・・などなど。

私自身はそういうところがあまりなくて。立派な仕事だと思ってAV女優という仕事に就いていたわけではないが、AV女優という仕事が廃絶されるべきとも思っていない。

熊田さんの本も、そうした議論から自由な感じがしたのですが、そのあたりのことは周囲の人たちから結構尋ねられたりはしませんでしたか?

熊田 私は修士論文を文献調査で書いたのですが、その頃はそうした「どっちが正しいか」みたいな議論が流行っていたので、プレッシャーはすごく感じました。

ただ自分でデータを取り始めてからは、そこまで感じなくなった。でも、鈴木さんの言われていることはすごく分かります。それほど意識していませんが、一応「私はアンチ風俗ではありません」ということは言っています。

私の研究がうちの店の女の子の権利向上に役立つとは全然思っていない。仮に権利向上に役立ったとしても、女の子たちはとっくにやめている時期だと思うし。

直に応用・実践できるという視点では研究をしていない。怒られるかもしれないのですが。「この仕事がいいか悪いかを議論する前に、現場で何が起こっているかを知りたいんです」という立場を取っています。

鈴木 最近のAV出演強要問題でも、「お前はAV否定派なのか肯定派なのか」と問われる場面がありました。もちろん、ああいう業界には悪い人もいるので、そういう人たちはいなくなった方がいいと思う。

私自身はどちらかというと、否定派よりも肯定派の人に当初好かれていたので、「AV女優って、すごく難しい仕事ですよね」「そこにいる人たちは、技術を持った専門職ですよね」と同意を求められることが結構ありました。全て同意できないわけではないけど、私個人としては別にそうでもないんじゃないかなと思うことも多く(笑)。

そこまで肯定されても私は居心地が悪いし、そこまで否定されても困るし。むしろそういうところから自由でありたい。熊田さんの本はそういうところから自由で、私はとても居心地のよい気分で読むことができました。

熊田 「この人結局どっち派なんだよ」と思われながら最後まで読まれる可能性もあると思います。博論では前半に文献を入れて失敗したので(笑)、今回の本では文献を後半にもってきて、興味がなければ読まなくてもいいようにしています。

そのため最後まで読み終わっても、私の立場はいまいち分からないと思います。

私がいくら否定しても女の子たちは働き続けると思いますし、やっぱり女の子たちがしていることを否定したくない。そういう意味では肯定派になるのかもしれません。

鈴木 こういう議論って、フェミニストに気を遣いません?(会場笑)

例えば、「『行動する女たちの会』の活動は確かに尊いものだったが~」といったように、最初に一文入れておかないといけない、みたいな。

アパレルショップに勤める女の子のエスノグラフィーを書いても、AVや性風俗と同じように面白いし難しいと思うけど、AVや性風俗の場合、人々の感情がデリケートになりやすい。彼女たちを少しでもバカにするような視点があったら「人権を踏みにじっている戦犯」扱いされそうな空気がある。その辺に対する気遣いってありますか?

熊田 そういう環境は色濃くある。白状すると、私にはフェミニズムの議論が難しすぎて。咀嚼して自分の議論に活かすのが無理なんじゃないのかなと思ったので、今回の本の中でも、そういった色は結果的に無くなりました。「こいつはフェミニズムを分かっていないから、何も言わなくてもいいや」と思われていたのかもしれません(笑)。

鈴木 肩の力が抜けていて、良いですね(笑)。私自身は、実はセックスワークを巡る当事者の議論が面白いと思ったことは無くて。

いわゆる当事者の議論って、外からのレッテル張りを嫌う割には、内側で勝手に連帯意識を持っている。「私たちセックスワーカーは~」とか言っているけど、その中に含まれているのは日本に何人いるんだよ、と。

私自身はAV女優だったことだけが自分の強みだとは思っていないのですが、やっぱり自分がやっていたから、ある程度否定させてもらっても怒られない。その辺はちょっと得をしているかなと。

「AV女優なんて大した仕事じゃない」と、その辺のおっさんが言ったら炎上しますが、「大した仕事じゃないっすよ」と私が言う分には許されるところがある。元AV女優の肩書があるから否定できる。

