見出し画像

本を読んでお昼寝して。それは休日のすべてではない

休日の午後2時~6時ぐらいの間にお昼寝をしている瞬間に、自分の世界の平和を体感する。その時間に働いている人ももちろんいて、理不尽なことに直面している人もいて、傷ついている人も、別れの瞬間が訪れてしまった人も、フラれた人も、不当な扱いを受けている人も、もっと言えば死を迎えて人だっている。なのに私は、カーペットに横になって、ちょっとだけ開けた網戸の隙間からところてんのように流れてくる風を感じて、その風で揺れるカーテンのひらひらを足元に感じながら、とろとろと眠っている。これ以上の平和があるだろうか。

もちろん、私と同じようにお昼寝をしている人だっていて、試合に勝利した人もいて、心が躍るような瞬間の人も、プロポーズをされた人も、結婚式をしている人も、仲直りできた人も、もっといえば新しい命を生み出している人だっている。

不幸せと幸せの総量は、世界単位で見たらたぶんずっと50%ずつだと私は思う。世界はいつだって平等で、平等じゃない。


ただ、お昼寝をしている時間の私の世界は平和だ、というだけ。でも、それでいいのだ。今ここは、私だけの部屋で、私一人。

気がつくと2時間が経っていた。今日の私は2時~4時までお昼寝していたようで、目が覚めて最初に目に入ってきたのは、中山七里さんの『さよならドビュッシー』だった。今ちょうど読んでいて、この休日に読み終わりたいと思っていたのだった。1時から読み始めて、ちょうど1時間経ったころに眠くなってお昼寝したことを思い出す。

好きなように本を読んで、眠くなったら寝る。なんて贅沢で、怠惰で、我儘な休日の過ごし方だろうか。これだから、「休みの日は何をしてるの?」という質問の答えに窮してしまうのだ。「何もしてない」わけじゃないけど、「何かをしている」とは言い難い。

本を読む、は間違っていないけど、3時間とか4時間とか集中して読んでいるわけじゃない。お昼寝してる、も間違ってないけどそれは24時間の休日のなかで見てもたったの2時間。8%ぐらいの出来事だから休日のすべてではない。


この記事が参加している募集

休日のすごし方

”終わりよければすべてよし” になれましたか?もし、そうだったら嬉しいなあ。あなたの1日を彩れたサポートは、私の1日を鮮やかにできるよう、大好きな本に使わせていただければと思います。