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書評『反脆弱性』プロローグ〜1章


読んだきっかけ、目的意識


ボトムアップな生き方は、不確実な状況下での意思決定が前提となります。訳がわからないまま、進み続けるわけで、なかなかこれが正しいと確信を持っての行動できる回数が極端に減ります。

どうにか工夫しないと、自分のキャパを上回る程度のトラブルに遭遇した時に、取り返しのつかない状況に陥るのではないかと、不毛でぼんやりとした不安とコルチゾールに頭蓋骨の中の臓器がジャックされる事が多々あります。

シンプルに不快なので、気休めのゲン担ぎ程度の効果しか目込めない事を重々承知してますが、不確実な状況下での生活を、効率よく攻略出来る情報を入手できる事を見込んで本書を読み始めました。


原文のまま共有したい箇所

どうしても原文のまま共有したい箇所を引用の形式で載せていきます。

私は人間でよかったと思えるようになりたい。そして、みんなが自分の運命を愛している環境で暮らしたい。学問の世界に触れてはじめて、ある種の商業(と独学の組み合わせ)がまさにその環境なのだということに気づいた。

タレブ『反脆弱性(上)』望月衛監訳、千葉敏夫訳、ダイヤモンド社、2017年、kindle46ページより引用。

商業(特に小さな商業)は寛容への道だということだ。いや、私の意見では、どんな寛容にも通じる唯一の道なのだ。商業は合理化や講釈を超える。反脆いいじくり回しと同じように、失敗は小さく、すぐに忘れ去られる。

タレブ『反脆弱性(上)』望月衛監訳、千葉敏夫訳、ダイヤモンド社、2017年、kindle46ページより引用。

商業、ビジネス、レヴァント地方の青空市(ただし、大規模な市場や企業は除く)は、人々のいちばんよいところを引き出し、寛容で、正直で、愛らしく、信頼でき、オープンな人間にする活動の場だ。

タレブ『反脆弱性(上)』望月衛監訳、千葉敏夫訳、ダイヤモンド社、2017年、kindle46ページより引用。

商業は楽しくて、スリリングで、生き生きとしていて、自然だ。

タレブ『反脆弱性(上)』望月衛監訳、千葉敏夫訳、ダイヤモンド社、2017年、kindle38ページより引用。

私が職業人生を通じて書いてきたどの一文を取っても言えることは、自分で経験したことしか書いてこなかったということだ。

タレブ『反脆弱性(上)』望月衛監訳、千葉敏夫訳、ダイヤモンド社、2017年、kindle38ページより引用。

実践家は実践するのに手一杯で、本、記事、論文、スピーチ、数式、理論を作っているヒマなんてない

タレブ『反脆弱性(上)』望月衛監訳、千葉敏夫訳、ダイヤモンド社、2017年、kindle36ページより引用。

ヒューリスティックのいちばんの利点は、それが完璧ではなく、単なる応急策だとわかっている点だ。だから、その威力にだまされることはあんまりない。

タレブ『反脆弱性(上)』望月衛監訳、千葉敏夫訳、ダイヤモンド社、2017年、kindle36ページより引用。

完璧な頑健さなどありえないことを考えると、ランダムな事象、予測不能な衝撃、ストレス、変動性を敵に回すのではなく、味方につけ、自己再生しつづける仕組みが必要なのだ。

タレブ『反脆弱性(上)』望月衛監訳、千葉敏夫訳、ダイヤモンド社、2017年、kindle30ページより引用。

私は、自分の理解できない世界で幸せに暮らしたい。

タレブ『反脆弱性(上)』望月衛監訳、千葉敏夫訳、ダイヤモンド社、2017年、kindle27ページより引用。

トップダウン的なもののほとんどが脆さを生み出し、反脆さや成長を妨げているとすれば、ボトムアップ的なものはみな、適度なストレスや無秩序のもとで成長する。

タレブ『反脆弱性(上)』望月衛監訳、千葉敏夫訳、ダイヤモンド社、2017年、kindle25ページより引用。

変動性、ランダム性、ストレスを奪うのはかえって有害になるはずだ。みるみる弱まり、死に、崩壊するだろう。私たちはランダム性や変動性を抑えこもうとするあまり、経済、健康、政治、教育など、ほとんどすべてのものを脆弱にしてきた。

タレブ『反脆弱性(上)』望月衛監訳、千葉敏夫訳、ダイヤモンド社、2017年、kindle25ページより引用。

システムに害をもたらす事象の発生を予測するよりも、システムが脆いかどうかを見分けるほうがずっとラクだ。脆さは測れるが、リスクは測れない。

タレブ『反脆弱性(上)』望月衛監訳、千葉敏夫訳、ダイヤモンド社、2017年、kindle23ページより引用。

ずば抜けて頭はよいけれど脆い人間と、バカだけれど反脆い人間、どちらになりたいかと訊かれたら、私はいつだって後者を選ぶ。

タレブ『反脆弱性(上)』望月衛監訳、千葉敏夫訳、ダイヤモンド社、2017年、kindle23ページより引用。

反脆さには独特の性質がある。反脆さがあれば、私たちは未知に対処し、物事を理解しなくても行動することができる。しかも適切に。いや、もっと言おう。反脆さがあれば、人は考えるより行動するほうがずっと得意になる。

タレブ『反脆弱性(上)』望月衛監訳、千葉敏夫訳、ダイヤモンド社、2017年、kindle22ページより引用。

不確実性を生き抜くだけじゃいけない。乗り切るだけでもいけない。不確実性を生き抜き、ローマ時代の積極的なストア哲学者たちのように、不確実性を自分のものにするべきなのだ。

タレブ『反脆弱性(上)』望月衛監訳、千葉敏夫訳、ダイヤモンド社、2017年、kindle22ページより引用。




読む過程で思った事、感じた事、考えた事


次は本書を読み進める過程で、私が感じたり、思ったりした事です。よかったら参考にしてください!


耐久性ではなく、回復力を重視する


完璧に理解する事に見切りをつけて、健康で文化的に生きることを楽しむ。

『想定外のトラブルやストレスのせいでどうなるか?』よりも、『想定外のトラブルやストレスのおかげでどうなるか?』の方が上回る状況や環境に身を置く。

脆弱から距離を置く事で、消去法的に脱脆弱、反脆弱な生活へシフトする事ができるかもしれない。

脆弱かどうかだけを判断する。脆弱なものからはなるべく距離を置く。

いつどんなトラブルやリスクが発生するかは分からないが、トラブルに対して、脆弱か、しなやかに対処できるかは判断できる。


同じ想定外だが、想定外の内容が全然違うのでは?

ランダム性や不確実性をストレスと言い換えるとしっくりくる

ストレスを避けるのではなく、利用する

ストレスに対して前向きな態度やアプローチと脆弱な態度やアプローチがある

ストレスに耐えるのではなく、糧にする

しなやかさと逞しさだけではなく、脆さや脆弱にも詳しくなろう。


倫理的でありたいなら、高大である前に強くないといけない

予防接種は頑健にはなるが反脆くなるとは言えない

想定外で入手できた情報

私は自らの傷跡を頼りに書いている。だから、私の考えは自伝とは切っても切り離せない。つまり、個人的なエッセイという形式は、不確実性というトピックを記すには理想的なのだ。

タレブ『反脆弱性(上)』望月衛監訳、千葉敏夫訳、ダイヤモンド社、2017年、kindle48ページより引用。


感想戦

1章の書評が終了した時点で2,900字を超えてるので、いくつかのノートに分けて書いていきたい。


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