ちょっとでも否定するようなことを逆に言い辛いのが、最近の雰囲気。AV女優やキャバクラ嬢の悪口が言える。その点だけでも、私は当事者であったことはすごくラッキーだと思っています。スタッフという立場だと、そこは微妙じゃないですか。

熊田 そうですよね・・・頭ごなしには否定できない。女の子たちを持ち上げていますね、常に。

鈴木 最近は、世間的にデリケートな仕事をしている人に対しては、どちらかと言えば擁護しなければいけない、みたいな雰囲気はありませんか?叩くと怒るリベラル警備団みたいな人たちがいて。

私のツイッターは、はあちゅうみたいに炎上したりしないですけど、ホスラブで死ぬほど叩かれていたことはあります(会場笑)。警備団みたいな人たちに気を遣うのって、ホスラブに気を遣うのと同じくらい、くだらないことなのかなと。

熊田 私も鈴木さんの御本を読ませて頂きまして、大変面白かったです。うちのお店の子たちと比べると、鈴木さんのお友達がとても器用に見えるんですよ。お店で働いていても、裏でお客さんと会ったりして、すごい上手。やり手が多いですよね。

うちのお店の子たちは、どちらかというと不器用なんですよ。高倉健みたいな(会場笑)。他の風俗でも割とそういうところはあるのかもしれないけど「お客さんとプライベートでやりとりするのが嫌だから、こういう店で働くんだ」という子が多い。

プライベートでメールやラインをしなくてもいい、2時間で絶対に終わるから「この後早く切り上げなきゃ」とか考えなくていい。決まった時間でお金をもらえて、そこでハイサヨウナラ、が一番いい。ノルマがある他の仕事は向かない、と言います。

鈴木 最近出した『オンナの値段』(講談社)では、特殊に稼ぎまくっている女の子たちを書いています。とにかく稼ぎまくって、使いまくる。
毎月ホストに350万円使う女の子は、ソープに出勤した後、ホストクラブにいる3時間以外は自宅待機のデリヘルで、電話がかかってきたらすぐに行く。生理休暇無しで月25日働いて、バキバキに稼ぐ。

これまでは貧困系のセックスワーカーの本が割と多くて、働いても稼げなくて苦労している、といった話はSPA!でも現代ビジネスでも東洋経済オンラインでもいっぱい書かれていたので、それらとは違う女の子の話を書こうと思った。

極端な稼ぎ方をする子を集めた本なので、登場するのは特殊な子が多いですが、かわいくてコミュ力が高ければ、稼ごうと思えば稼げる。裏っぴきがうまいとか、かわいくないのに異様に客が途切れないとか、ソープをやめた後も月100万稼げているとか。

ホストに通っている女の子って、飲んでから稼ぐから、どうしても稼がなければいけない。器用云々の前に気合(笑)。2時間で終わろうが終わらまいが、なんとか目の前のお客さんから百万円をむしり取らないと・・・という感じで、追い詰められていますからね。

熊田 私の周りには、あんまりホストに行く子がいないんですよ。切羽詰まり感がない。

鈴木 店舗によっても違うと思いますが、一時期私が通っていたホストでは、幹部のエース(最もお金を使っている女性客)全員が、川崎の同じソープで働いていました。

熊田さんの場合、テレコを回すようなインタビューではなく、普通の会話からワードをメモって・・・という方法ですよね。それはどのあたりまで相手の了解が必要で、どのあたりまでぼやかすのか。その辺の研究倫理って、答えがはっきりあるものではないと思うのですが、熊田さんの中で自分なりのルールはありますか?

