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NY地下鉄での風景

地下鉄は毎日使うのだが、これほどNYを味わえる場所はないだろうというほど奇天烈なことが起きたりする、それがこのNYの地下鉄である。
先日目撃した、ちょっとほっこりする出来事。(刺激的なものには正直飽き飽きしているので、そういうものは書きたくない。)
電車の中で黒人パパがベビーカーに乗った赤ちゃんをどうにか泣き止ませようとしていた。赤ちゃんは甲高い声で泣き、パパは困っている様子。
赤ちゃんいると大変だな〜と思っていると、どこからやってきたのか、アコーディオンを持ったラテン系のおじさんがベビーカーの前にやってきた。
なにやら陽気な音楽を奏で始めた。
瞬時に、赤ちゃんは泣くのをやめて、音楽に聞き入っているようだった。ラテン系のおじさんも、赤ちゃんが泣き止んで、一緒に音楽を楽しんでいるのが嬉しいようで、ベビーカーの方を向いて演奏していた。おじさんのすぐ横で座っていた女性も赤ちゃんを見て笑顔になっていた。私からは赤ちゃんは見えなかったが、周りの反応を見て、赤ちゃんが笑っておじさんを見ていることはわかった。
パパ、おじさんに助けられてよかったね、これぞNYの良いところだよなあ、と思った。NYの地下鉄では、電車内でミュージシャンが演奏したり、ダンサーが踊ったり、ホームレスがお金をもらうために演説したり、そういうことは当たり前なのだが、こういうポジティブな場面に遭遇するのは少ない方かもしれない。
とほっこりしたが、演奏を終えると、帽子を裏返してチップを周りにねだったおじさん、誰にもチップをもらえていなくて、あんなに良い雰囲気を作ってくれたのに世知辛いな、と思った。パパはチップを渡さずにベビーカーを引いてすぐに下車していった。


ニューヨークで学びアーティストとして活動するための資金とさせて頂きます。