お隣さんのその後その2

ひとり暮らしのお隣さんが家の中で亡くなっていたのが発見されてから2週間。あれからほぼ毎日、70代後半の弟さん夫婦が家の片付けに通ってくる。横浜から、車で…。無口で頑固だったお隣さんと違って、弟さん夫婦は実に明るい。顔を合わせるたびに、「冷蔵庫の中がカラッポだった」とか「食べるのが面倒くさいと言ってた」とか、細かい情報を聞かせてくれる。体型も全く違う。弟さんはでっぷり、糖尿病でインスリンのお世話になっているのだと。「役所の手続きが面倒で」と愚痴りながら、今日も10時頃から午後3時頃まで、開け放った窓からゆっくり整理する様子が聞えてきた。この先、あの家をどうするのだろうか。原稿書きの山場を迎えている私は、PCの前でつい余計なお世話を思ってしまう。
お隣さんとは顔を合わせればちょこっとあいさつをする程度で、何を喋るわけでもなかったのだが、毎晩灯りがついていた⒉階が真っ暗なのはやっぱり寂しいし、妙な気分だ。お隣さんの向こう隣のおひとりさまは、3日間ほど留守だった。心細いからと、娘さんのところに行っていたのだそう。そして今日も、息子さんの車が一日中留まっていた。気持ちが落ち込んで病気にならなければいいのだが…。
立川の家のお隣さんも、私同様のひとり暮らし。裏も、そのお隣も高齢夫婦のふたり暮らしだ。70代はまだ元気だが、あっという間に80がくる。私は大丈夫、なんて言えない。どう準備すれば、納得のいくきれいな死に方ができるのだろうか。この頃そんなことばかり考えてしまう。

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