熊田 書いている時は、どの女の子にも自分は今こうした理由でここに来ているんだ、ということを伝える。「匿名化して書いてもいいですか?」と聞くと、「いいですよ」と言ってくれる。その中でも、実際に書けているのは3割くらい。

一番怖いのはプライバシーが漏れることなので、そこには最も気を遣います。最初に書いていたことでも、途中で「これは完全にバレるな」と思って省いたところもあります。他の子が読むとバレる可能性があるので、エピソードを足した部分もある。女の子が読むので、変なことは書けない。媚を売っているだけなのかもしれませんが・・・。

鈴木 研究倫理に関しては、私自身も答えがなくて。『AV女優の社会学』に関しては、事務所の社長の許可をもらった上で、細かい現場の段取りは自分の経験で書きました。

エッセイに関しては、15年前にホストクラブで隣に座っていた子にどうやって許可を取るのか、といった問題はある。同じ店に通っていた子が読んだら、分かってしまうかもしれない。未だにそのあたりの答えは出ない。

新聞記者時代はしょうがないからやりましたけど、私自身は「本のためのインタビューをやらせてください」といってテレコを回して相手の話を聞くのがすごく苦手で、どうしてもできない。

私自身、AV女優だった頃は大量のインタビューに答えましたけど、大半はエロ本とかの記事で、「性感帯はどこなのかな~?」といった質問。そんなの適当に答えるじゃないですか。

女の子たちは、面接の時から多くの相手に大量の質問をされながら日々を過ごしているので、「こういう質問が来たらこう答える」という鉄板の答えのようなものができている。それを私がインタビューして聞き出してもしょうがない。

日常会話の中で、友だちとして話してほしい。っていうか、友だちとして話してくれたこと以外、あんたのいうことは信じないから、と(笑)。そういうところがあって。

少しでも取材者としての視点が入っているのであれば、それは友人として裏切っているなと。その点はやっぱり、最初から研究者としての立場で現場に入っている熊田さんと、夜の世界から物書きになった私との違いなのかなと思います。

ちなみに、風俗嬢やキャバクラ嬢の話す「痛客」の話を集めた『おじさんメモリアル』という本を出したのですが、おじさんには許可を取っていません(会場笑)。

熊田 私もお客さんには一部しか許可を取っていない。まだお店に来ている常連さんのことはさすがに書けないので、もう来ていない人の話を、身体の描写などを変えて書くといった形にしています。

鈴木 私は細部を書くのが好きなので、おじさんの語尾や乗っているクルマの車種も、できれば書きたい。本人が特定されないように書いていたつもりでも、転々虫(お店の移籍を繰り返している女性)の友人から「私、この人についたことある」って言われたことはあります。意外と分かってしまうものだなと。

いつかホストの本も書きたいのですが、ホスラブで叩かれたくないので、その本はホストが読めないくらい固い文体にして、難しい漢字を使って書こうと決めています(会場笑)。

働く人たちの人権を守るために必要な活動はあると思うし、AV業界も一部の人の活動によって改善されている部分がある。

ただ、私自身は権利向上のための活動をしている身分ではない。私が伝えたいのは、『中の世界も結構面白いよ』ということ。

夜の世界には「本名で働くとなかなか上がれない(卒業できない)」というジンクスがありますが、私も色々な源氏名で生きてきました。今の「涼美」も名乗り出して5年。名前が多すぎて、どんな名前で呼ばれても振り返る(笑)。

こうした空気感が面白いから、論文を書く体力がある時はまた論文を書いてみたいし、そこからこぼれるものはエッセイで書きたいし、小説でしか書けないところがあれば書きたい。

夜の世界の女の子たちの普段の会話や持っている空気感が面白いと思うので、そこを切り取りたい、ということに尽きる。あまり社会の役には立っていないのですが。

熊田 私も女の子と話していて、「冴えているな」と思うことはあります。女の子がみんなそうかと言えばそうでもないけど、冴えている子は面白い。
私としては、女の子やお店にも色々なケースがあるというのが伝わればいいかなと。高い店もあれば安い店もある。お店にも入れない子もいる。営業の形態も違う。同じ店にいる女の子の中でも、これだけ違う。ひとくくりにするのをなるべく避けたい、という意識がある。

鈴木 それはどこかしらで伝えられる必要があると思います。普通にメディアを観ていたら、風俗嬢って全員鶯谷デッドボールに勤めているのか、となるじゃないですか(笑)。あのお店は特殊なところなので、もっと色々なお店があるということは、誰かが発信しなければ分からない。

熊田 私の研究対象は一つの店なので、他の店の事情や業界全体のことは分かっていない。ライターさんや、広告や営業の人の方がはるかに詳しい。

私の場合は、自分が動きまわるのではなく、定点観測が良かった。それぞれの人に自分なりのやり方があると思うので、それを軸にして色々な面を見ていけばいい。

私の研究は、少なくとも女の子たちに対しては役に立てない。だからスタッフとして役に立てばいいなと思っています。

女の子に対しては稼がせることが重要だと思っているので、最短の60分コースであっても、全力で一本とることを目指す。とにかくお茶をひかせてはいけない。女の子の顔がどんどん悲しそうになっていくのは見たくない。

お客さんは色々な店に行くので、似たようなお気に入りの子がいた場合、スタッフの対応が良い方を選ぶ可能性もあるじゃないですか。

鈴木 ありますよ全然。都内の高級デリヘルでも、●●のスタッフが嫌いだから、◆◆にばっかり電話する、という人はいます(会場笑)。

熊田 だったら、研究として形にはならないかもしれないけど、そこを全力で頑張る。そういうことの方が、私にとって調査の日々の中では重要なことでした。

鈴木 よく理系の人から、「研究目的は何なの?」って聞かれませんか?『AV女優の社会学』も、理系の人にはあまり伝わらない。文系の人って、「それをやって一体何になるのか」というところに豊かさを感じる傾向があるので。

熊田 研究目的については、「ただ興味があった」という以外、あまりないですね。授業で自分の研究を取り上げる際にも、学生の皆にとっては知らない世界でもあるので、批判する前に情報として伝えておく。ただ、それによってどういう大人になって欲しいとかまでは考えていない。

鈴木 よくマスコミとかから「女の子を紹介してください」という依頼が来ますが、「私が紡いできた関係性であればしゃべるけど、あなたに対してはしゃべらないよ」と思います。

熊田 私も学生から「風俗の研究をしたいから、熊田さんのお店を紹介してください」と言われたら嫌ですね。時間をかけてここまで関係性を育ててきたのだから、私の戦場を荒らしてほしくない。

まずは、どういう調査をしたいかを決めることが大事です。私のように博士課程の間お店に居座ろうとしているのか、それとも喫茶店で1時間インタビューしたいだけなのか。

まず自分が何を知りたいのか・何をしたいのかを固めてから動く。定点観測と点々観測、どちらを選ぶにしても、それが大事ですね。

鈴木 私は自分が女だということをとても意識して生きています。女であることは、複雑で、面白くて、難しいこと。女としてしか語れない。女としてしか生きれない。これまで、女という立場であんまり損をしたことはない。

私も昔は、AV監督とかになるのもありかなと思った時期もあった。でもやっぱり主役は嬢だし、嬢が楽しい。

熊田さんは調査をされていく中で、実際にご自身で嬢をやりたくなりませんでしたか?

正直、研究者だって貧乏だし、女の子たちが手にしているマネーはなかなか魅力的だったりするじゃないですか。嫌な思いもするけど、ちやほやもされるし、一応、その店では大事にもされる。

熊田 私、それが無かったんですよ。全然。スタッフになって、やり手ババアになるんだと思った瞬間、心が燃え滾って(笑)。やる前からすごく向いていると思っていたんです。

おそらく自分が女の子になっていたら、これほど長くは続いていなかったと思います。天職と言ってはおこがましいのですが。

鈴木 研究調査する場合、自分が女の子になっちゃえばいいけど、元々AV女優もキャバ嬢も女の目にはつかない存在なので、男の方がファーストコンタクトは取りやすい。

私はよく人から「経験豊富ですね~」と言われるのですが、あなたと私の経験とは比べられない。私はAV女優をしていた経験はありますが、ドトールでバイトしていた経験はない。ドトールのバイトよりAV女優の仕事の方が経験値が上がるというわけでもない。

熊田 「こういう経験がないから語ってはいけない」ということはない。自分の中に興味がないと、論文を書くのは大変です。お金にもならないし、誰も読んでくれないし、目の前で人の命が助かるわけでもない。周りに気を遣わずにやらないと続かない。なので、「経験がないから」という考え方はしない方がいいと思います。

(了)

当日のサミット参加者感想はこちら!

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